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現地情報誌「ライトハウス」が過去に取り上げた、アメリカ芸能界ゴシップ情報や、著名人・有名人へのインタビュー記事など。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

LAコンサート直前インタビュー
演歌歌手 ジェロ Jero

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僕の歌を聴いて何かを思い出したり
感じたりしていただければと思います


アフリカ系アメリカ人が、ヒップホップ衣装でこぶしを利かせた演歌を歌う。演歌の心を理解し、日本を心から愛す、日本人より日本的なアメリカ人演歌歌手、ジェロ。『NHK紅白歌合戦』にも出場し、認知度は全国区となった。そのジェロが、来たる3月31日にリトルトーキョーのアラタニ日米劇場にて、初の劇場コンサートを開催する。凱旋コンサートを控え、意気込みを聞いた。


Jero
Los Angeles Concert

日時:3月31日(水)・午後8時
会場:アラタニ日米劇場(244 S. San Pedro St., Los Angeles)
チケット購入:☎213-680-3700
ウェブサイト:www.jaccc.org
チケット:$100・$80・$60・$50


家族が見守ってくれた夢のような紅白歌合戦

僕が演歌を歌い始めたきっかけは、おばあちゃんの影響ですね。おばあちゃんがよく演歌を聴いていまして、5、6歳の時から耳にしていました。僕はおばあちゃん子で、美空ひばりさんの曲なんかを歌うとすごく喜んでくれたので、それがうれしくて。歌っているうちに自分自身、演歌好きになっていって、自分の時間とかにも聴いたりしていました。

日本語は自分で勉強し、高校に入って初めて授業で習いました。その後もピッツバーグ大学で2年半くらい勉強したんですよ。15歳の時に、日本語のスピーチコンテストで初めて日本へ行きました。アメリカではビデオでしか観られなかった番組をリアルタイムで観られたり、CDがいっぱい買えたり、演歌漬けの環境に憧れましたね。大学在学時にも交換留学で日本に滞在し、卒業後は日本へ行って、演歌歌手になるんだという気持ちが固まりました。アメリカで就職しないで、日本へ行って演歌歌手になるという決断は、かなり不安で勇気が要りました。しかし、それほど演歌歌手に憧れていましたし、母親もおばあちゃんも応援してくれました。

日本では最初、英会話教師として働いていました。そのかたわらで、カラオケ大会やのど自慢大会に出場しました。外国人で演歌を歌うのは僕だけ。それがレコード会社の方の目に留まったようです。スカウトされた時は、「もしかしたら、これがチャンスかもしれない」って思いました。ですからデビューが決まった時は、すごくうれしかったです。演歌歌手という夢に向かって日本に来たので、やっと夢が叶ったって。「精一杯頑張ろう」という気持ちでいっぱいでした。その時、おばあちゃんは亡くなっていましたが、母に電話したらすごく喜んでくれました。
 
デビューシングルの『海雪』を初めて聴いた時は、僕が今まで聴いたことのない演歌だなぁと思って、すごく気に入りました。僕が聴いてきた爛姫蕾〞の曲は、割とわかりやすいメロディーでした。ですが、『海雪』は、メロディーにすごくレンジがあり難しかったので、いいチャレンジになると思いました。反面、歌詞は狃歌〞で理解しやすく感じました。
 
『海雪』が売れて、日本全国を回り、色々な番組にも出させていただきました。ずっと憧れていた坂本冬美さんにもお会いでき、それが本当にうれしかったです。僕の歌を日本人の皆さんが気に入って、応援したいという気持ちを持っていただけるのはすごくうれしい。ずっとそれを大切にしたいと思っています。
 
2008年の年末には、歌手としての最高の舞台である『NHK紅白歌合戦』への出場が決まりました。昔から家族一緒に観ていた番組に出られるのですから、夢のようでした。その時は、おばあちゃんが生きていたらと強く感じました。本番の衣装には、おばあちゃんの顔を描いていただきました。母が客席で見ていてくれて、家族が集まってこのステージを見守ってくれているという気持ちで歌いました。非常に良い思い出でした。


歌詞の深い意味を伝えられるよう意識

普段は、演歌以外にR&Bを聴いています。演歌もR&Bも、心のこもった歌だと思います。切ない歌もたくさんあります。自分の歌に関しては、R&Bの影響もあるかもしれませんね。

演歌を歌う時は、歌詞を大切にしています。聴いている側に、歌詞の深い意味をできるだけ伝えられるよう意識して歌っているんです。音楽に関しては、メロディーやアレンジが、聴いていて少し引っかかるようなくらいが、面白いと感じます。
 
歌詞や曲はドップリ演歌でありながらファッションはヒップホップ系、PVもバックダンサーがいたり、結構異色な感じですが、いつも自分らしく、既存の演歌ファンにも、若い人たちにも気に入ってもらえればと思っています。今後、着物姿で歌うことはあるか?それはちょっと難しいですね。ないと思います(苦笑)。
 
ロサンゼルス公演は、アメリカで初の劇場コンサート。多くの方に来ていただいて、たくさんの曲を楽しんでもらいたいです。当日は、演歌をまったく聴いたことのないアメリカ人もいらっしゃると思います。日系人の方は、久しぶりに聴く曲もあるかもしれません。初めて僕の歌を聴く方もいるでしょう。そういったお客様に対して、僕の歌を聴いて何かを思い出したり、感じたりしていただければと思います。そして、僕の歌を聴いて、たくさんの方に演歌を好きになってもらいたいですね。デビューの時から応援していただいているファンの皆さん、さらにロサンゼルスで初めて僕のことを知る皆さんにも感謝の気持ちを込めて、このコンサートを楽しんでいただきたいです。
 
ずっとこのまま演歌歌手として日本で活躍できるよう、頑張っていきたいと思っています。このコンサートをきっかけに、これからもできるだけ多くの皆さんに僕の曲を聴いてもらいたいですね。


◎ジェロ 1981年、ピッツバーグ生まれ。両親はアフリカ系アメリカ人で、母方の祖母が日本人というクオーター。祖母を喜ばせるために幼少より演歌を歌い始め、演歌の虜となる。ピッツバーグ大学で情報科学を専攻し、2003年演歌歌手を目指し来日。英会話学校の講師、コンピュータエンジニアとして仕事をする一方、アマチュア演歌歌手として活動。05年ビクターエンターテインメントにスカウトされ、08年『海雪』でデビュー。オリコン総合シングルチャートでの初登場第4位を記録。「ベストヒット歌謡祭」「日本有線大賞」「日本レコード大賞」で最優秀新人賞を獲得、同年末に『NHK紅白歌合戦』に出場


(2010年3月16日号掲載)