谷底から見上げる岩の芸術 ザイオン国立公園

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山肌

谷底から見上げる渓谷の美しさが圧巻。山肌がすぐそばに迫ってくる男性的な魅力

ザイオン、ブライスキャニオンの両国立公園は、ロサンゼルスから車で気軽に訪れるには少々遠いので、西部の大自然をじっくり見て回るつもりで、ザイオン、ブライスキャニオン、グランドキャニオンの3点セットで予定を組むのが良いだろう。
 
ザイオンはラスベガスから車で約2時間半、ユタ州に入ったところにあり、コロラド台地の南西部に位置する。コロラド台地は、ユタ、アリゾナ、コロラド、ニューメキシコの4州にまたがる、そら豆の形の隆起した広大な大地だ。グランドキャニオンからザイオン、ブライスキャニオンまで広がった約240キロの地域は、特にグランドステアケースと呼ばれ、太古から堆積された地層の変化を見ることができる。ブライスキャニオンが最も若く、ブライスキャニオンの最下層がザイオンの最上層で、ザイオンの最下層はグランドキャニオン最上層を構成している。
 
ザイオンに派手な見どころはないが、左右に迫る地層が織り成す岩の芸術は、見るものを圧倒する。グランドキャニオンが見下ろす渓谷であるのに対し、ザイオンは谷底から見上げる渓谷だ。2億4千万年前、一帯は平地だった。周りの山々から侵食された砂や砂利が川に流されて積もっていき、現在の地層を造った。この堆積作用と地表の隆起は、高いところでは1万フィートに達した。

朝の散歩にぴったり。渓谷沿いのトレイル

地図

人が生活していた痕跡は紀元前6800年前までさかのぼることができるが、近代で定住したのは、新天地を求めて西を目指したブリガム・ヤング師率いるモルモン教徒たちだ。1847年にソルトレイクシティーに定住したモルモン教徒たちは近辺の開拓にも力を入れ、1860年にはザイオンに最初のログキャビンを建てた。ザイオンはヘブライ語で「平和な避難地」という意味で、モルモン教徒によって命名された。国立公園に認定されたのは1919年。
 
切り立った岩が多い中、平たい頂上を持つエンジェルズ・ランディング(MAP 1)は、「天使が下りてくる」場所ということでこの名が付いた。キャニオンの奥深く入ったところにあるウィーピングロック(MAP 2)は、岩が削られた洞窟で、その上にあるオブザベーションポイントからはザイオンキャニオンが一望できる。公園内に入ると道はテンプル・オブ・シナワハ(MAP 3)で行き止まりになる。ここからは約45分のトレイルを行くと、渓谷の美しいところに出る。

ザイオン渓谷

トレイルを歩けば、ザイオン渓谷を見下ろすポイントにも行ける

「公園内にあるザイオンロッジ(303-29PARKS・www.zionlodge.com)(MAP 4)に宿泊して、早朝散歩をするのが気持ちいい。すぐそばには気軽に歩けるトレイルがあり、エメラルドプール(MAP 5)まで渓谷沿いを散歩するといいですよ」(岩澤さん)。
 
シーズン期間は無料のシャトルバスが運行される。シャトルサービスが始まると、自家用車は6マイルのシーニックドライブ(MAP 6)に入れなくなるので要注意。トレイルヘッドもシャトルで行くことができる。
 

◎ ザイオン国立公園 / Zion National Park
SR 9, Springdale, UT 84767-1099
☎ 435-772-3256(Visitor Information)
www.nps.gov/zion/index.htm
 
● 面積:14万6598エーカー
● 年間訪園者数:267万2995人(2004年度)
● アクセス:ラスベガスから150マイル、約2時間半。15号線の40番出口で下り、ユタハイウェイ9号線と17号線を通り、公園内に入る
● オープン時間:通年。ビジターセンター(夏季:8:00am-7:00pm・時期によって異なる)はクリスマス閉館
● 入場料:車1台につき20ドル(7日間有効)、車でない場合は1人につき10ドル(7日間有効)、1家族3人以上でも20ドル

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