アメリカでキャンピングカーの旅

ライトハウス電子版アプリ、始めました
アメリカでキャンピングカーの旅

「El Monte RV」などの大手では、このようなさまざまなサイズの大型車が借りられます。

アメリカならではの旅といえばロードトリップ。特にキャンピングカー(アメリカでは”RV” = Recreational Vehicle。以下RV)は人気!
そこで本記事では、アメリカでロードトリップを楽しむには最高の乗り物と言えるRVの魅力を、アウトドアのエキスパート2人がたっぷりご紹介します。

※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版2021年3月16日号」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

ナビゲートしてくれるのは…

ナビゲーター

芦刈いづみさん (写真右・本文執筆)
メディア&PR会社Seven Seas Media代表。ライターとしてアメリカの文化や旅の情報も執筆。
Web:
7seas-discovery.com
 
Tak S. Itomiさん (写真左・撮影)
Tak S. Itomi Photography and Design代表。フォトグラファー。旅を通して出会った風景、人々、文化に関する講演活動などにも携わる。
taksitomi.com
写真:TAK ITOMI

まずはRVの基礎知識から

オススメのRVレンタル会社から車両を選ぶ際のポイント、さらに借りる際の注意点、旅の計画の立て方、子連れで行く際のTipsまで、まずはRVの基礎知識を見ていきましょう。

1. RVはどこで借りる?

RV

普通免許でも最大でこんなに大きなRVが運転できてしまいます!

アメリカでRVレンタルの大手といえば、「El Monte RV」と「Cruise America」ですが、15人乗りバンを改造したRVが借りられる「Escape Campervans」や、ミニバン型RV専門の「JUCY Rentals」なども。そのほか、個人間のRVレンタルサービス「RV Share」などもあるので、借りたい大きさや予算、ピックアップ場所などを考慮して選びましょう。

 

RV内のキッチン

ミニバン型のRV内には、所狭しとこんな簡易キッチンが

◉ El Monte RV: www.elmonterv.com
◉ Cruise America: www.cruiseamerica.com
◉ Escape Campervans: www.escapecampervans.com
◉ JUCY Rentals: www.jucyusa.com/our-vehicles/jucy-mini-rv-rental
◉ RV Share: rvshare.com

2. RVを選ぶ際のポイントと注意点

リネン類

食器やリネン、その他電化製品なども借りられるのかどうか、予約の際にしっかり確認を。

まず、どんな大きさの車両にするかは、各レンタル会社のウェブサイト上で自分が利用したい人数を考慮に入れながら、乗車定員、車内見取り図などを見て選びましょう。
 
次に、①最低利用日数、②マイレージ制限、③食器やリネン、④発電機とプロパンガス、⑤保険、の5項目について確認していきます。

 

食器洗剤とスポンジ

洗剤やスポンジなどはリネンや食器セットに付いてこないこともあるので、 要確認。

①最低利用日数は、一般的に3日であることが多いです。
②マイレージは無制限ではなく、基本料金に加えて1マイル0.30ドル程度でチャージされる場合がほとんどです。
③食器やリネンはオプションであることが多いので、必要に応じて予約の際にリクエストしましょう。
④ジェネレーターとプロパンガスは、利用した場合に料金が発生するのか、それとも利用の有無にかかわらず料金に含まれるのか、要確認。
⑤保険はレンタル料金に含まれていることがほとんどですが、破損しても保険が適応されない箇所やシチュエーションもあるので、必ず事前に確認しておきましょう。

3. レンタル当日 & 返却時の注意点

RVの使い方

チェックイン時に解説ビデオでRVの使い方を学べるところもあります。写真は「El Monte RV」 。

RVのチェックインとチェックアウト日は、日にちに加えて時間も決めて借りる場合が多いため、しっかり計画して決めましょう。また、借りる当日は、各種書類の記入の他、RVの使い方レクチャー、車内外の点検、荷物の詰め込みなどで2時間ほどかかることもあるので、考慮に入れておきましょう。ちなみに、RVを借りている間、自分の車を停めておけるかどうかは、レンタル会社、さらに借りるオフィスによって異なるので、必ず事前確認を。

 

排水

給水や汚水の排水も自分で行います。少し大変ですが、 こういう手間もRV旅の醍醐味と言えます。

次に返却時ですが、給水と汚水の排水処理を済ませ、かつガソリンを満タンの状態にして返すのが基本。そのため、最終日のキャンプ場は給水と排水が可能なところを予約するのがベストですが、宿泊していないRVパークで、有料で給水・排水施設だけ利用することもできます。または、追加料金を払えば排水処理をせずに返せるプラン等もあるので、借りる際に確認を。最後に、返却時には、事故や故障箇所がないか細かいチェックがあることも忘れずに。

4. 旅の計画を立てる際のポイント

RVの運転席

RVの運転席は高く見晴らしがいいですが、 スピードを出し過ぎるとハンドルが震えたり車体が不安定になったりして危険。安全運転を!

①ゆったりしたプランを立てる
RVはスピードが出ないので、想定よりも移動に時間がかかります。「Google Maps」などの地図アプリで表示される移動時間の1.5倍はかかると考えて計画を立てましょう。
 
②夜間は動かない
一般的に、キャンプ場は24時間出入り可能ですが、日没後はキャンプ場内の移動やパーキング、RVの設置が難しく、トラブルの原因になります。また、夜間にオフィスが閉まっているとトラブルに対応してもらえないため、到着は日没前に。
 
③大型スーパーの目星をつけておく
RVは車体が大きいため、気軽にスーパーに駐車しての買い物ができません。サイズによっては数台分の駐車スペースを使う必要があります。事前に大きな駐車場のある店の場所を調べておくと、食べ物の調達などがスムーズです。
 
④RVはとにかく大きい!
運転に注意をRV運転時は、特に車高に注意が必要です。例えば、立体駐車場では、車体上部が建物天井に接触してしまう可能性が大いにあります。また、長さもあるため、パーキングやガソリンスタンドの入り口のちょっとした段差で車両の底部を擦ってしまうことがあります。車体上部や底部は保険でカバーされない可能性があるので、必ず確認を!

キャンプ場のRV施設用語
Full Hookup:電気と水道、 下水の全ての設備あり(初心者はこれが一番安心)
Dry Camping(No Hookup):上記全ての設備なし
Back-In:バック駐車のみのサイト
Pull-Through:前向きで駐車して、 そのまま前に出ていけるサイト
Dump Station:キャンプ場にある給水や排水ができる場所

 

RVの運転席

Back-Inのサイト。パッと見はいい感じですが、大きな RVをバックで駐車するのはなかなか難易度高しです。

⑤キャンプ場選びは慎重に
RVで泊まれるキャンプ場は、テント・RVサイト両方がある所とRV専用の「RVパーク」の2種類。いずれも駐車できるRVのサイズに制限がある場合があるので注意が必要です。また、設備や駐車方法についても、以下を参考に事前確認を。

5. 子連れ旅のTips

子連れの旅

子連れ旅には特におすすめのRVですが、交通ルールはしっかり守りましょう!

RVは大容量の収納やトイレ、シャワー、冷蔵庫、電子レンジ、ガスコンロなどを備えているため(モデルによって違いあり)、子連れ旅には本当に便利です。ただ、いくつか気を付けないといけないことも。まず、子ども用のカーシートはRVのレンタルには含まれないことが多いため、オプションで付けられるのか、持ち込みが必要なのか、事前チェックが必要です。
 
また、カリフォルニア州含め多くの州で、RVに乗車している全員のシートベルト着用が義務付けられています。それにはもちろん子どもも含まれるので、ドライブ中はカーシートを固定し、子どもをそこに座らせなければいけません。

RVで出かけた、デスバレー絶景5日旅。

いづみさん、TAKさん夫妻が2019年年末に出かけた、ラスベガス〜デスバレーのRV旅。トラブルや予定変更もありつつ、楽しさいっぱいだった旅をレポート!
取材協力:El Monte RV

初日:ラスベガス、晴れ。

出発

チェックイン〜荷物の積み込みまで約2時間。夕方になってしまい、急いで出発!

2019年の年末に出かけたRVの旅は、友人家族と私たちで大人4人+2歳児1人、乳児1人というメンバー。「El Monte RV」で7人乗りのRVを借りました。RVの使い方講習や書類記入、車両点検などを経て、ようやく鍵の受け取り。出発時にはもう夕方でした。
 
ちなみにこの旅、元々はグランドサークルを周回する予定だったので(事情はこの後説明)、初日はその手前、ラスベガスの北にあるSt. Georgeのキャンプ場、「Hurricane KOA」に宿泊。しかし、想像以上に移動に時間がかかり、普通車なら2時間弱で着くところを約4時間でようやく到着しました。辺りはもう真っ暗で、受付オフィスもクローズ…。敷地内の地図を見ながら、何とか予約したスポットに移動しました。幸い、Pull-Throughサイトだったので、頭から駐車できて助かりました。

 

キッチン

キッチンは大人2人が一緒に料理できるスペース&電子レンジ、冷蔵庫、ガスコンロがあり、かなり便利。

まずは車の水平器を頼りに、タイヤの下にタイヤ留めを挟んで、なんとか水平を保つことに成功!次は、水道と電源の接続。しかし、キャンプ場の水道管にホースをつなごうとしたら蛇口が取れ、大量の水が噴射(!!)。打つ手がなく、まずは車を安全なところに移動。緊急連絡先に電話するも全く応答なし…。留守電を聞いた管理人が来てくれた時は、もう真夜中でした。それから別のスポットに移動し、諸々セットアップをし、ようやく就寝。レンタル手続き、想定外の移動時間、暗くなってからのトラブルと、長い1日でした。

2日目:St. George、晴れ。

車内が広々

停まっている時はこのように左右の幅を広げることで、 車内が広々と快適に。

この日、記録的な寒波が到来し、気温の低いグランドサークルに慣れないRVで行くのは怖かったため、急遽予定を変更し、冬でも温暖なデスバレー国立公園に目的地を変更(とはいえ、この日の現地の最高気温は約39°Fという予報で、この時期にしてはかなりの寒さでしたが)。とにかく早朝に出発し、まずは買い出しのためSt. Georgeのウォルマートへ。パーキングが広いウォルマートはRV旅の強い味方です。前日同様、移動に時間がかかり、デスバレーのキャンプ場「Furnace Creek Campground」に到着したのは、またもや日没後でした。

 

「Sand Dunes」

どこまでも続くデスバレー付近の荒野を行く道。これぞアメリカ!

ここでの2泊は、電源と給水のサービスがない”Dry Camping”。車内発電機から電源を取り、ヒーターやガスコンロは備え付けのプロパンガスを利用。水も車内タンクのものを使います。トラブルもなく、やっとゆっくりした夜を過ごすことができました。

デスバレー国立公園での夜空

デスバレーに到着した夜の風景。満天の星空とはまさにこのこと!

3日目:デスバレー国立公園、晴れ。

「Zabriskie Point」

朝日の名スポット、「Zabriskie Point」。

早起きして身支度もほどほどに、朝日の名所「Zabriskie Point」へ。軽く散歩してから車内で料理をし、朝日を見ながらの優雅な朝ご飯を楽しみました。その後もしばらくここに滞在し、各自うたた寝をしたり、本を読んだり、思い思いの時間を過ごしました。

RVの運転席

映画『Star Wars』のロケ地としても知られる「Sand Dunes」で、友人家族の記念撮影。

次に向かったのは、 ビジターセンター。友人家族はデスバレーが初めてだったので、ここでデスバレーの地形や歴史についてお勉強。午後からは、 デスバレーの最大の見どころの一つである「Badwater Basin」へ。北アメリカで一番海抜の低い地点(マイナス86メートル)に、塩の大平原が広がります。ここでもRV専用駐車場に車を停め、雄大な景色を眺めながら昼食をとり、のんびりしました。その後、まだ明るいうちにキャンプ場に戻り、車内で料理。この日のメニューはアメリカンサイズのステーキ!

デスバレーの「Badwater Basin」

乾いた粗い塩の結晶が地面に美しく広がる、デスバレーの「Badwater Basin」。

4日目:デスバレー国立公園、晴れ。

4日目の夜の車内

4日目の夜の車内。大人4人+子ども2人でも快適な広さで、子どもたちも終始ごきげんでした。

2日間のDry Campingで、タンクの水はほぼ使い切り、逆に下水タンクは満タン。でも、園内のDump Stationが行列だったため、そのまま出発。途中でRVパークに立ち寄り、有料でDump Stationを利用しました。
 
この日は、翌日の車両返却を考え、ラスベガスから近いLake Mead National Recreation Areaの「Lake Mead RV Village」に滞在。今回初の日没前チェックインでした。明るいので、駐車も水平取りも楽々。エリア内のシャワーやランドリー施設もチェックできました(RV車内のシャワーは、狭いのが難点)。
 
また、早い時間にチェックインすると、管理人、さらにRVの達人や長期滞在者など、多くの旅人と話せるのも魅力です。夕日に染まるLake Meadを眺めた後、最後の夜はゆっくりと更けていきました。

デスバレーの「Badwater Basin」

「Lake Mead RV Village」 内を散策。

最終日:Lake Mead National Recreation Area、晴れ。

RVの運転席

5日目の朝、給水と排水、充電をして帰路の準備も万全。

レイクミードから「El Monte RV」のレンタルオフィスまでは、約30分。湖を見ながらゆっくり朝食を食べた後、排水と給水をして出発しました。
 
最後にガソリンスタンドで給油し、返却準備は完璧です。オフィス到着後は、1人が返却手続きをしている間、他の3人で荷物を出して車内を大掃除。終了後、担当者が車両をチェックし、返却手続き終了。到着してから約1時間かかりました。

RVの運転席

湖の畔で朝ごはん。最高の贅沢じゃないですか?

今回の旅は小さい子ども連れでしたが、RVのおかげで本当に快適でした。大人は大変なところもありますが(笑)、アメリカならではの冒険感たっぷりの旅が楽しめます。未体験の方はぜひ、挑戦してみてください!

RVにおすすめのキャンプ場はココ!

全米各地にある大手チェーンからLA近郊、さらに少し遠方まで、RVで行くのにおすすめのキャンプ場をピックアップしました。

Mather Campground @ Grand Canyon National Park, AZ

Mather Campground

グランドキャニオン国立公園の名所の一つ、Mather Pointからすぐのところにあるキャンプ場。合計約300のテントサイトとRVサイトがあります。人気のサイトなので、特に夏の期間は数カ月前に予約する必要あり。ここは全てNo Hookupですが、同国立公園内に、Full HookupのRVパーク、「Trailer Village RV Park」もあります。

【DATA】
Havasupai St., Grand Canyon Village, AZ
Web: www.nps.gov/grca/planyourvisit/cg-sr.htm
$18/1泊
No Hookup、シャワー、ランドリー等

Lake Mead RV Village @ Boulder Beach, AZ

Lake Mead RV Village

眼前にLake Meadが広がる抜群のロケーションにあるRVパークで、本記事の「デスバレー絶景5日旅」でも登場した所です。全てがFull Hookupサイトで、ケーブルテレビに接続可能なサイトも(RVに設備があることが前提)。さらに、BBQピットやピクニックエリア、ミーティングルームなども完備と使い勝手抜群。湖畔のビーチ、Boulder Beachまで歩いて行けます。

【DATA】
268 Lakeshore Rd., #2, Boulder City, NV
Web: lakemeadmohaveadventures.com/lake-mead-rv-village
$45~/1泊
Full Hookup、 シャワー、Wi-Fi、売店、BBQ ピット、ランドリー等

Kampgrounds of America (KOA)

Kampgrounds of America

全米各地に点在し、「KOA」の略称で知られる、大手キャンプ場チェーン。テントサイトやFull HookupのRVサイトの他、キャビンなども用意しています。また、ほとんどの場所でプレイグラウンドやプール、さらにWi-Fiやシャワー、ギフトショップなどの設備も整っているので、とにかく快適。場所によって施設やサービスは変わってくるので、事前確認はお忘れなく。

【DATA】
Web: koa.com/ways-to-stay/rv-sites
$60 ~/1泊(場所により異なる)
Full Hookup、 シャワー、Wi-Fi、売店、プレイグラウンド、BBQ ピット、ランドリー等

Joshua Tree National Park, CA

Joshua Tree National Park

ジョシュアツリー国立公園には8つのキャンプ場があり、そのうち5つはオンライン予約可能、3つは当日先着順の利用となっています。これら全てのキャンプ場でRVが利用できますが、全てDry Camping。Black Rock Canyon CampgroundとCottonwood Campgroundの2ヵ所にDump Stationあり。

Green Valley Campground @ Cuyamaca Rancho State Park, CA

Green Valley Campground

サンディエゴから約1時間の場所にあるCuyamaca Rancho State Park内のキャンプ場。キャンプ場内に滝がありますが、ここから徒歩でアクセス可能です。いくつかのサイトには水道が設置されていて、RVの給水が可能。さらに馬と一緒にキャンプができるホースサイトもある点もユニークです。

【DATA】
11842 CA-79, Descanso, CA
Web: www.parks.ca.gov/?page_id=667
$30~/1泊
No Hookup、シャワー等

The Palms @ River Edge, AZ

The Palms

カリフォルニア州との州境、Colorado Riverを挟んでアリゾナ州側にあるRVパーク。キャンプ場内にはビーチやボートデッキがあり、小型ボートやジェットスキーなどをレンタルしてColorado Riverで遊べます。また、自前ではなく常設のRVに宿泊することもできます。

【DATA】
50202 Ehrenberg Poston Hwy., Ehrenberg, AZ
Web: www.palmsriveredge.com
$46~/1泊
Full Hookup、シャワー、Wi-Fi、売 店、プレイグラウンド、プール、ランドリー等
(ライトハウス・ロサンゼルス版2021年3月16日号掲載)

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