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ゴルフ徒然草

ヒデ・スギヤマが、ゴルフに関する古今東西の話題を徒然なるままに書きまとめた、時にシリアスに、時にお笑い満載の、無責任かつ無秩序なゴルフエッセイ。

ヒデ・スギヤマ/平日はハリウッド映画業界を駆け回るビジネスマン、
週末はゴルフと執筆活動に励むゴルフライター。

ヒデ・スギヤマ

vol.4 ショート・ミドル・ロング

 前回もご登場頂いたゴルフ博士のロバートは、
腕の方はアマチュアの世界では中の上といったところだが、
そのゴルフ雑学の引き出しの豊富さが素晴らしく、
一緒にプレーする時は話題が決して尽きることのない非常に楽しい男である。
今日は共通の友人のジョンも一緒になり、
サンディエゴの少し北あたり、海岸沿いのゴルフ場を訪れ、
久々のスキンゲームで盛り上がっていた。

 16番ホールまで来た。やや長めのショートホール。4番アイアンを取り出していると、
「えーと、確か17番がパー5で、18番がパー4だったな」とロバートが聞いてきた。
ふむ、どうやら取らぬ狸の何とやら…で、
あと3ホールでどうやってスキンを勝ちにいくか計算しているようである。
こちらも負ける気はまったく無いので、「そうだよ、次がロングで、最後がミドルだ」
と丁寧に説明してやった。


 その途端に流れた冷た〜い雰囲気。うーん…これは懐かしい。
その昔、初めてアメリカに来た当時のこと、
地元米国人の誰に話しかけても返ってくるのは、この冷た〜い空気感だった。
そう、相手は決して私をからかっているわけではなく、
ただ私のお粗末な英語が何を伝えようとしているのかまったく理解できず、
目が泳いでいるのである。
その時に発生する独特の悲哀に満ちた空気感を久々に味わったのだ。
でも、私は何か変なことを言ったのだろうか?
ロバートの横で聞いていた陽気なジョンも、遠くを見る目が何故か空々しい。

 「えー…今、何と言ったんだ?」とロバートは腫れ物に触るように聞いてきた。
「だから、次がロング、最後がミドルって言ったんだよ」引き続き…シーン。
俺の発音はそれ程ひどいというのか!どうしたらいいのかしら、この雰囲気。
数分後、すべては解決した。
アメリカでは、ショートホール、ミドルホール、ロングホール、という呼び方は存在しないらしい。
「へえ、そりゃあ驚いたな。日本ではみんなそう呼んでいるよ。
英語だから、てっきりこっちでも同じだと思っていたよ」と伝えると、
ロバートは軽く笑いながらこう言った。


 「私は30年間ロサンゼルスでゴルフをしているが(ロバートの得意のフレーズ)、その言い方は初めて聞いた。
“ショートホール”と聞くと、パー4や5で比較的距離の短いホールという印象かな。
でも言われてみるとそう呼ぶ人もいたような気もするし、“ロングホール”も何となく想像できる。
でも“ミドル”だけは絶対におかしいと思う。どうしてもそう呼びたいのなら…、
そう、“ミディアムホール”と呼ぶべきだ。」とロバートは言った。
「おいおい、それだとまるでステーキの焼き加減だろ!」と私は腹の中で叫んだが、
こと英語に関してアメリカ人に立ち向かうほど無謀ではないので、一応納得して肯いておいた。

 さてLA在住のゴルファーの皆様、今度からは「よし、次は短めのミディアムホールだから確実に攻めよう。」
と言ってみたらいかがでしょう。
さすが英語通と誉められるかもしれませんね。
でもおそらく変な目で見られる確率のほうが高いと思いますが、
当方では一切の責任を持ちませんのであしからず。

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