アメリカの在米大使館と総領事館

ライトハウス電子版アプリ、始めました

海外で暮らす日本人にとって、日本との窓口となる総領事館には何かとお世話になります。パスポートの申請や在留届、出生届、在外選挙人名簿登録手続きなど、在外公館で行っている業務の主な内容とサービスについて確認しておきましょう。

※このページは「ライトハウス 2023年春夏の増刊号」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

パスポート発行や各種届出が主な業務

在留邦人が総領事館・在米大使館を訪れる主な理由はパスポート(旅券)の申請でしょう。申請に必要な書類は、一般旅券発給申請書(領事館に用意されています)、戸籍謄本(現在有効な旅券を持ち、戸籍に変更がない人は原則不要)、縦4.5㎝×横3.5㎝で顔の大きさが3.4㎝(±2㎜)で、6カ月以内に撮影された写真です。現在所持している旅券、運転免許証、現住所を証明する書類、ビザやグリーンカードなどのアメリカ滞在許可を示すものも必要です。

また、本籍地(番地まで)、日本国内の緊急連絡先と電話番号の記入が必要なので、事前に準備しておきましょう。申請から交付までは約1週間かかります。

なお、2023年3月27日より、「オンライン在留システム」に登録されている人は、電子申請が可能になります。申請方法や発給手数料は、居住する地区を管轄する総領事館・在米大使館のホームページで、最新の情報を確認してください。

 

テロ対策や在外選挙人登録も

総領事館のウェブサイトに、テロ・安全・災害などに関する緊急情報や、治安情勢、安全マニュアル、日本人学校・日本語補習授業校名など、便利な情報が多く掲載されています。総領事館に在留届を提出すると、緊急時の情報や領事出張サービス、休館日案内などの情報を受け取ることができます。

日本の国政選挙の投票に必要な、在外選挙人名簿への登録(満18歳以上対象)も居住する地区を管轄する総領事館が窓口です。登録に必要なものは、有効な旅券またはアメリカで発給された運転免許証、グリーンカード(保持者のみ)やビザなど米国滞在許可を示すもの、3カ月以上の居住を証明する書類(公共料金請求書など)。申請時に滞在期間が3カ月未満の人も申請可能です(詳細は各総領事館まで)。在外選挙人証の交付には2カ月程度かかります。

総領事館で行う主な届出(※そのほかの届出や証明書の発行はウェブサイトを参照)

在留届

在留届書は、大使館及び領事館で入手できます。郵送による提出も可。ウェブサイト(オンライン在留届:www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html)からも提出できます。3カ月以上滞在する場合は必須。

婚姻届

●日本人同士の場合:確認書(同館ウェブサイトより印刷可)1部、婚姻届書3部、6カ月以内に発行の戸籍謄本または抄本2部、カウンティー発給の婚姻登録済み証明書3部とその和訳文2部、日本国籍者のパスポートおよび滞在許可を示すもの。結婚後3カ月以内に届け出ること。
●国際結婚の場合:確認書1部、婚姻届2部、外国籍の方の国籍証明書2部とその和訳文1部、カウンティー発給の婚姻登録済み証明書2部とその和訳文1部、6カ月以内に発行の戸籍謄本または抄本2部、日本国籍者のパスポートおよび滞在許可を示すもの。戸籍を配偶者の氏に変更する場合、6カ月以内に届けること。

離婚届

確認書1部、離婚届3部、6カ月以内に発行の戸籍謄本2部、裁判所の最終判決文3部とその和訳文(必要な場合のみ。また、外国人との離婚の場合、戸籍謄本を除き、全書類1部ずつ少なくなる)、日本国籍者のパスポートおよび滞在許可を示すもの。離婚後3カ月以内に届け出ること。

出生届

確認書1部、出生届(窓口受け取りか、郵送で請求)2部、カウンティーの発給した出生登録証明書、または医師作成の出生証明書2部とその和訳文1部、両親(日本国籍者)のパスポート、および滞在許可を示すもの。出生後3カ月以内に届け出ること。

死亡届

確認書1部、死亡届2部、死亡証明書2部とその和訳文、死亡者の滞在資格を示すもの。死亡から3カ月以内に届け出ること。

国籍喪失届

国籍喪失届2部、日本旅券、帰化事実を証明する書類2部とその和訳文。アメリカ国籍の取得日から日本国籍を喪失するので、なるべく早く届け出ること。

※そのほかの届出や証明書の発行はウェブサイトを参照

在米大使館と各総領事館の連絡先

  • 在アメリカ合衆国日本国大使館 ☎202-238-6700 www.us.emb-japan.go.jp
  • 在アンカレッジ領事事務所 ☎907-562-8424 www.anchorage.us.emb-japan.go.jp
  • 在アトランタ日本国総領事館 ☎404-240-4300 www.atlanta.us.emb-japan.go.jp
  • 在ボストン日本国総領事館 ☎617-973-9772 www.boston.us.emb-japan.go.jp
  • 在シカゴ日本国総領事館 ☎312-280-0400 www.chicago.us.emb-japan.go.jp
  • 在デンバー日本国総領事館 ☎303-534-1151 www.denver.us.emb-japan.go.jp
  • 在デトロイト日本国総領事館 ☎313-567-0120 www.detroit.us.emb-japan.go.jp
  • 在ハガッニャ日本国総領事館 ☎671-646-1290 www.hagatna.us.emb-japan.go.jp
  • 在サイパン領事事務所 ☎670-323-7201/7202 www.hagatna.us.emb-japan.go.jp
  • 在ホノルル日本国総領事館 ☎808-543-3111 www.honolulu.us.emb-japan.go.jp
  • 在ヒューストン日本国総領事館 ☎713-652-2977 www.houston.us.emb-japan.go.jp
  • 在ロサンゼルス日本国総領事館 ☎213-617-6700 www.la.us.emb-japan.go.jp
  • 在マイアミ日本国総領事館 ☎305-530-9090 www.miami.us.emb-japan.go.jp
  • 在ナッシュビル日本国総領事館 ☎615-340-4300 www.nashville.us.emb-japan.go.jp
  • 在ニューヨーク日本国総領事館 ☎212-371-8222 www.ny.us.emb-japan.go.jp
  • 在ポートランド領事事務所 ☎503-221-1811 www.portland.us.emb-japan.go.jp
  • 在サンフランシスコ日本国総領事館 ☎415-780-6000 www.sf.us.emb-japan.go.jp
  • 在シアトル日本国総領事館 ☎206-682-9107 www.seattle.us.emb-japan.go.jp

(2023年春の増刊号)

着任記念インタビュー:千葉 明・在ロサンゼルス日本国総領事

※以下の記事は「ライトハウス・ロサンゼルス版 2016年10月1日号」掲載の情報を元に作成しており、情報は執筆当時のものです。

千葉 明・在ロサンゼルス日本国総領事

千葉明◎1959年テヘラン生まれ。東京大学法学部卒業後、84年に外務省入省。北京大学、カリフォルニア大学バークレー校(修士)で研修後、在中国大使館参事官、在アメリカ合衆国日本大使館公使、在イラン日本大使館公使などを歴任。 2016年7月より在ロサンゼルス日本国総領事。著書に『なぜアメリカでは議会が国を仕切るのか』他多数。

2016年7月25日に着任された千葉明・在ロサンゼルス日本国総領事。カリフォルニア大学バークレー校での研修やワシントンDCでの在アメリカ合衆国日本大使館勤務など、アメリカと関わりの深い千葉総領事にお話を伺いました。

ロサンゼルス赴任が決まった時は、どう思われましたか?

思いがけない辞令で、「ええ!」と大声を出してしまいました(笑)。アメリカ生活は、ワシントンDCの日本大使館勤務に続き、4度目です。

連邦議会担当公使としての経験を基にした米国政治に関するご著書をお持ちですが、今の日米関係についてお考えをお聞かせください。

ワシントン勤務時代に思ったのは、同盟維持がいかに難しいかということでした。日本では「日本はアメリカの属国のようだ」などと言われますが、現実には属国でも何でもありません。日本には日本の主張があり、生き残るために、アメリカとの同盟関係を保つことが最も効果的な選択だということが原点にあります。
同盟は単に軍事的な約束事があるだけでなく、同盟国は常に共通の利益を見出して寄り添っていくという行動を取ります。これは日本がアメリカのために戦争をするというようなことではなく、「I got your back.」(後ろは俺に任せておけ)という言い方がありますが、互いを守り合う相棒の関係になるということ。例えば、東日本大震災発生時は、米軍がすぐに救援に駆け付けてくれましたよね。日米関係はこのように成熟したものになっているわけです。
一方で同盟関係を維持していくためには、いつも微調整が必要です。しかし、その微調整をないがしろにしてきた部分があるのではないかと反省しています。この関係を当たり前だと思ってしまった背景の一つには、アメリカの中に日本が入り込んでいることもある。例えば、寿司は和食ですが、アメリカ料理になりかけています。入り込み、逆に見失ったものがあるかもしれない。それを呼び覚まし、日本が仲間であることがいかに良いことか、改めて訴えていく必要があります。2017年の開館を目指しているジャパンハウスでは、対外発信の拠点として、ポジティブな日本の姿をどんどん打ち出していくつもりです。良いイメージを広めて、日本に対する批判がしぼんでしまうような活動を目指していきます。

そうした批判のように意見や価値観が異なる時、どうされますか?

日々の接触の中では、「違う」ということを前提にすべきだと考えています。私はこれまで2度、中国で勤務しましたが、中国人は日本人と表面的に似ているところも数多くあるので、同じだと思い込んで誤解が誤解を呼びケンカになることもありました。元の考え方が全然違うので、表に出たところがたまたま似ていても、自分の常識で判断してはいけないんですよね。相手は相手の文化に根ざした考え方でその行動を取っているわけで、常々質問をして勉強をして相手の文化を知るように努め、なぜそうなのかを考えることを怠ってはならならないと思います。でも、それで理解できなくても、自分が間違っていると恥じる必要はありません。
また外交上では「毅然として対応すべし」などと言いますが、毅然とするのは良くないですね(笑)。こちらが毅然とすると相手も毅然として、引っ込みがつかなくなります。ずっとやっている合気道も似たところがありますが、ぶつからない、自分の軸はぶらさない。それで相手の力をうまく流せば、相手が勝手に倒れてくれる。勝つわけではないけれど、相手が勝手に負けてくれるのです。これがおそらくは合気道の理想であり、外交の理想でもあると思います。

ロサンゼルスではどんなお仕事に取り組んでいかれるご予定ですか?

最重要なのは在留邦人の方々へのサービスです。そして当地には日本とつながりを持ちたいという希望を持たれている日系人の方々も多くいらっしゃいますので、その架け橋となるお手伝いができればと思います。またジャパンハウスも来年の開館を目指して取り組んでいきます。

お仕事を離れて、アメリカで出掛けたい場所はありますか?

イエローストーン国立公園に行くという約束を妻としたまま果たせずにいるので、来年の夏には行くつもりでいます。あとはユニバーサルスタジオ・ハリウッド。面白そうですよね。

最後に、好きな食べ物は?

麺類が大好きです。スパゲティー、うどん、そば、フォー、麺であれば何でも良いくらい麺が好きですね。

(2016年10月1日号掲載)

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