ビザ発給停止の措置について詳しく教えて下さい!

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Q. 私は、日本のある会社からの駐在で、アメリカ支社の代表をしています。私たちの会社には、私を含めビザで滞在している駐在員が何名かおり、その中にはグリーンカードの申請を行っている者もいます。6月にトランプ大統領が今年いっぱい、ビザ、グリーンカードの発給を止めるとの発表がありました。このビザ発給停止の内容を詳しく教えてください。

A. トランプ大統領は、2020年4月20日、アメリカ国民の雇用を守るため、グリーンカードの申請手続きを60日間停止する発表を行った後、20年6月22日にはこの制限の延長に加えて、今年いっぱいまで、定められたビザによる入国を停止すると発表しました。以下、制限の内容とその解説、およびそれに対する一般的な対応策も含めて説明します。

発給停止の対象となるビザは「H-1B」「H-2B」「J」「L」

制限の対象になるビザの種類は、「H-1B」「H-2B」「J」「L」の各ビザです。その他のビザ(「B」ビザ、「E」ビザ、「O」ビザなど)は対象外です。「H-1B」ビザは、専門職ビザと言われるもので、申請者が4年制大学を卒業しているか、それに相当する職務経験があり、米国での職務内容が複雑かつ専門的であり、大学あるいは職務経験で学んだことを当該職務で生かすためのビザです。「H-2B」ビザは季節(一時)的熟練・非熟練労働者のビザ、「J-1」ビザは学生、研究者、研修生、教師、大学教授などの交換プログラムに用いられるビザです。「L-1」ビザは、日本にある会社(親会社)から米国内にある会社(子会社)に派遣される人のためのビザです。
これらのビザの制限は、①20年6月24日の時点でアメリカ国外に滞在していて、②20年6月24日の時点で有効なビザを保持していない場合に適用されます。従って上記のビザステータスにてアメリカに既に滞在している人、仮にアメリカ国外にいても、6月23日以前に既にビザの発行を受けている人は制限の対象外です。例えば、6月24日の時点でアメリカに会社員の夫が「L-1」ビザで滞在していて、その配偶者と子どもが日本にいて、「L-2」ビザを持っている場合、その配偶者と子どもの6月24日以降のアメリカ入国も可能ですし、夫は6月24日以降の滞在、就労が継続できるだけでなく、「L-1」ビザの有効期限内であればアメリカからの出入国も可能です。
ここで重要なことは、ビザの制限を課しているだけであって、ステータスの制限を課しているわけではないということです。すなわち、上記に該当するビザを持っている場合は、ビザの有効期限内はアメリカからの出入国が可能で、ビザが切れた後もアメリカからの出入国ができなくなるだけ(もちろん、これによる障害が発生する可能性は大いにありますが)であって、アメリカ国内に滞在している限り、ステータスが切れる前に延長申請を行えば、継続してアメリカ国内で滞在・就労が可能になります。従って、「H-1B」ビザであれば最大延長期限の6年まで、「L-1A」の場合は7年、「L-1B」の場合は最長5年までの延長が可能です。このステータスの有効期限は、「I-94」に記載されています。また、この有効期限の後(あるいは、仮に「H」「L」ステータスにも制限がかかった場合)も、日本人の場合はアメリカ国内において「E-1」または「E-2」ステータスに切り替えることにより、滞在、就労を継続する手段も考えられます。

グリーンカードの場合、申請自体は引き続き可能

グリーンカードに関する制限も延長されましたが、これに関しても重要なことは、申請自体が停止されたわけではないということです。例えば、アメリカ市民との結婚を通してグリーンカードをアメリカ国内で申請する場合、申請した時点でアメリカに合法的に継続して滞在することができ、その後、就労許可、一時渡航許可を取得できます。仮にその後のグリーンカードの発行が遅れたとしても、発行までの間、アメリカ国内で合法的に滞在、就労および出入国ができます。就労を通してグリーンカードを申請する場合、多くの場合は①募集広告、②労働局の審査、③「I-140」の申請、④「I-485」の申請の4つのプロセスに分かれますが、④の「I-485」の申請を行えば、上記の結婚を通しての申請と同じく、就労許可、一時渡航許可が発行され、グリーンカード発行までの間、アメリカ国内で合法的に滞在、就労、および出入国ができます。言い換えると、グリーンカードを保持しているのとほとんど変わらない状態で、面接・グリーンカードの発行を待つことになります。
今回のトランプ大統領の規制内容は今後、変更、延期の可能性があるとされています。もちろん、この規制により、不都合が生じることは大いにありますが、反面、適切な対応をすることで、それを最小限に抑えることができる可能性も十分にあると言えます。

 
※このページは「2020年7月16日号ライトハウス・ロサンゼルス版」掲載のコラム『移民法のツボ(瀧 恵之)』を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

◎ 瀧 恵之 / Yoshiyuki Taki Attorney at Law
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TEL 310-618-1818 / FAX 310-618-8788
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