グリーンカードの発行停止に関する新しい情報はありますか?

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Q.私は、3年ほど前にOPTが切れて、その当時働いていたLAの会社を辞め、日本に戻りました。同じ会社からは、グリーンカードをサポートするので、グリーンカードが取れた後は戻ってきてほしいということで、日本に戻った後もグリーンカードの手続きは継続してくれていました。昨年の4月に東京のアメリカ大使館で面接を受ける予定になっており、それに伴いアメリカに引っ越しをする準備をしていました。そんな矢先、トランプ前大統領によりグリーンカードの手続きが止められ、私の面接もキャンセルとなり、今に至ります。私は再度、アメリカで働くことはできるのでしょうか?

A.バイデン大統領は、2021年2月24日に、トランプ前大統領が20年4月に発表を行った、移民ビザによるアメリカ入国制限を解除しました。これにより、約10カ月間にわたる移民ビザの制限に終止符が打たれることになりました。

「移民ビザ」の対象者はグリーンカード申請者

ここでいう移民ビザとは、日本のアメリカ大使館で面接を受けた後に発行される、有効期限が半年間のビザを指します。アメリカ入国の際、空港で簡単な手続きを行い、その後1~2カ月で、指定した住所にグリーンカードが送られてくる流れになります。就労は、アメリカ入国後すぐに可能になります。トランプ前大統領の制限では、アメリカ市民の配偶者や医療関係など一部の申請者は例外としてこの制限の適用外としましたが、例えばグリーンカード保持者の配偶者、子ども、アメリカ市民の親などはこの制限の対象となり、アメリカに配偶者をはじめとした家族がいるにもかかわらず、日本で待機することを余儀なくされていました。あなたの場合も例外ではなく、就労を通して申請した人も、日本のアメリカ大使館での面接を受けることができずに今に至っていました。この制限はあくまで、アメリカ国外でグリーンカードの申請(Consular Process と呼ばれる申請方法)を行っていた人に対してであり、アメリカ国内(Adjustment of Statusと呼ばれる方法)で申請した人は、この制限の対象とはなりませんでした。従って後者はいくらかの遅れは生じたものの、手続きは継続して行われました。また、就労を通してアメリカ国内で申請を行った人の中には、コロナパンデミックの影響で移民局が従来通りの面接を行えないため、面接を免除されて認可を受けた人も少なくありませんでした。トランプ前大統領は、前述の制限の発表の際、アメリカ国民の雇用を守ることをスローガンとしてこの制限を課しましたが、移民局のデータによると、家族申請の94%の申請が(日本などの)アメリカ国外において(Consular Processにより)行われており、すなわち、家族申請のほとんどの申請者がこの制限の影響を受けたことになります。一方、就労を通して申請している人の80%はアメリカ国内での申請(Adjustment of Status)のため、大半の申請がこの制限の影響を受けていないことになります。従って結果的には、就労を通してグリーンカードを取得している人への制限はアメリカ国民の雇用を守るという意味で大きな効果は見られず、逆に家族が一緒に暮らすことを目的としてアメリカに移住してくる人々に大きな影響を及ぼしてきたという皮肉な結果をもらたしている、との考察がなされています。今回の制限の解除は、このような背景が考慮され、離れ離れになっている家族が1日でも早く一緒に暮らせるようになることを目的としているとも言えます。

「非移民ビザ」の制限は現状3月末までの予定

この制限の解除は、今のところ(21年2月28日現在)、移民ビザに関してのみの適用であり、「L」ビザ、「H」ビザなどの非移民ビザに関しては適用外とされています。従って、同じような解除の発表がない限り、これらの非移民ビザの制限は3月末まで続くことになります。あなたの場合は、具体的な時期に関しては、同日の時点では発表されていませんが、大使館からの面接の通知を待つことになります。面接では、特にアメリカで働く会社の事業内容、役職およびその具体的な仕事内容、その職務を行うのに要求される条件、言い換えるとあなたの学歴・職歴の説明を問われることがよくあります。長い時間を待った後の面接でもあるので、会社からのオファーレター(Notarizeされている必要があります)、戸籍謄本の原本、移民局からの認可証、その他の必要書類を整え、審査官からの質問に的確に答えられるよう万全の準備で臨まれることをお勧めします。面接にパスすれば、前述の移民ビザが郵送で送られてくることになり、その後、半年以内にアメリカに入国すれば、グリーンカードが発行されます。

※このページは「2021年3月16日号ライトハウス・ロサンゼルス版」掲載のコラム『移民法のツボ(瀧 恵之)』を基に作成しています。2021年2月28日時点の情報をもとにしており、最新情報は変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。

◎ 瀧 恵之 / Yoshiyuki Taki Attorney at Law
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