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ビザに関する疑問に回答!アメリカ移民法Q&A

現地情報誌「ライトハウス」に連載中の米国移民法・ビザ申請の疑問に答える人気コラム。永住権・グリーンカードの申請から、就労(H1)ビザ申請、留学ビザ(Fビザ)、Jビザ申請、さらにはアメリカでの会社設立などについて、さまざまなケースを専門家が徹底解説。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

ソーシャル・ネットワーキング サイトを、移民局が監視?

吉原 今日子 弁護士

Q:最近移民局が、ソーシャル・ネットワーキング・サイト(SNS)をチェックしていると聞きます。それによるビザ申請却下もあるそうですが、本当ですか?移民局は、何をチェックしているのでしょうか?何か気を付けた方が良いことはありますか?


A:移民局の中には、移民法上の不正申請・受給を専門に監視し、取り締まる部署があります。この組織は、「Fraud Detection and National Security(FDNS)」と呼ばれます。例えば偽装結婚でのグリーンカードの取得や、虚偽の情報に基づく就労ビザの取得について調査しています。このような申請で仮に認可されたとしても、後日の追跡調査やサイトビジット(実地調査)によって不正・詐欺行為が判明すれば、取り消し処分がなされる場合もあります。

FDNS の活動は広範囲にわたります。LビザやHビザの申請において、不正申請防止のための費用(0)が申請費に含まれていることから、FDNS の活動を、申請者が財政的に負担しています。

移民法上の不正申請を調査するために、FDNS がソーシャル・ネットワーキング・サイトの監視をしていることが明らかになりました。この事実は、「Electronic Frontier Foundation」という非営利団体が、政府に対して起こした情報公開法(Freedom of Information Acts)に関する訴訟において、政府から提出された資料の中で判明しました。この資料とは、2008年5月に移民局内部のみに通達された「Social Networking Sites and Their Importance to FDNS」というメモのことです。以下は、このメモからの抜粋です。

ソーシャル・ネットワーキング・サイトは、FDNS にとって、不正なビザ申請の疑いのある申請者・受益者の日常を観察するのに非常に有効である。一般的にそれらのサイトオーナーは、IM(インスタント・メッセージ)やブログなどで、家族や友人と交流を持っているため、サイト上では正直に日常を語っている。ソーシャル・ネットワーキング・サイトは、申請者・受益者が正当な関係を持っているか、それとも移民局を欺き不正に移民法上の利益を受給しようとしているかを、サイトを見ることのみによって明らかにできる有効な機会である。サイトオーナーがこれらサイトに記載する内容は、ユーザーの活動が一覧できる公的記録となる。つまりは、MySpace や同様のサイトを利用することは、申請者・受益者に対する事前予告のないサイバースペース上のサイトビジットになりうる。

求人ウェブサイトなどの掲載内容にも要注意

これに対して Electronic Frontier Foundation は、「サイトオーナーのオンライン・プロファイルは、必ずしも彼らの実生活を正確に表したものではない。偽装結婚など移民法詐欺を働こうとしている者や詐欺常習者は、偽装結婚を本物らしく見せるためには何でも利用する。写真など婚姻関係の信憑性を高める物をソーシャル・ネットワーキング・サイトに掲載することなどは、すでに行われている」と、監視の有効性に疑問を投げかけています。

Electronic Frontier Foundation では、移民局によるソーシャル・ネットワーキング・サイトのチェックに不正申請を防ぐ一定の効果があることは認めた上で、「問題なのは、移民局の捜査員が実態を明らかにせず、サイトオーナーの“友人” として登録し、サイトを監視することだ」と、指摘しています。

この訴訟に関する裁判所の判断はまだ出ていません。しかし、政府・移民局が日常的にどのような監視を行っているか判明したことで、今後論議を呼ぶでしょう。

このように、LinkedIn、facebook、MySpace、Twitter での情報や書き込みが、現在あなたが保持するビザに影響を及ぼす可能性は大いにあります。移民局は、申請書と異なる情報を「移民法不正行為」と解釈し、ビザやグリーンカード申請を却下したり、果ては強制送還や入国拒否に転じるかも知れません。

また、勤務先、および雇用主のウェブサイトに関しても同様のことが言えますので、そこに載せる情報には気を付けてください。特に注意が必要なカテゴリーは、Job Title、Employer Information、Place of Employment などです。

職種や勤務地によって、労働省が定める申請者の最低賃金などが変わります。同じ職種でも、勤務地によって1万ドルも賃金設定が変わることがあります。念のため申請書を見返して、申請書の情報とウェブサイトに載せている情報とに違いがないか確認し、移民局に誤解されないように気を付けてください。

(2011年2月16日掲載)


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