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ビザに関する疑問に回答!アメリカ移民法Q&A

現地情報誌「ライトハウス」に連載中の米国移民法・ビザ申請の疑問に答える人気コラム。永住権・グリーンカードの申請から、就労(H1)ビザ申請、留学ビザ(Fビザ)、Jビザ申請、さらにはアメリカでの会社設立などについて、さまざまなケースを専門家が徹底解説。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

米国子会社に派遣中、会社が合併 このまま就労は続けられる?

吉原 今日子 弁護士

Q:大学で経営学を学び、日本の商社で6年勤務した後、L-1(派遣)ビザで日本の会社より米国の子会社に派遣され働いています。現在、この子会社が米国の別会社と、9月を目処に合併する計画が進んでいます。合併や吸収によって会社の形態が変わった場合、ビザ保持者にどのような影響が出るのでしょうか?


A:ビザの種類(主にLビザ、Eビザ)によっては、会社の合併や吸収などで、申請書類の変更、一部申請手続きのやり直し、もしくはビザ自体が無効になる可能性があります。

LビザとEビザの取得条件の一つは、日本の親会社が、米国の子会社の株を50%以上保有していることです。米国の子会社の合併後も、親会社が50%以上の株保有率を維持している場合、ビザ申請書類に記入した内容の変更を移民局に提出すれば、ビザを取り直す必要はありません。

しかし、親会社の株保有率が50%以下になった場合は、LビザとEビザの取得条件を満たさなくなり、ビザは無効になります。その結果、米国での滞在、および労働許可を失ってしまいます。

この問題を事前に防ぐために、現在お持ちのビザをほかのビザに切り替える手続きを、できるだけ早く始めてください。その場合、H-1Bビザなど、会社の国籍に影響されない労働ビザの取得をおすすめします。

他のビザ、または永住権へ会社の合併前に申請開始

H-1Bビザ取得のためのおおまかな条件は、/柔措圓学士号以上、またはそれに匹敵する職務経験を保持している、⊃柔舛垢覿伴錣蓮学士号以上の学歴、専門知識が要求されるものである、その学士号、あるいは職歴が、職務において活かされるものであることです。

H-1Bビザの申請受付は、4月1日より開始しています。ビザ発給数が年間支給枠に達した時点で、受け付けは締め切られます。4月20日現在、6万5000の枠に対し、2万5000の申請が届いているという状況ですので、今ならH-1Bビザ申請は十分可能です。ビザ取得後、仕事を開始できるのは10月1日以降になります。

仮に、Lビザ、またはEビザの有効期間が、今年の12月まであるとします。会社の合併が9月30日にあり、日本の親会社の株保有率が50%以下になるとします。H-1Bビザの申請がビザの切り替えのタイミングに合わない(例えば、申請前に枠が埋まり、受け付けが締め切られてしまった)場合、会社の合併後、たとえLビザ、またはEビザの有効期間が残っていたとしてもそのビザは無効になりますので、米国から出国しなければなりません。しかし、9月30日以前にH-1Bビザの申請が移民局に受理され、10月1日までに認可される、もしくはケースが審査中の場合は、そのまま滞在することが可能です。H-1Bビザに切り替える際、職務内容や給料設定など、細かな条件を満たす必要がありますので、早目に会社の担当者と検討されることをおすすめします。

また上記以外に、LビザまたはEビザが失効する前に、永住権申請を始める方法も考えられます。

あなたの場合、大学を卒業し、スポンサーである雇用主の業務に関連した職務に5年以上従事しているので、修士号を持つ人と同等の知識があるとみなされ、「EB-2」というカテゴリーで永住権が申請できます。会社の形態に変更があった場合でも、申請上の影響はありません。

雇用を通しての永住権申請の場合、大きく分けて3つのステップがあります。第1ステップは、「Labor Certification」(労働局の審査-PERMと呼ばれるもの)です。米国内にあなたが従事する職務を遂行できる米国人がいないことを証明する審査です。第2ステップ(I-140)では、主にスポンサーである会社が、労働局で定められた給料をあなたに払うことができるかの審査です。最後に第3ステップ(I-485)として、申請者自身が条件を満たしているかの審査が行われます。

EB-2の場合、第2、第3ステップを同時に行うことができます。I-485の申請をすると、「労働許可書(EAD)」と「渡航許可書(AP)」が与えられ、この時点でビザは必要なくなります。

あなたの場合、直ちに永住権申請の手続きを始め、9月の合併完了までの間は、そのままL-1ビザ保持者として会社の業務に携わり、合併終了後までに、EADとAPを取得できれば、そのほかのビザを申請する必要はありません。

ビザの種類選択、申請時期の判断、取得条件の理解は、複雑な米国移民法の知識が要求されると同時に、長年の経験が求められます。判断を誤ると、あなたが築き上げた米国での生活を失うことになりかねません。一日でも早く移民法専門の弁護士に相談することをおすすめします。

(2012年5月16日号掲載)


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