サンディエゴ発の日本人サーフボードメーカー「バーダム・サーフボード」

ライトハウス電子版アプリ、始めました

ライトハウス・サンディエゴ版編集長、吉田聡子が、サンディエゴ生まれのブランドを訪問。世界に羽ばたいた物から、ローカルにこだわる物まで、名品の背景にある物語を探ります。

Birdom Surfboards / バーダム・サーフボード

バーダム・サーフボードの日本人サーフボードシェイバー、コウダイさん

コウダイさん。どんなボードが欲しいか、具体的なイメージがない人でも、ぜひ相談してほしいと語る。

サンディエゴはオーシャンサイドに、日本人サーフボードシェイパーがいる。Birdom Surfboardsのコウダイさんだ。分かりやすくシェイパーと書いたが、正確にはサーフボードを削って形を作るシェイピングから、仕上げのグラッシングという工程まで、全てを一人で手がけるクラフトマンだ。基本的には注文を受けて、その人に合わせたカスタムメイドのサーフボードを制作している。

バーダム・サーフボードのシェイピングルーム。

シェイピングルーム。

多くのサーフブランドが本社を構えるカリフォルニアはサーフィンのメッカと名高い。ここサンディエゴにも著名なシェイパーが多数いる。そんな中で日本人が活躍しているのはすごい。しかし、コウダイさんは、「自分のブランドを広めたいという気持ちは全くないんです。究極を言えば、自分が乗りたいボードを自分で作れて、サーフィンを続けられればそれでいいんです」と気負いがない。

バーダム・サーフボードでの作成過程の1つ、シェイプが終わってグラッシングに入る前のボード。

シェイプが終わってグラッシングに入る前のボード。

かといって、自分が乗るのではない売り物のボードを片手間で作っているわけではない。コウダイさんがサーフボードについて語る時、そこには静かだけど確かな情熱を感じる。
 
「欲しいボードのイメージがあるなら、カスタムオーダーするのがいいと僕は思っています。ただ、カスタムと言っても一般的には注文書に記載した後は制作者が作業して終わり。でも、僕がやりたいのは、最初から最後まで全ての工程で、その都度お客さんと話をして一緒に作っていくこと。そういうやりとりを通して、その人が本当に欲しいボードを作りたいんです」(コウダイさん)。

バーダム・サーフボードでの作成過程の1つ、色付きの樹脂が垂れてアートのようになったグラッシング後の床

グラッシング後の床は色付きの樹脂が垂れてアートのよう。

サーフィンにはまると、自分なりの理論やスタイルが確立されていくことが多いが、コウダイさんは「別の人に注文してもいいんですよ」「必ずしもカスタムオーダーでなきゃいけないわけでもない」と、自分流を押し付けることがない。
 
Birdom Surfboardsのサイトにはこんな言葉がある。I want ever yone to purely enjoy this ar t of “riding waves” with a big smile on your face.

バーダム・サーフボードの日本人サーフボードシェイバー、コウダイさんにインタビューするライトハウスサンディエゴ版編集長の吉田

従来のウレタンフォームを使ったボードだけでなく、軽めのEPS(発泡スチロール)を使ったボードも積極的に制作している。「EPSはどんどん進化しているので、昔、乗り心地が苦手と感じた人にも今のをぜひ試してみてほしいです。何より軽いので、旅行用やお子さんのボードにもいいと思います」とコウダイさん。

本質に立ち戻ると、波に乗るのは理論もスタイルも関係なく純粋に楽しいもので、その楽しさは技術や知識の有無にかかわらず享受する権利があるし、享受できるものである。そして何よりサーフィンは自由だ。コウダイさんが口に出してそう語ったわけではないが、彼の澄んだ目を前にして、そのことを思い出させられた。
 

◎Birdom Surfboards / バーダム・サーフボード
387 Via El Centro, Oceanside
☎ 858-465-0071
▶ Webサイト:www.birdomsurfboards.com

※このページは「ライトハウス・サンディエゴ版 2018年7月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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