高校生のうちに確認したい、満足のいく大学生活を送るための条件

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アメリカの大学を目指す受験生にとって、5月1日は特別な日です。大学の結果は3月末にほぼ出そろうので、合格校の中から進学する大学を選び、デポジットを払い、大学の籍を確保します。その締め切りが5月1日です。進学コンサルタントの私にとっても 5月1日は特別な日ですが、これで終わりではありません。入学から1年目を終えるまでを見届けます。1年目を無事に乗り切れれば、卒業まで順調に進める可能性が高いからです。大学生や保護者から「うまくいかず悩んでいる」という相談が増えるのもこの時期です。アメリカの4年制大学は、入学後6年以内に卒業できる学生は6割で、残りの学生は中退したり、学習を一時中断したり、進路に何らかの困難を抱えています。つまずく学生の特徴はいくつかあり、私は、それを3F(Fundamentals、Fit、Family Relationships)と呼んでいます。3Fに問題がなければ、順調に大学生活が送れる場合がほとんどです。この3Fは高校生の間に対応が可能です。

1. Fundamentals

学習の基礎となる「学力」、「学習意欲」、「コミュニケーション力」の3つがFundamentalsの要素です。大学に合格したということは、その大学で学ぶのに必要な学力があると認められたからです。ただし、書く力(Critical Writing)や読む力(Critical Reading)に不安がある学生は、高校の英語の授業にしっかり取り組むことをお薦めします。高校生活で燃え尽き、大学で学び続ける意欲を失っている学生は少なくありません。その状態で進学しても、満足のいく成果を得ることは難しいでしょう。そのような学生は、自分の将来と向き合い、今、何をするべきか再確認することをお薦めします。すぐに答えが出ない場合、ギャップイヤーを取って、学習から離れることも効果的です。半年から1年の間、今までとは異なる環境に身を置き、今までできなかったさまざまな活動に取り組むことは、自分自身を見つめる上で役立ちます。大学生活で困ったことがあれば、すぐに先生やアドバイザーに相談し、問題が小さいうちに対処することも重要です。必要なとき、必要なコミュニケーションが取れることも、大学生活を乗り切るのに必要な能力です。大人とのコミュニケーションが得意ではない学生は、周りの人に相談する経験を高校生のうちに積んでおくと良いでしょう。

2. Fit

アメリカの大学は、さまざまな教育システムを持っています。自分の学習スタイルとフィットする大学を選べば、日々楽しく学習に取り組め、好成績が期待できます。合わない大学に進学すると、努力しても思うように成績が伸びず、それが学習意欲の低下を招くという負のスパイラルに陥ります。アプライする前から、大学のアドミッションとコミュニケーションを取って、その学校の特徴を知ることも重要です。可能であれば、ぜひ大学を訪問してキャンパスツアーや説明会に参加することをお薦めします。大学を深く知ることにより、自分と大学の相性を評価でき、大学選択の失敗を防げます。

3. Family Relationships

家族とのつながりも極めて重要です。大学生活でつまずいて私のところに相談に来る学生の中には、家族とコミュニケーションがうまく取れていないケースが非常に多いのです。すでに大学に進学した兄や姉が相談相手になってくれる場合は最も心強く、大きなつまずきは回避できます。保護者と何でも相談できる関係を築いている学生も、問題が大きくなる前に解決できることがほとんどです。悩みを一人で抱えず、周囲に相談する勇気を持つことは極めて重要です。高校生の間に3Fをクリアできれば、満足のいく大学生活が送れるでしょう。大学進学後に悩みが発生したら、立ち止まって考えることも大切です。長い人生において、大学在学中に少し遠回りするなど取るに足らないことです。それよりも、慌てて誤った方向に進むことで、後に問題が大きくなってしまうことの方が問題です。大学進学は、生涯続くキャリアのスタートです。目標を見失わず努力を続ければ、必ず道は開けるはずです。

(2021年4月16日号掲載)

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