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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

現地校で「リーディング力の向上」を 求められました。その理由は?

現地校で「リーディング力の向上」を求められました。その理由は?

松本輝彦(INFOE代表)

「読む力」は現地校で最も重要!その力を元にした授業を展開。

読書のトレーニング

アメリカでは、家庭から始まってクラス・学校へと、子供に読書習慣を身に付けさせ、読書力を向上させるさまざまな仕掛けが作ってあります。

●読み聞かせ
読書は、家庭での「読み聞かせ」から始まります。アメリカのテレビドラマでは、子供がベッドの中でお母さんやお父さんに本を読んでもらう場面が頻繁に出てきます。また、本屋さんの幼児コーナーや地域の図書館では、「幼児への読み聞かせ」の催し物がいつも開かれています。

●Reading for Fun
キンダーが始まると、子供に「自分で本を読む楽しさ」を教え始めます。教室の中には、子供たちが自由に読める本が多く準備してあり、教室の一角には子供たちがリラックスして読書できるカーペットやソファが置いてあったりします。「読書の時間」などを特別に作らなくとも、授業が終わった時は先生がそこで「読み聞かせ」をしたり、課題を早く済ませた子供はこのコーナーで読書をして時間を過ごします。

●Reading by 9
この言葉は、「9歳までに読書習慣や読解力の基礎を身に付けなければ、それ以降の教育や社会生活に困難を伴う」として、ロサンゼルスで展開されたプログラムの標語です。

3、4年生(9歳)までに読書習慣・読解力の基礎を身に付けた子供は、4、5年生から文章の内容を正確に論理的に読み取るトレーニングを受け始めます。与えられた課題やテーマを理解するための、文字を相手にした本格的な勉強の始まりです。この勉強は、読み取った内容や自分自身の意見や考えを書く(writing)のトレーニングと共に、高校卒業まで続きます。その「読み書く」力が十分身に付いていない子供は将来社会に出た時にサバイブできないとして、9歳までの読書の重要性を指摘した言葉です。

●クラス・学校全体で
小学校では児童に1ページ、1冊でも多く読書させるために、クラスや学校全体で読書運動に積極的に取り組みます。読書ページ数や読んだ本の数で、児童・学級・学年間の競争をし、賞品(賞金)を出して表彰します。時には、保護者や地域住民から読書ページ数に応じた寄付を集めて、学級の活動費に充てたりもします。1年間で全校児童が約束の読書5万ページを読破したので、校長先生が「豚のお尻にキスをした」「頭を丸刈りにした」などのニュースを見ることがあります。

●Core Book List
アメリカの学校教育では、幼児から高校生までの各学年向けの推薦図書をまとめた、さまざまなリストが作られています。読書力のトレーニングだけではなく、それぞれの年齢に応じた社会・文化的な内容を考慮して作られたリストです。

読書力活用の学習

読書力は、現地校での学習方法である「自学自習」の基礎です。その力を前提に、小学校高学年からの学習は組み立てられています。

◆分厚い教科書
現地校5年生の社会の教科書は500ページにもおよびます。教科書がこんなに厚いのは、日本の学校の「教科書」と「参考書」「資料集」の内容が1冊にまとめられているからです。

日本では、ページ数の少ない教科書をクラス全体で一緒に読んで、その内容のまとめや補足を先生が話したり板書したりして授業を進めます。

一方、現地校の教科書は「読めばわかる」ように書かれているので、児童はその教科書に書かれた内容を自分でじっくり読み取る、「自学自習」の勉強が基本です。授業では、先生は重点項目の確認をして、ディスカッションやプロジェクトに時間を多く使います。

◆プリント学習
教科書と、その章や節に準拠したさまざまな内容のプリントを活用した「自学自習」が一般的です。

そのプリントは、―斗徑儻譴猟蟲繊説明の確認、⊇斗彁項の内容を読み取る、F睛討鮗分の言葉で言い換える、て睛討里弔覆りを読み取り、確認、ゼ分の意見や感想を述べる、などの作業を段階的にさせる内容になっています。その各段階で教科書を何度も繰り返して読み直すことになります。

これらのプリントは、毎日の宿題として出されます。その宿題をすることにより、教科書の内容を自分で学習する仕掛けになっているのが、現地校の学習方法です。

(2010年6月16日号掲載)