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Study

アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

4年生になって現地校の成績が下がってきた

5歳で渡米してキンダーガーテンに編入、地域の公立学校で4年生になる子供がいます。1年生の時にはESLから普通クラスに移り、学校の成績も順調に伸びてきましたが、4年生になってから、成績が下がって悩んでいます。

松本輝彦(INFOE代表)

書き言葉の学習に移行する段階
乗り越えればバイリンガルに一歩前進

 子供の学校成績が下がる原因は、その子供の個人的な理由も含めると、星の数ほどあるでしょう。ご相談では「成績が下がって」とのことですが、何の科目で成績が下がり、どんな内容で苦労しているのかがはっきりしません。ここでは、一般的な対応と、現地校4年生前後における一般的な学習のステップに着目して、あえてご質問にお答えします。

先生と面談し
具体的な話を聞く


 1番最初にすることは、現地校の先生との面談です。お子さんが、どの科目で、どのような困難を抱えているのか、低い評価を下している担任の先生の意見をしっかり聞くことです。お子さん自身の授業態度や家庭学習に問題がないかについて、また、同じ年頃の子供が抱える問題についても、意見を聞きます。抽象的な話だけではなく、成績を上げるための具体的な勉強方法や親としてできるサポートのアドバイスを求めてください。先生も熱心に答えてくれるはずです。

なぜできないのか
理由を子供と話し合う


 先生のアドバイスを頭において、次は、お子さんと話をしてください。怒っても何の意味もありません。お子さんが苦労している内容を見つけ出すための話し合いです。「ホームワークを提出していない」のならば、「サボっている」と責めるのではなく「なぜ」提出できないのか、その理由を一緒に考えるのです。算数がわからないのならば、どの部分がわからないのか教科書を広げて確認してください。
 この学齢での勉強のつまづきは、後で述べるように、それ以後の学年の勉強に大きく影響します。先生・お子さんと話した結果を踏まえて、サポートを始めてください。ご両親自身が毎日の家庭学習に付き合う、家庭教師など外部のリソースを求める、などが現実的な方法でしょう。行動が大切です。

低学年は
よく話す子ができる子


 キンダーから現地校で学び、英語力にも問題がない子供が4年生で苦労し始める。その苦労の1番の原因は「話し言葉での学習から書き言葉での学習への移行に伴う困難」です。
 キンダーから小学校低学年までは、簡単に言うと「よくおしゃべりする子が、勉強のできる子」です。日常生活の延長で、話し言葉、特に生活に必要な言葉(生活言語)での学習が中心です。学習内容は非常に基礎的なもので量も少なく、子供たちが楽しく学校へ行ける時期です。
 この学齢段階の読書は「Reading for Fun」という呼び方が示しているように、「楽しんで読書をし、読書を習慣づけする」のが目的です。

書き言葉での
学習への移行が困難に


 ところが、4年生以降の勉強は、高校や大学での学習に必要な学習やスキルの基礎トレーニングが本格的に始まる時期です。こちらも簡単に言うと「本を読む子が、勉強のできる子」です。
 勉強の中心が「書かれた言葉」に移る時期です。生活言語から学習言語へと移ってきます。学習で扱う内容が、家庭生活や日常生活とは関係ない内容、お父さんやお母さんと話し合うような話題を越えていきますので、読書での知識獲得が不可避になるのです。
 読書では、4年生以降は、文章に書かれた内容を正確に読み取るトレーニングが中心になります。「Critical Reading」と呼ばれるこの読書の仕方の練習は、高校卒業まで続きます。
 もう1つの顕著な違いは、「書く」トレーニングの始まりです。「Five Paragraph Essay(5段落エッセイ)」の書き始めです。自分の意見や考えを相手に正確に効果的に、文章で伝える書き方です。5つの段落という形式的な基礎的段階から、論理的な段落構成というより高度な段階の練習を大学進学まで続けます。



 現地校の4年生での勉強の変化がいかに大きなものか、ご理解いただけたと思います。「成績が下がった」というサインの原因を知り、お子さんを積極的にサポートしてください。この苦しい、書き言葉の学習移行段階が乗り越えられれば、英語が第一言語として定着し、バイリンガルの夢に一歩近づきます。