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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

現地校2年生がジャーナルで苦労。 先生の添削もいい加減?

現地校2年生がジャーナルで苦労。 先生の添削もいい加減?

松本輝彦(INFOE代表)

子供の「創造性」を大切にして、「自由に書かせる」トレーニング。

「子供のジャーナルのノート を見たが、英語のスペルが間 違っていたり、主語や動詞がめ ちゃくちゃな文を書いている。 なのに、先生はその間違いを指 摘していないし、訂正もしてい ない」。こんな、お母さんから の苦情をよく聞きます。

ジャーナル指導の目的
現地校の小学1年から3年の 子供は、ジャーナル(Journal) を書く指導を受けます。

ジャーナル指導の目的は、句 読点(カンマやピリオドなど) の使い方、単語の綴り(スペ ル)、文の書き方(語順や文法) などの重要な基本事項、さらに は文章全体の構成や展開など を、子供たちに身に付けさせる ことです。

1、2年生では、日記や子供 の感想を自由に、多くても5文 (数行程度)で書かせることか らスタートします。3年生にな ると、先生が与えたテーマにつ いて5文以上で、構成も考えて 書かせる練習です。指導熱心な 先生は、授業中だけではなく、 毎日の宿題としてジャーナル を書かせます。

添削がいい加減?
「添削指導が不十分」という お母さんの不満もわかります。 しかし、それには理由があるの です。

実は、ジャーナルの添削指導 には、2つの流れがあります。

第1の方法は、子供の書いた ジャーナルを徹底してチェッ クし、間違いを指摘し、赤字で 訂正やコメントをいっぱい書 く方法です。先生のその添削を 見て、子供たちは自分の間違い に気付き、より正確でより良い ジャーナルを書くようになり ます。

しかし、この方法でしばらく 指導すると、ジャーナルを書か なくなる子、またはいい加減に 書く子が増えてくる現象が現 れてきます。あまり細かく指摘 するので、子供が「やる気」を なくして、ジャーナル指導自体 が成り立たなくなるのです。

そこで、子供の「やる気」を 引き出すために、第2の方法と して「間違いを気にしないで、 自由にたくさん書かせる」とい う方法が導入されました。スペ ルミスや文法の間違いの指摘 や訂正は最低限にして、子供が 自分で考え、自由に発想した 内容の文章をできるだけたく さん書かせます。「正確さ」を 犠牲にしてでも、子供に「創造 性」に富んだ文章を書かせよう とする方法です。この指導方法 で、子供の「やる気」が向上し、 ジャーナルの文章の量は増え、 書く回数も増えていきます。

しかし、馬力だけでたくさん ジャーナルを書かせていると、 スペルや文法を気にしない子 供が多くなり、「正確」な英語 が書けなくなって困ってしま います。そのため、第1の指導 方法に戻る先生や学校が増え ていきます。

現地校の教員の友人による と、ジャーナル指導の流れは 「第1と第2の方法を、 10 年ご とに行ったり来たりしている」 のが実情のようです。

ジャーナルからエッセイへ
小学校低学年でのジャー ナルの学習は、4年生以降の 「エッセイ」の指導につながり ます。

小学校高学年で学ぶエッセ イとは、「読者に自分の意見を しっかり伝える」文章です。5 つの段落からなるエッセイの 書き方を、4、5、6年の3年間 で、繰り返し、徹底して指導し ます。

この指導は、テーマ、内容、 形式がより複雑で、よりレベル の高いエッセイへと、中学、高 校まで続きます。さらに、大学 では、専門分野でのエッセイ、 論文、レポートの書き方に発展 していきます。

「読み書き」は基礎
以前のこのコラムで、現地校 での「読み」のトレーニングと しての「リーディング」の重要 さを、お話しました。

その「リーディング」力と並 行した、「ジャーナル+エッセ イ」の「書く」能力は、小学校で 身に付けなければならない最 も基礎的で重要な学習スキル です。

日本の学校の勉強に比べて、 「より多くの文章、本を読まさ れ、より多くのエッセイ、レ ポー卜を書かされる」のが現地 校の特徴です。アメリカの学校 での勉強は、この「読み、書き」 能力を基礎としているのです。

お子さんの先生は「添削に 熱心ではない」のか、学校での ジャーナル指導の流れが「創造 性」を大事にしているのか、わ かりません。「添削指導が不十 分」と思われるなら、上の話を 頭に置いて、先生に相談してみ てください。

(2010年10月1日掲載)