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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

高校3年の息子の進学先が未定! 親としてどうアドバイスをすれば?

高校3年の息子の進学先が未定! 親としてどうアドバイスをすれば?

松本輝彦(INFOE代表)

親自身も大学や就職の情報収集。 子供と情報の交換と共有が必要。

子供の希望は?

お子さんの希望大学は、アメ リカ、それとも日本?回答が 「日本」「アメリカ」のどちらで も、ゆっくりその理由を聞いて ください。

実は、ほとんどの高校生は 明確な希望や理由があって大 学進学を希望しているわけで はありません。その理由の1つ は、お子さん自身が、日本・ア メリカを問わず大学進学につ いてよく知らず、将来の自分の 希望や進路について十分考え る機会がなかったからです。

海外で生活する日本人の子 供が進路を決めるのには、保護 者の積極的なサポートが必要 です。

情報収集

まず、ご両親自身が、お子さ んの進路についての最新情報 の収集に積極的に努力するこ とです。

例として、日本の大学の激変 ぶりを紹介しましょう。

ご両親が大学に進学された 頃の1985年、 18 歳人口は 約 170 万人、大学進学率は 27 %、 4 年制大学(国公私立)は 460 校でした。しかし、 25 年後の 2010年、 18 歳は約 120 万人に 激減し、大学進学率は 50 %、大 学数は 778 校と増加しています。

この 25 年間で、「受験競争」 から、進学希望者が全員入学で きる「大学全入時代」に入った のです。そして、今から 10 年後 には 100 大学くらいが入学定員 の確保ができず、消滅するだろ うと言われています。

この大学入学の変遷は、大学 卒業生の就職や生活にも大き な変化を生んでいます。4人に 1人が大学に進学していたご 両親の時代には、「大学を卒業 すれば、良い職に就けて、良い 人生が送れる」だったでしょう が、2人に1人が大学生の現在 は、どうでしょうか?

日本の大学だけではありま せん。アメリカの大学にも大き な波が押し寄せています。

昨今の経済状況を反映した 州立大学の財政難は深刻です。 授業料の値上げだけにとどま らず、入学者数の抑制や開講 数・指導教官の大幅な削減など が、全米のほとんどの州で見ら れます。また、4年制大学志願 者数の増加により、私立大学も 含めた大学入学が「狭き門」と なってきており、人気大学への 進学を希望する高校生は9、 10 年生から高校の成績(GPA) を真剣に上げる努力を要求さ れます。

さらに、日本の大学進学を希 望するお子さんが受験する「帰 国子女大学入試」は国内生向け の入試とは大きく異なってお り、ご両親の受験経験がほとん ど役に立ちません。

このような日米の大学の現 状を知ることなしに、ご両親自 身の体験だけを元に、お子さん の大学進学へのアドバイスは 不可能です。さらに最新の情報 を、ご自身で知り、理解するこ とが不可欠です。

子供との情報共有

次に、高校生のお子さんと 「情報共有」する努力をしてく ださい。お子さんに「考えろ」 「こうしろ!」ではなく、「一緒 に調べ、一緒に考える」という 姿勢が大切です。お子さん自身 が現状を自覚して、進路を選択 することが望ましいからです。

「お子さんの日本の大学進学 についての知識や情報は、日本 の高校生に比べて 10 分の1以 下」と思ってください。逆に、 ほとんどのご両親は、アメリカ の大学教育や卒業後の就職の 実情についてはほとんど情報 を持っていません。

お子さんが知っていること を聞き出し、その知識、理解を 整理させてください。そして、 ご両親の視点で捉えた新しい 情報をお子さんに紹介し、共有 してください。

「私の高校生の時は…」と言 いたい気持ちは良くわかりま す。しかし、日本で大学進学を 目指していたご両親と海外で 住んでいるお子さんの、時代と 環境がまったく異なることを 理解する必要があります。

実は、この「情報共有」のプ ロセスを通して、お子さん自身 が自分の将来を考え、進路の希 望を見つけていきます。さら に、それが大学進学時の出願・ 受験準備にもなります。お子さ んと共にがんばってください。
◇  ◇  ◇  ◇
21 世紀に入って 10 年が過ぎ、 世界が大きく変化しました。さ らに大きな激動の時代が子供 たちの社会です。しかし、海外 で育っている子供たちは、その 激動の時代を生き抜いていく 力を身に付けていると、強く信 じています。その子供たちのた めに、このコラムを今年も続け させていただきます。よろしく お願いいたします。

(2011年1月1日掲載)