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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

日本の小学校の教科書が 大きく変わるそうですが、 何が、どう変わる?補習校は?

日本の小学校の教科書が 大きく変わるそうですが、 何が、どう変わる?補習校は?

松本輝彦(INFOE代表)

小学校新指導要領の完全実施で、学習の量と内容が増えます。

新学習指導要領

文部科学省が定める学習指導要領は、小・中・高、中等教育学校や特別支援学校の各学校が教える内容を定めたものです。国・公・私立を問わず、すべての学校での教育に適用されます。指導要領は、ほぼ10年ごとに改定されてきており、今回の改訂は2011年4月から小学校で完全実施されます。

改訂のポイント

新しい指導要領では、「ゆとり」か「詰め込み」かではなく「生きる力」を育む教育とし、基礎的な知識や技能の習得と思考力、判断力、表現力の育成を強調しています。

10年間続いた現在の指導要領は、それまでの知識重視型の「詰め込み教育」をやめて、経験重視型の「ゆとり教育」を導入しました。しかし、導入直後から「学力低下を招く」として大
きな批判にさらされました。

そこで、新しい指導要領では、「ゆとり教育」をやめて、「生きる力」を育てる教育を中心にしました。「生きる力」とは全人的な資質や能力を示し、具体的には「変化の激しいこれからの社会を生きる力」を意味しています。

学習の量・内容の増加

新指導要領では、「ゆとり教育」時代に比べて、学習の量と内容が増やされます。

昭和50年代の改定以来、減り続けてきた授業時間はおよそ30年ぶりに増加となります。小
学校の授業時数は、6年間で現行より278コマ増えて5645コマ、約5%増えることになりす。増えた時間は主要科目に割り当てられ、「基礎的・基本的な知識・技能の習得」を徹底し、「思考力・判断力・表現力の育成」を充実させます。

前回の「ゆとり教育」への改訂では、「円周率は3・14ではなく、3として教える」など、学習内容が3割程度削減されました。その削減された学習内容の一部が、今度の改訂で復活します。さらに、今回の改訂では、より進んだ学習内容を指導してもよいことになりました。これらの学習内容の増加を反映して、この4月から使用する教科書のページ数が増えることが予想されます。

さらに、小学5、6年生に「外国語(英語)活動」の時間が設けられます。時間数は最低週1コマとされていますが、時間数を増やす教育委員会や学校があります。文部科学省が作成した全国共通教材「英語ノート」を使って、アルファベットや285語程度の単語を学びます。

逆に、前回の改訂のシンボルとして、完全学校週5日制の実施とともに導入された、児童生
徒の自発的で教科横断的・総合的な課題学習を目指した「総合的な学習の時間」は削減されます。

補習校の勉強は?

今回の改訂で、学習内容の量が増え、質が高まることで、補習校の勉強にも影響が出ます。

現行の指導要領では、日本に比べて授業時間の極端に少ない補習校でも、なんとか教科書を学び終えることができました。しかし、今回の改訂により、学習内容が増え、補習校の授業でカバーしなければならない部分が増えることが予想されます。補習校の授業時間を増やすことはできませんので、補習校で指導する先生方が教材の重点化や精選を進め、準備を十分して授業に臨む必要が出てきます。もちろん、課題や宿題が増えるので、子供自身の勉強量が増えることも予想されます。もっとも、どの程度学習量が増えるのかは、それぞれの学校や先生の判断によりますので、4月以降の子供たちの勉強に注意を払ってください。

しかし、算数の進度が早くなることで、子供たちにメリットも出てきます。「ゆとり教育」より前の教科書では、日本の教科書の進度の方が早く、「現地校の算数は簡単」「補習校の算
数の勉強が現地校の予習」という子供がほとんどでした。しかし、「ゆとり教育」の教科書で
その進度が逆転しました。そのため、「算数が進んでいる。わかる授業がないので、学校に行きたくない」と現地校を嫌がる、日本から渡航直後の子供が全米で多く見られるようにな
りました。

今回の改訂で、「日本の算数の学習進度が少し進んでいる」状態になってほしいと、個人的
には希望しますが…。

 ◇  ◇  ◇  ◇
4月からのお子さんの日本語での勉強の変化に、注意をしてあげてください。とりあえず、新しい教科書をチェックしましょう。

(2011年3月1日掲載)