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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

滞米2年の5年生、社会科で苦戦 夏休みにできる勉強は?

滞米2年の5年生、社会科で苦戦夏休みにできる勉強は?

松本輝彦(INFOE代表)

現地校の6年の教科書を購入し、夏休み中に日本語で予習を

英語での知識不足

英語力は伸びてきたのに、社会や理科の教科学習で成績が伸びないケースの理由のひとつに「英語での知識不足」があります。

日本の小学校3、4年生が都道府県名の漢字の読み方とその地図上の位置を覚えるのと同じように、アメリカの子供も州名のスペリングとアメリカ大陸での位置を学びます。日本から来たばかりの子供は、マサチューセッツ州の英語の綴りが読めず、ボストンがアメリカ地図のどの辺りにあるのかを知らないので、アメリカ建国の歴史を覚えたり理解することが十分できません。

また、日本・アメリカ共に小学校高学年になると、教科書で学ぶ学習内容、項目が急激に増えてきます。さらに、現地校の社会の教科書は500ページにも及ぶ厚さです。限られた英語力でそのページを読みこなし、その多い学習内容を理解し、しっかり記憶することは至難の業です。

このように、学んだことがない内容や不十分な英語力で学習内容が理解できないことが理由となって、「英語での知識不足」が起こり、良い成績をあげることが困難になるのです。

日本語で予習を

その知識不足を補うために、夏休みの間に、現地校の新学年の教科書を日本語で予習することをおすすめします。

まず、9月から現地校でお子さんが使用する社会の教科書を購入してください。教科書ですが、一般の書店で購入できます。そして、その教科書の内容を日本語で予習します。予習の目的は、教科書の文章を細かく理解することではなく、何が書いてあるか、どんな内容の学習なのかを理解することです。ご両親が手伝える現実的で簡単な方法は、教科書中の絵、写真、図などの説明です。それらの下に書いてある簡単な説明を読んで、何の絵・写真なのかの説明だけでも結構です。それができれば、文章中に太字やカラーで印刷されている基本的な用語を説明してあげてください。自分で購入した教科書ですので、説明を教科書の余白に書き込みしてもOKです

説明の秘訣は「子供がすでに身に付けている知識を活用する」ことです。日本語で知っている知識と、教科書に英語で書かれた内容をリンクしてあげることで、その内容がよく頭に入って、覚え、理解することが容易になります。もうひとつは、物語風やお芝居調で説明し、お子さんの記憶に少しでも残るように工夫することです。

この予習を通して学習内容が頭の隅に残っているだけでも、新学期の授業で「今、何の勉強をしている」かがわかるので、授業の「お客様」でなくなり、学習内容の理解が進みます。この方法で数多くの子供の予習を手伝ってきた経験から、強くおすすめできます。

役立つ補習校の勉強

 補習校での日本語での学習も「英語での知識不足」の解消に大きな効果を発揮します。まず、日本語で基礎知識を習得して、その知識の内容を英語に置き換えることにより、現地校での英語の学習でサバイブできるのです。

渡米後の学年の進行と共に、日本で習得した知識のレベルよりも高い内容の学習が現地校で始まります。この「知識の貯金」を使い果たす現象は、大体渡米後2年くらい経つと始まります。この現象を少しでも遅らせるためには、補習校での日本語での学習を頑張って続けることです。

さらに、渡米後、数年間は英語力が壁になって、現地校の学習でフルに頭を回転させる機会が限られます。しかし、その間、日本語でしっかり考え理解する訓練を積み重ねることは、最終的に、日英の言葉の障害を乗り越えた真の思考力・学力を養成します。

日本語の習得、伸長に加え、これらの理由から、補習校で日本語による教科学習を続けることが大変重要なのです。

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安全な学校生活のためにも、日本語での予習が必要です。現地校の校長から、「日本から来たばかりの子供たちに、理科の実験の基礎的内容を日本語で予習させてほしい」と、何冊もの現地校の教科書を渡されたことがあります。「先生の英語での指示が理解できなくて、火や薬品を使う理科実験中に、日本人の生徒に事故があった」が、協力依頼の理由でした。

効果の大きい日本語での予習です。試してみませんか?

(2011年06月1日掲載)