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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

アメリカの教育で育ってきた子供。日米両方の大学を目指したい。

8年生の息子がいます。小さい頃に渡米したのでアメリカの教育で育ってきました。息子は、日本の大学に入りたいという希望を持っているようです。息子の夢を実現してあげたいと思う反面、家族はみんなアメリカ永住なので、できればアメリカの大学に行ってほしいという希望もあります。両方の大学を目指す場合、今からできることはありますか?

松本輝彦(INFOE代表)

どちらの進学にも不可欠なのは
アカデミックスキルの習得

 アメリカ滞在中に大学進学を迎えた日本人の高校生は、日本かアメリカかの大学のチョイスがあります。
 
 長期滞在または永住予定のご家庭の場合は、高校卒業後、日本へ帰るケースもありますが、アメリカの大学への進学の可能性も高くなります。このような家庭のお子さんが、日本あるいはアメリカの大学を選ぶ理由は様々です。私の経験から、代表的な動機・理由を整理してみましょう。

アメリカの大学への進学
 
 滞米が長くなった高校生が、アメリカの大学へ進学するのは自然です。滞米期間が長くなるに従い、生活・学習の場としてのアメリカ社会が中心となり、高校教育の最終段階としてアメリカの大学で学び、卒業後もアメリカ社会で生きていこうとするのは、当然の成り行きです。
 
 アメリカ社会での生活を積極的に捉える子供の場合がほとんどですが、中には、日本語や生活習慣に不安を感じて「日本では生活できないから」と、アメリカ残留を決意するケースもあります。

日本の大学への進学
 
 ご相談のお子さんのように、滞米が長くなり、家族も帰国の予定がない場合でも、日本の大学への進学を希望する子供がいます。その理由は様々ですが、代表的には次の3つの理由が挙げられます。

‘本への帰国願望
 
 日本での日常生活に憧れて、日本へ帰国したいと思う子供が多くいます。ご両親の生活態度の中に憧れを感じたのでしょうか、それとも自分自身の日本訪問時の体験が素晴らしかったのでしょうか、どちらにしても、日本での生活を積極的に捉えての希望です。

日本の有名大学進学、一流企業就職
 
 帰国子女として、現地校での英語での学習を高く評価してくれる日本の有名大学に入れる、さらに、それらの大学卒業後に日本の一流企業に入社できる可能性が高い。このようなチャンスを活かしたいと、日本の大学へ進学する高校生も多く見られます。
 
 また、「日本の大学に比べて、アメリカの大学を卒業することは、比較にならないくらい大変だ」「日本の大学生活は楽しそうだ」と、大学生活に期待しての日本帰国もあります。

アメリカでの将来への不安
 
 まれにですが、長い滞米にもかかわらず、アメリカ生活を楽しい希望のあるものと捉えることができず、「アメリカには居たくない」と、消極的な気持ちで日本へ帰国する場合もあります。
 
 進学準備についてのこのご質問への回答は、「日本であれ、アメリカであれ、大学進学のために必要なことは、週5日通っている現地校での勉強」です。

大学の求めるもの
 
 大学は、その大学の教育方針に従った学業や研究ができる能力を持った高校卒業生を、新入生として受け入れます。アメリカの大学は、高校での学業成績や受講科目・統一試験の結果・学校内外での活動などを総合的に評価して、入学者を選びます。
 
 教育に熱心な地域の高校では、「進学した大学での学業でサバイブできる能力やスキルを持った卒業生を作る」ことを、高校教育のゴールとしています。現地の高校で勉強するのは、学習科目の知識の暗記だけではありません。自分の意見を相手に明確に伝えるエッセイの書き方、課題や疑問の調査や研究の仕方、その結果をまとめたレポートの書き方などのスキルを身につけます。これらは、アカデミックスキルと呼ばれ、アメリカの大学での学業に不可欠です。そのため、このスキルを高校の教育目標の1つとしているのです。
 
 実は、日本の大学が、帰国子女に特別な試験を実施してまで入学させるのは、語学力や海外での生活体験に加えて、このアカデミックスキルを身につけた学生がほしいからなのです。日本の教育を受けた大学生はこのアカデミックスキルが十分に身についていないので、帰国子女への期待が大きいのです。
 
 アメリカの大学はもちろん、一見、国内受験生と同じ学力や能力を求めているようにみえる帰国子女受け入れ大学でも、現地校での学習で身につけた学力やスキルを、帰国子女に求めているのです。