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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

9月からの新学年に向けて、夏休みに準備できることは何?

 4月に日本から来たばかりの現地校4年生の子供がいます。9月からの新学年での勉強に向けて、この夏休みの間に準備しておいた方が良いことは何でしょうか?

松本輝彦(INFOE代表)

小学校高学年の子供には
社会の予習が最も効果的

 私が指導した経験から、小学校高学年の子供に最も効果のある夏休みの個人学習は「社会の予習」です。

社会科の予習?
 小学校では、低学年の「聞く・話す」勉強から、高学年の「読み・書き」の勉強に移ってきます。アメリカの学校では分厚い教科書を「読む」ことで勉強が進むようになっています。さらに、高学年では読む「内容」にも重点が置かれ始めます。

 高学年になってやって来た子供にとっては、教科書を読む力の基礎になる英語だけではなく、そこに書かれた「学習内容」を理解する力が求められます。その内容が、アメリカの文化に根ざすものの多い社会科の勉強では、他の教科とは異なる特別なサポートが必要です。

日本語で?
 社会科では、断片的な社会的な知識を骨組みとして、それに新たな知識を加えて体系的に整理していくのが、基本的な勉強方法です。その方法は日本でもアメリカでも同じです。

 現地校で、初めてアメリカの地理や歴史を勉強する日本からの子供は、骨組みになる知識すら持っていません。十分でない英語で、いきなりその知識を身につけていくのは大変です。アメリカの地名や歴史上の出来事・人物の名前などを日本語で学び、憶え、知識として獲得していくしかありません。

教科書はどこで?
 学校の教科書は借り物ですから、書き込みすらできません。せっかくの予習ですから、現地校で9月から使う社会の教科書を手に入れましょう。教科書のタイトル・出版社・版(特に注意)・ISBN(10桁程度の数字)を、先生か友達に聞いてください。書店かインターネットで簡単に注文できます。

誰が教えるの?
 教科書を使って教える先生の第1候補は、お父さんとお母さんです。「人間関係が邪魔をして教えられない」というならば、第2の候補は、現地校が長く、日本語が話せる高校生か大学生の家庭教師です。

 実は、この家庭教師が「日本語で現地校の勉強内容を説明できる」ので、最も効果的です。「日本語で勉強したことがないので」と断られることがあります。でも、「President」を「大統領」と訳して覚えたり、無理に日本語的な発音で読む必要はないのです。そんなことをしたら、ネイティブの発音で授業をしている先生の言うことがよく理解できない、ということになります。「何とかお願いします」と食い下がってください。

 家庭教師が探せないなら、最後のチョイスは塾です。少なくともアメリカの大学で学んだことのある先生が指導する、現地校サポートの塾を探してください。そして、必要ならば個人指導をしてくれるように交渉してください。

予習の方法は?
 家庭での予習のポイントは、「知識の関連付け」と「能動的な学び」を大切にすることです。

 まず、絵本を読むように、主だった絵や図表の内容を、許された時間の範囲で、大まかに説明してあげます。絵や図表の下に書いてある簡単な説明だけを読んで、お話をしてあげればいいのです。

 1つ1つの事実や地名を断片的に覚えるのは大変です。子供が知っている地理や歴史の知識などに関連付けて、話を広げてあげるのがコツです。例えば、「New York」の話の中で、お父さんがニューヨークへ出張した時の失敗談などを織り込んでいくことです。その話が「New York」と結びついて、生きた知識として定着します。

 予習に時間が十分取れるなら、教科書と一緒に、書き込み式の学習ドリルを使うのも良いでしょう。学習ドリルは、10ドル前後で学習教材の店で買い求めることができます。ドリルの空欄に、地名をアルファベットで書き込んだり、地図に色を塗ったりして、受け身ではなく、自分の手や頭を動かして身体全体で学ぶことにより、知識が確実に定着していきます。

 いかがでしょうか? 難しい勉強ではありません。ここで得た知識と英語力は、お子さんの9月の新学期から必ず役に立ちます。また、お父さんとお母さんにも良い勉強になることも請け合いです。