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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

長期滞在予定の4歳児、日本語が維持できるか心配

 4歳の息子がいて、家庭では日本語のみ。滞在は5年以上になりそうです。ナーサリー、キンダーと上がるにつれ、しっかりした日本語を維持できるか心配です。

松本輝彦(INFOE代表)

「語り掛け」と「読み聞かせ」で
「読み・書き」能力の基礎作りを

 海外で生活している日本人幼児の日本語の定着には、お母さんの「語り掛け」と「読み聞かせ」が絶対必要です。話し言葉が完成する小学3年生くらいまで、この2つが続けられれば、大人になっても十分通用するバイリンガルの基礎が作れます。

「語り掛け」
 幼児が言葉を習得していく第一歩は、「お母さんの語り掛け」です。
 生まれて初めて自然に習得した言葉を「母語(mother[native] tongue)」といいます。その意味をよく考えてみてください。お母さんが、赤ちゃんの世話をする時に愛情を込めて語りかける言葉が「母語」なのです。

 「赤ちゃんは、言葉はわからない」という大人の思い込みは、最近の脳の研究で疑問視されています。赤ちゃんが「音」で意思を表現できなくとも、お母さんの言葉に脳は確実に反応しているそうです。赤ちゃんは「話せなくても、聞いている」のですから、何でもどんどん話しかけてください。赤ちゃんの知的発達の助けにもなります。

 子供への話しかけは、成長しても続けてください。子育てや日常生活に必要な話題や子供向けの話題だけではなく、何でも積極的に話しかけることです。その習慣が、子供との間の豊かなコミュニケーションの基礎です。

「読み聞かせ」
 「語り掛け」が「話し言葉」の習得なら、「読み聞かせ」は「書かれた言葉」の習得の基礎です。

 言葉だけではなく、豊かな親子関係と心の成長のために「読み聞かせ」は非常に大切で、お母さん、できればお父さんも、親として必ず実行するべきことだと、私は確信しています。

 さらに読み聞かせは、日常生活レベル以上の言葉の数を増やすだけではなく、想像力や知識を豊かにして、将来のアカデミックな力の基礎となる「読み・書き」能力の基になる大切なものです。

 特に、ご質問のように、アメリカでの滞在が長くなるお子さんの場合は、現地校での教育を通して「読み・書き」のレベルまで英語力が伸び、学習言語になります。その反面、日本語力は「会話程度」というケースが非常に多くなります。これは、日本語での「読み・書き」のトレーニングを十分しなかったからです。

 読み聞かせのやり方は、簡単です。お子さんと一緒に、座り心地の良いソファにでも座ります。お母さん自身がリラックスして、楽しむように。読み聞かせの時間内は家事を一切せず、お母さん自身が読み聞かせに集中してください。そうでないと子供も集中しません。物語ならば、感情を込めて読んでみましょう。芝居気たっぷりに、身振り手ぶりも交えて。

 時には、お父さんも読んであげてください。その時の心構えは、「毎日読んでいるお母さんが引き立つように」です。だけどお父さんの読み方を演出してください。

日本語と英語のバランス?
 「家庭で日本語を使い、外で英語を使うと、子供が混乱し、言葉の習得が遅くなる」という意見を聞きますが、我が家の3人娘の日本語と英語の習得から判断して、私は賛成しません。むしろ、家庭内で徹底した日本語環境を作ることが、外での英語での生活と相乗効果を発揮して、言語に敏感な子供を作り上げると思います。

 娘の1人は、我が家でのお泊り会に参加した英語がネイティブの友達に"Do you need moufu(毛布)?"と聞いてしまいました。友達は「何を言ってるの?」、娘は「なぜ、わからないの?」。この程度の単語の混乱は当然で、何も心配はいりません。むしろ、我が家の日本語環境が徹底していたことの証(?)だったのでは、と思っています。

 しかし彼女は、大人になった今、自分はバイリンガル、バイカルチャーどころではなく、日本語と英語の両方でネイティブとして楽しめる「スーパー・ハイブリッド」だと、自信を持っています。親としては、日本語と英語で、中途半端なバランスを取るのではなく、「家庭では日本語・外(学校)では英語」を徹底した成果だと、信じています。