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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

日本人向けの学習塾について教えてください。

子供の友達が日本語で勉強する学習塾に通い始めました。南カリフォルニアにはどんな塾がありますか?

松本輝彦(INFOE代表)

年齢、指導の目的、指導方法、規模など、多様性に富んでいます。

(1)現地校の学習サポート
学習塾の目的の中心は、現地校での学習への適応や成績向上です。

・「英語の基礎力向上」
渡米間もない子供が現地校の授業に参加・理解できるように、基礎的な英語(ESLレベル)の会話や読みを中心として、指導してくれます。英語だけを教えるために、学校とは別の独自の教材を使うところがほとんどです。

・「現地校の学習の補習」
現地校で学ぶ教科や内容に苦労している子供に、宿題や課題などの手伝い、学習内容の予習・復習などのサポートをしてくれます。アメリカの歴史や地理などは、日本から来た子供はまったく学んだことがないので、予習をさせて、効果を上げている塾があります。

(2)日本の中学・高校の受験準備
日本の中学・高校の入学試験受験のための指導をしてくれます。

日本へ帰国した子供たちは、帰国児童・生徒向けの、国内の受験生向けとは異なる入学試験を受験するのが普通です。この「帰国子女入試」の試験科目・試験方法などは、中・高の違いや、学校によって大きく異なります。

例えば中学入試では、国内の受験生には国語・算数(学校により理科・社会も)などの筆記試験が課されるのが一般的です。しかし、海外から帰国した子供たちのために、筆記試験を課さないで試験当日の面接・作文だけで入学判定をする学校もあります。

「受験準備」の学習塾とひと口に言っても、どのようなタイプの入学試験に対する指導をしているかで、それぞれの塾の特徴が出てきます。

・「国内向け筆記試験」 
国内の受験生とまったく同じ入試科目・問題の受験の指導です。このタイプの入試の受験は、日本の受験生と同じレベルの学力・知識を要求されるので、海外にいる児童・生徒にとって受験準備が最も厳しいものになります。

・「帰国向け筆記試験」 
入学後、日本語での、その学校のレベルの授業についていける基礎的な力があるかどうかを見るための筆記試験です。国語・英語・算数/数学などの筆記試験が課されますが、国内生への試験内容より比較的やさしい帰国生向けの試験内容が一般的です。時には、国内受験生向けと同じ問題を出題するものの、採点で加点したりして帰国生に対する考慮をする学校が多くあります。このタイプの入試を受験する人は、国内向けほどのレベルではなくとも、日本語で書かれた問題を理解し回答しなければなりません。そのため、出題教科の内容の学習指導と受験テクニックのトレーニングを中心に行う学習塾が多くあります。

・「作文・面接」 
筆記試験をまったく課さずに、現地校の成績・作文・面接だけで、入学者を決める帰国子女受入れ校が多くあります。作文は「英語のみ」「日本語・英語どちらか」と学校により使用言語が決められます。特に日本語での作文は、海外の子供たちが最も苦手とするものですので、面接同様、トレーニング・指導が必要です。それらの指導を得意とする塾もあります。

(3)日本語での基礎学力の向上
滞米期間が長くなる子供が増え、帰国や日本の学校の受験予定のない子供たちを対象に、日本語の基礎力・日本についての知識や考え方など「日本人に育てる」ための指導をする学習塾のニーズが増加しています。このタイプの塾では、「日本の学校教科書で勉強する補習授業校」と「英語で日本語を指導する日本語学校」の間のレベルと内容の指導が一般的です。


ここで紹介した学習塾のほかに、現地校での学習の補習やさらなる学習を目指した「アメリカ人向けの学習塾」や、日本とアメリカの大学進学の準備に特化した学習塾などが、南カリフォルニアでは多く見られます。これらについては、別の機会に説明しましょう。

いかがでしょうか。「学習塾」と言っても、大きな違いがあるのをおわかりいただけましたか。「子供を学習塾で学ばせるかどうか」の判断は、お子さんに何が必要かをしっかり理解することが先決です。決して、「友達の子供たちが通い始めたから」といって、慌てて決めないでください。

(2008年10月16日号掲載)