アメリカ生活マニュアル(渡米直後編)

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新生活のスタートにあたり、アメリカならではの事情や基本知識を「マナー」「英会話」「教育」などの項目別にまとめました。
アメリカで安全、快適、便利な毎日を送るために、ぜひ参考にしてください。

(ライトハウス・ロサンゼルス版2019年6月16日号掲載)

アメリカのマナー

日本人らしさを捨てる必要はありませんが、アメリカ流のマナーを知っていれば、新しい環境の中でも人々とより深い交流ができるのも事実です。

マナー「基本の基本」

レディーファースト

レディーファーストに慣れない日本男児。何かを同時にしようとした時は女性に譲ることを心がけましょう。譲られた女性は心を込めて「Thank you!」を言いましょう。

学校の先生にもクリスマスプレゼント

特に中学校までは子どもの学校の先生にクリスマスカードとギフトをあげる習慣があります。ただし、あげないからといって失礼ということはありません。

ホームパーティーに招待された際のアメリカ人上司への手土産

希望を聞いてみて、何もいらないと言われたらアルコールかお花を持参しましょう。

子どもの親同士の付き合い

友だちを作るチャンスでもあるので、仲良くなりたいと感じる人がいたら、プレイデート(子ども同士を遊ばせること)に誘うなどして交流の機会を作ってみましょう。

「結婚式」編

自分に届いた招待への恋人同伴

恋人を連れて行っていいか、相談することは問題ありません。ただし、事前に確認を取っておくのがマナーです。

ウェディングパーティーの服装

招待状にドレスコードがある場合はそれに従いましょう。特に指定がない場合は会場によって臨機応変に。なお、花嫁より目立たないようにする心遣いは日米共通です。

結婚祝いの相場

基本、現金のご祝儀を渡す習慣はなく、お祝いには品物を送るのが一般的ですが、まれに品物ではなく、新婚旅行の費用やマイホーム購入のためにマネタリーギフト(現金もしくは小切手を渡す)をリクエストされる場合があります。この場合はギフトレジストリー同様、招待状に明記されているので、カップルの希望に合わせて送ります。ギフトの総額は30ドル〜100ドルが一般的です。

「お葬式」編

日系の葬儀での香典

アメリカの葬儀に香典のならわしはありませんが、日本人もしくは日系人の葬儀は日本の慣習に従うことが多いので、香典を包んで行った方がいいでしょう。金額は個人との関係性に応じて20〜100ドルが相場です。

葬儀場でのタブー

アメリカの葬儀は多くの場合、日本の葬儀に比べてかしこまっておらず、故人の人生を称えてお祝いしようというムードがあります。その場の状況に合わせて振る舞うのがいいでしょう。また、服装も喪服である必要はなく、ダーク系のスーツやワンピースでも問題ありません。

【取材協力】
ザ・ブリッジコミュニケーションズ
山田クリスタさん
☎760-840-9135
Web: thebridgecomm.com
 
トラインブライダル 佐野貴子さん
☎310-329-9271
Web: tolain.com
 
福井葬儀社
☎213-626-0441
Web: fukuimortuary.com

英会話

アメリカ人との会話でスモールトークが盛り上がらないし、一言が聞き取れない、そんな悩みを抱えている日本人は多いはず。ここでは日々の生活に取り入れたい簡単な英語勉強法を紹介します。

習得のコツ

独り言で英語を話そう

たとえば「今日は暑かったなぁ」「仕事が多くていやだなぁ」など、簡単な独り言を英語で言ってみてください。これを続けると、独り言の中に何と言えばいいのか分からない単語やフレーズが出てきます。分からない言葉は必ずメモして後で調べ、覚えてください。そして、調べた単語やイディオムを使って自分でフレーズを作り、独り言で練習してみるのです。

身近な英語から始めよう

あなたが主婦で、一日の多くの時間をキッチンで過ごしているとします。その場合、キッチンを見渡して目につく物品を英語で言えるかどうかチャレンジしてみてください。自分が最も多くの時間を費やすキッチン、多くの言葉を効率的に覚えられるでしょう。

敢えて英語で聞いてみよう

スーパーに行って見慣れない食材があったとします。敢えて店員に何の食材なのか、食べ方や調理法はどうすればいいのかなどを聞いてみてください。このように実生活で英語を話すという姿勢を1週間、1カ月、1年と続ければ、最終的にかなりたくさん単語やフレーズを覚えることができます。

セリフをまねてみよう

英語字幕を見ながら、聞こえてくる音声を少し遅れて口に出して発音する「シャドーイング」をすれば、スピーキングの練習になります。注意すべきはカタカナ発音ではなくネイティブの発音をまねることです。

CMを飛ばさず活用しよう

テレビCMには言葉と物がセットで出てくるので、効果的に単語を覚えることができます。たとえば洗剤のCM。最初から洗剤という英語を知っている日本人は少ないですが、洗剤の映像と共に「detergent」という単語が出てくれば、言葉と物を一致させて覚えることができます。

英語を話す環境に身を置こう

会社や学校、友人同士のサークル、ボランティア活動など、自分がよく行く場所で覚えた単語やフレーズを使ってみてください。間違えていても気にしない。「私はアメリカ人じゃないのだから、英語を教えてちょうだい」の姿勢で取り組みましょう。

英語字幕を活用しよう

番組を見ながら英語字幕を目で追うことで、リスニング力の向上に役立ちます。セリフとスペルを頭の中で結びつけるようにしましょう。また、セリフを暗記することで自然と文法力も身につきます。

単語は例文で暗記しよう。

単語を覚える際は、文章の中でどう使われているのかを意識し、フレーズで覚えてください。辞書は例文がたくさん載っている英和辞典を、ある程度英語ができるようになれば、英英辞典を使いましょう。使える例文をたくさん覚えていくと、センテンスを作ることができます。

英語でのコミュニケーション術のコツ

感情表現を大げさにしてみる

ここアメリカのコミュニケーション法で、日本と大きく違うのが感情表現の仕方。プレゼントをもらったときも日本人の感覚では少しオーバーアクションと感じるくらい喜びを表現するのがアメリカではちょうどいいのです。日本人同士で「ありがとう」を表現するときくらいの反応では「気に入らなかったかな?」と思わせてしまう可能性があることを知っておきましょう。

言葉に窮したらとりあえず

“Let me see…”。話しかけられてもすぐには言葉が出てこない!という時に便利な切り返しが“Let me see…”。この一言で間をつなぎながら、質問が分からなかったら“You mean XXX?”と聞き返せばOKです。

「英語苦手なんで…」は誤解のもと

英語での会話が弾まないことへのお詫びの気持ちで「ごめんなさい、英語が苦手なんで」と言ったとしても、言われた相手は「あなたとは話をする気がありません」と受け取ってしまう可能性が大です。恐縮するより“Thank you for your patience”と感謝すると相手を不愉快にさせないはずです。

【取材協力】
BYBイングリッシュセンター
陽子セニサックさん
☎310-715-1905
Web: bybenglishcenter.com
 
不動産会社NAI Capital
茂木光一さん
Web: motegi.com
 
Japan Visualmedia Translation Academy, Los Angeles
當麻さやかさん
☎310-316-3121
Web: jvtacademy.com/la

日頃の安全

穏やかな生活を送るために、交通事故をはじめ、強盗、テロ、カード犯罪などの事件に巻き込まれないための予防策と対処法を紹介します。

交通事故について

万が一事故に遭った場合、現場ですべきことは下記の通りです。

① 事故現場の写真撮影:
現場の証拠を記録します。
 
② 安全な場所への車の移動:
交通量が多い場所では速やかに事故車を移動し、他の交通の妨げにならないようにします。
 
③ 目撃者の確保:
事故の目撃者がいれば、その人の名前と電話番号を聞いておいてください。自分が被害者の場合は特に重要な情報となります。
 
④ 互いの情報交換:
免許証や保険証、レジストレーション(車両登録書)の情報を交換します。情報部分の写真を撮影すると便利です。ただし、自分の情報だけ与え、相手の情報を聞き忘れがないよう注意してください。

以上の行動は順不同ですが、もしケガ人がいれば人命救助が最優先。ケガ人がおらず情報交換後に相手と別れたら、交通弁護士に連絡しその後の指示を仰いでください。
 
交通関連の弁護を専門に扱う法律事務所、ESK LAW GROUP, APCのパラリーガルアシスタント、ジェームス武本さんによると、「通常、弁護は成功報酬で、加害者の保険の慰謝料から弁護費用が支払われるため、被害者の損になることはありません。事故の大小にかかわらず(交通弁護士には)相談した方がいいでしょう」とアドバイスしています。
 
弁護士に事故処理を依頼してしまえば、保険会社とのやりとりも全て代行してくれます。

自動車保険

交通事故に安全な予防策はありません。自分が加害者になるに加害者になるにせよ被害者になるにせよ、事故の損害を最小限に抑える準備こ限に抑える準備こそが重要な予防と言えます。それに欠かせないのが自動車保険。FARMERS INSURANCEの森ジョージさんは、「アメリカには、日本のような無制限補償はありません。また、補償額は日本より低く、死亡など大事故の場合は不十分です。それを回避するためには補償額が大きいプランに加入するか、カバーしきれない分や自動車保険では対象外となる損害に対応する『アンブレラ保険』が有効です」とアドバイスしています。

クレジットカードの悪用について

クレジットカードを頻繁に使うほど盗難や悪用の可能性が高まるわけですが、プレミオカードを運営するPrestige Internationalの今村由梨さんによると、クレジットカード犯罪は情報を盗むスキミングから始まるといいます。スキミングされやすい場所とその対策は次の通りです。

危険ケース① ガソリンスタンド

ガソリンスタンドでは、何者かによってスキミングの機械(スキマー)が設置されていることがあります。支払いは店内のレジを利用するようにしましょう。

危険ケース② オンラインショッピング

できるだけ信頼のおける大手や、知名度が高い会社が運営する正規サイトを利用しましょう。

危険ケース③ 街角のATM

知らない土地で現金を引き出す場合、銀行に併設のATMを利用しましょう。

強盗について

治安のいいエリアに住んでいると実感しにくいかもしれませんが、アメリカが犯罪多発国であることは事実。長期の旅行などで家を留守にする際はもちろん、日頃から空き巣を防ぐために実行したい対策は次の通りです。
 
確実に施錠する。固い木や金属製のドアや窓枠を利用し、カギは二重ロック。
長期間の外出時タイマーで室内灯を自動点灯させる。
郵便配達を止める(新聞も同様)。
空調ユニットはきちんと壁にはめ込まれているかを確認する(そこからの侵入事例多し)。
⑤家の外壁近辺の植木や潅木類は、人が隠れられないよう日頃から刈り込んでおく。
⑥2階からの侵入を防ぐため、家の外壁近くにはしごや箱類を置かない
⑦敷地内に人が侵入した場合に自動で作動するセンサーシステムや管理カメラなどセキュリティー設備を揃える。セキュリティーシステムを設置していなくても、「セキュリティー作動中」のサインを人目のつくところに設置する。
⑧長期間外出する際、車は車庫に入れずドライブウェイに駐車しておく(家に人がいるように見せかけるため)
犬を飼う。ガード犬でなくても、犯人は犬の存在で侵入を諦める可能性が高い。

【取材協力】
ESK LAW GROUP, APC
ジェームス武本さん
☎310-922-6601
Web: autoaccident-hotline.com
 
FARMERS INSURANCE
森ジョージさん
☎310-641-6674
 
Intersec
ロン長谷川さん
☎310-350-8567
Web: intersecusa.com
 
PRESTIGE INTERNATIONAL
今村由梨さん
Web: prestigein.com

アメリカでの妊娠と出産

アメリカで出産する場合に必要な準備や手続きを、医師や保険エージェントなど各分野のエキスパートの意見を交えながら紹介します。

妊娠初期検査

通常アメリカでは、最終の月経開始日から数え、40週間を妊娠期間としています。0〜13週の妊娠初期、14〜28週の安定期、そして29〜39週の妊娠後期と、3つのステージに分けられます。定期検診は、40週間で10〜12回程度、妊娠の経過が順調な場合は28週までは4週間ごと、29週以降は2週間ごと、35週からは1週間ごとに行います。
 
「妊娠初期で最も大切な検査は、出生前診断スクリーニングです。妊婦の年齢を問わず行い、血液と超音波の2種類の検査に分かれます」と話すのは産婦人科専門の鈴木葉子医師です。血液検査は11〜14週と15〜20週に行われ、いずれも染色体異常をチェックするもの。この2つの検査で、ダウン症や神経管閉鎖障害の有無を診断できます。「最近では、新型出生前診断(NIPI)を受ける方も増えています。これは母体の血液中にある胎児細胞を取り出して疾患の有無を検査するもので、従来の出生前検査より精度が高いと言われています。ただしNIPIを行っても超音波検査は受ける必要があります」。

出産時・出産後

出産には自然分娩、無痛分娩、帝王切開がありますが、中でも無痛分娩は痛みを軽くする上、産科専門の麻酔科医が手がけるため、安全性も高いと言われています。そのため、アメリカでは無痛分娩が選ばれることが多いです。家族から1人出産に立ち会うことができますが、注意しておきたいのは、病院によっては分娩中や治療中の録画・写真撮影を禁止しているところもあるということです。
 
入院日数の規定は、各保険会社に確認が必要ですが、基本的に自然分娩と無痛分娩は出産した日を数えずに1泊2日(48時間)、帝王切開は出産した日を数えずに3泊4日(96時間)となります。
 
生まれた子どものアメリカ国籍は、退院までに病院内で出生届けを申請することで取得できます。通常はその後2カ月ほどで、カウンティーからバースサーティフィケイト(出生証明書)の発行が可能となります。このバースサーティフィケイトはアメリカのパスポートはもちろん、子どもの学校への入学手続きの際に必要になってきます。
 
日本の国籍取得には、出生から3カ月以内に、日本の区役所などに代理人を立てて出生届を出す方法と、在ロサンゼルス日本国総領事館に届ける方法があります。出生から3カ月を過ぎると受理されなくなるので注意が必要です。

妊娠・出産時の保険についてのQ&A

正規の医療保険であれば、「Maternity / Pregnancy(妊娠・出産に関する医療費のカバレージ)」は医療保険のカバレージ内容に含まれています。個人でも家族プランでも、会社の医療保険でも、全ての医療保険が、妊娠・出産時の医療費をカバーします(カバレージ比率は各プランにより異なります)。

Q. 妊娠後の保険加入や切り替えは可能ですか?

A. 申請できる期間やルールさえ守れば、たとえ申請者が妊娠していても、医療保険の加入申請は可能です。ただし、申請できる期間が定められており、いつでも新規申請やプラン変更ができるわけではありません。保険エージェントを通して情報収集を行い、迅速に備えましょう。

Q. アメリカで出産する場合、一般的にどのくらいの費用がかかるのでしょうか?

A. 個人によって大きく異なるために一概に言うことはできないのですが、医療機関からの請求額だけを見ると、平均で3万ドルほどであると思われます。普通分娩か、帝王切開か、入院を伴うかなどで、請求総額は変わります。しかし、正規の医療保険に加入していれば、年間における自己負担の限度額が設定されているので、自己負担の限度額以上の費用は、全て医療保険のプランが負担するルールです。

【取材協力】
湘南美容クリニック・アーバイン院
鈴木葉子院長
☎949-333-2929
Web: shonanbeauty..com
 
Ishiwada Insurance Agency, Inc.
石和田貴光さん
☎858-717-5552
Web: ishiwadains.com

アメリカの教育制度

日本で生まれ育った親が仕事などの理由で渡米し、子育てをする場合、最も頭を悩ませるのが教育問題でしょう。ここではアメリカの教育制度の基本情報を紹介します。

特徴的な教育システム

アメリカの学校教育制度の特徴は、各州に教育行政が委ねられていることです。公立の学校は、管轄の統一学校区(Unified School District)、または学校区(School District)によって運営され、カリキュラムや教科書、休校日などが決められています。
 
また、学校区の教育方針や学校によって異なるものの、アメリカの公立学校には日本では考えられないような充実したプログラムやサポートがたくさんあります。「ELD(English Language Development)」は外国人の児童・生徒を対象にした英語教育プログラムです。たとえば、カリフォルニア州の公立校では、英語を母国語としない児童・生徒に対し、入学してから30日以内に英語力のレベルを測るテストを課しており、この結果によってELDプログラムの受講が必要かどうかを学校側が判断します。
 
さらに、算数や芸術など、さまざまな分野において、秀でた能力を持っている生徒をさらに伸ばすためのギフテッド教育というプログラムや、学習面において何らかの理由で遅れている生徒をサポートする特別支援学級などもあります。

Q&A 日本語補習校編

Q. 現地校と日本語補習校の両立を可能にするために、どんなサポートをしたら良いのでしょうか?

A. 小学校低学年であれば、現地校の宿題にはぜひ親子で取り組んでください。小学校高学年になると、エッセイなども書かなくてはなりませんので、現地の家庭教師や学習塾を利用してもよいと思います。
 
また、日本語補習校の場合、たくさん宿題が出るところがありますが、日本語だから子どももできる、問題はないはずだとは思わずに、できるだけ保護者もサポートしてあげてください。英語も日本語も、家庭のサポートがあってこそ、学習の意欲が格段に高まり、成果も上がります。

Q&A 現地校編

Q. 子どもの英語力を考慮して、1学年落として入学させた方がよいでしょうか?

A. 子どもの年齢にもよりますが、アメリカの教育制度において、学校での学習内容のレベルがぐっと上がる年齢があります。「9歳の壁」とも言われ、授業の内容が抽象的になってくるので、高い読解力が必要になるのです。英語力がないのに、歴史や環境問題を習うのはとても大変です。もし小学3~4年生で現地校に通い始めるなら、学校やお子さんとも話し合い、学年を落として編入させることを検討してもよいと思います。

Q. 英語ができないため、子どもが担任とコミュニケーションが取れていないようです。

A. 子どもが先生とうまく話ができないようなら、保護者が先生と仲良くなりましょう。学校でより適切な教育を期待するのであれば、保護者が代わりに、先生に子どもの英語力や性格、家庭環境などを分かってもらうように努めましょう。そうすると、先生から子どもの学校での様子を教えてくれるようになります。

Q. 子どもが学校で一人で過ごすことが多いようです。いじめられているのでしょうか。

A. まず、子どもが英語が分からないために一人でいるのか、それとも本当にいじめがあるのかを先生や学校に確認してください。日本から来たばかりの子どもが現地校での友達と関係がうまく築けない理由の一つに、文化の違いや人との距離の取り方があります。日本とは感覚が違う異文化であるということを子どもに教えることも、保護者の務めです。ただし、暴力を振るわれた、いじめが実際にあったと分かった場合は、相手の子どもや保護者と直接話すことは避けて、先生や校長先生を通して問題を解決してもらうようにしましょう。

Q&A 精神面編

Q. 渡米してから、子どもが常にイライラしています。どう対応したらいいでしょうか。

A. 親の仕事の都合でアメリカに来た子どもたちが受けるストレスは、大人が思うより深刻な場合があります。日本では問題がなかったのに、アメリカに来てから態度が変わり、それが数カ月続くようであれば要注意。うつや不安の場合、大人と子どもでは症状が違い、大人は落ち込みますが、子どもはイライラして反抗的になることがあります。渡米直後は、日本と同じような環境を作ってあげることも有効で、本を読むのが好きななら日系の書店に出かけるなど、居心地の良い時間や空間を作ることで新しい環境にも適応しやすくなります。

Q. 子どもが学校を休みがちです。

A. アメリカでは、法律的に義務教育期間における不登校は認められておらず、もし子どもが不登校になり、学校や学校区とのミーティングを重ねても解決しないと、最悪の場合、保護者に罰金を科せられることもあります。不登校になった時点で、スクールカウンセラーやスクールサイコロジスト、心理カウンセラーと話し合います。場合によってはホームスクーリングに移行することもできます。

Q. 子どもをしつけで叩くことは、アメリカでは虐待になってしまうのでしょうか?

A. しつけという意味で、子どもに暴力を振るうのは、大抵の場合虐待です。子どもに罰を与える場合は、例えば、ゲーム時間を短くする、家の手伝いをさせるなどがよいでしょう。身体的虐待のほかにも、言葉による精神的虐待もあります。

【取材協力】
MACS Career & Education
原田誠さん
☎408-786-5359
Web: macscareer.com
 
TLC for Kids
船津健さん
☎310-375-0202
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カリフォルニア州公認カウンセラー
荒川龍也さん
☎424-254-8823
Web: japanlatorrancecounseling.com
 
優塾
下田佳子さん
☎310-541-9787
Web: youjuku.com

日系アメリカ人の歴史

日本で暮らしていると、アメリカの日本人移民と日系アメリカ人のことを知る機会はないのではないでしょうか。アメリカに来て初めて、今はもう四世以降の世代となった日系アメリカ人と知り合うことで、またロサンゼルスの全米日系人博物館を訪ねることなどで、第二次世界大戦中、アメリカ西海岸に住んでいた日本人と日系アメリカ人ら約12万人が強制収容されたことを知った人も少なくないでしょう。
 
太平洋戦争が始まった時、「軍事的必要性」「国家の安全保障」の名目の下に、住んでいた土地から追い出された日本人とその子どもたちである日系アメリカ人。移住して必死で働いて築いたビジネスも暮らしも失って、両手に持てる荷物だけを携えて、荒野に作られた強制収容所に送られていきました。
 
ところが、同じようにアメリカの敵国であったドイツ、イタリア系に関しては、疑わしいとされた者だけが拘束され、収容されました。西海岸に住む日系人だけが全員疑わしく、アメリカに対して忠誠かどうか見極められないとされた背景には、有色人種に対する人種差別、当時農業や漁業などで経済的に成功していた日系人に対するねたみ、戦時下のヒステリーに煽られた感情的な理由などがうずまいていました。太平洋戦争が始まった翌年の1942年3月から西海岸の立ち退きの対象になった日系人は、全米各地の強制収容所に送り込まれ、不自由な生活を強いられました。そして、45年から46年に収容所が閉鎖されると、その後は再び収容所の外で暮らしはじめたのです。
 
しかし、戦争が終わったからといって、急に人種差別的な感情や法律がなくなるわけではありません。たったの25ドルとアメリカ国内への片道切符だけを渡されて収容所から出た日系人は、ゼロから生活基盤を築かなければならなかったのです。
 
今では当たり前のように、日本人の私たちも差別的な言葉をかけられることもなく、アメリカに移住でき、帰化することもできます。しかし、そんな私たちの生活は、日系人たちが収容所を出てから長年にわたる苦労の上に、アメリカ社会における地位を築き上げたことで実現したものなのです。
 
ロサンゼルスのリトルトーキョーには、日系人の移住初期から収容所生活、さらには戦後の活躍ぶりまでが幅広く展示物を通して把握できる全米日系人博物館(Web : janm.org)があります。私たちの先達について知るために、手始めに同館を訪ねてみてはいかがでしょうか。

※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版2019年6月16日号掲載」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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