「人生の節目に、花を使って夢を形にする仕事」
毎朝2時起きでお弁当作り
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私は以前、ガーデナにあったMocMocというお弁当屋さんの三代目のオーナーでした。1999年、アメリカでビジネスがしたいという目的で渡米し、翌年にお弁当屋さんの経営を始めました。渡米前の日本では、お花屋さんで10年間働きながら修行を積み、華道の稽古にも通い、さらに化粧品の代理店業にも従事しました。
しかし、アメリカでは、希望していたお花の仕事ではビザの取得は難しく、日本食レストランの経営だとビザを取得しやすいと知り、MocMocの二代目のオーナーからビジネスを譲渡していただきました。
店を継いだ私は、毎日朝2時に起きて、10升から15升のお米を炊き、300食分のお弁当を作っていました。そして、日本食スーパーに卸したり、日系企業、学校や幼稚園にお弁当を販売したりして、5年間ほぼ休みなく働きました。アメリカでの初めてのビジネス経営は、毎日が新鮮で苦労を忘れるほど楽しかったのですが、英語が通じず失敗も数多く経験しました。そこで、ランチとディナーの間の休みを利用して、アダルトスクールで英語の発音や英会話の勉強をして、それを実践で使いながら上達させていきました。幼い頃から母に「何かを始めたら最低5年は必死で頑張りなさい。そうすれば、その先が見えてくるから」と言われていた教えが、当時や現在の自分に大きく影響しているように思います。
お弁当屋さんを経営している間も、お花の仕事がしたいという気持ちが頭の中から離れることはありませんでした。それでも、あまりにも忙し過ぎて、水をあげる時間も心の余裕もなく、家に飾ったお花をいつも枯らしていました。
直談判して花屋で修行開始
クリスマスツリーのデコレーションのためにコロラドへ。
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順調だった弁当のビジネスを売却したのは2007年でした。そしてついに、常に頭の中にあった花の仕事に、本格的に転身する行動に出ました。
まず、最初にやったのは韓国系アメリカ人が経営するお花屋さんでのボランティア。ある時、プレゼントされたお花のセンスが素敵で引き込まれた私は、そのお花屋さんを訪ねて「お花のビジネスについて教えてほしい、ボランティアをさせてほしい」と直接頼み込んだのです。授業料を払ってでも働きたい気持ちでした。その店では、片付けに始まり、3年ほど、経営やお花を扱う上での知識を全般的に学ばせていただきました。
その努力が実り、口コミを経由してイベント会社から声を掛けていただけるようになり、ハリウッド、ビバリーヒルズ、ダウンタウンなどの有名ホテルの大規模なウェディングやパーティー、有名なセレブリティーのチャリティーイベント、ゴルフ場やビーチ、ガーデンでの結婚式などのお花を数多く手掛けるようになりました。
こうして、お花をビジネスとしてやっていけるようになったのは、独立して5年ほど経った頃ですね。クライアントからいただくお仕事は、そのほとんどが口コミやSNSがきっかけです。SNSにアップした作品を見て、ローカルのお花屋さんから「母の日や、バレンタインに手伝ってほしい」と連絡が入ったり、結婚式で人手が足りないので手伝ってほしいと依頼が来たりします。
やりたいことなら迷わない
弁当店を経営していた頃、店の前で。
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お花の仕事は、カリフォルニアに限らず、コロラドやハワイなど州外のクライアントからも定期的に頂いています。声がかかればどこにでも行きます。そして、それぞれのクライアントの要望を聞き、予算に合わせてカスタマイズし、お花を通じて夢を叶えて差し上げることが、この仕事の大きなやりがいです。
また、義理の母が入居していた高齢者施設にご縁をいただき、7年ほど前から施設での誕生日のアレンジメントやパーティーのお花を依頼されたり、コミュニティーのお花のクラスをボランティアで教えていたりと、子どもからお年寄りまで幅広い年齢層の方との触れ合いも楽しんでいます。
私の趣味はガーデニングです。自宅の庭でいろいろな花を手塩にかけて育てています。カリフォルニアは気候がいいので、他の土地では育たないような花もたくましく成長し、毎年開花します。花は私にとってまさに我が子のような存在で、その花たちを作品に取り入れる時は感無量です。
好きな花は芍薬とアネモネです。花に魅了されたきっかけは、いつも家の中に色とりどりの季節の花を飾っていた両親の強い影響ですね。私の花に対する情緒を育ててくれた両親には、今も心から感謝しています。
やりたい仕事があるのに迷っている人にアドバイスするとしたら? 私が思うに、迷っているなら、それは本当にやりたいことではないのでは? やりたいことなら迷わず突き進めるはずです。そして、その仕事に対してあなたが夢を抱いているなら、新しいキャリアに向かって、自分を磨き、自分を信じて突き進んでほしいと思います。やってみないと分からないこともあるし、見えない景色があるはずです。失敗は怖くありません。夢を実行に移せるのは、唯一自分だけなのです。
※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版 2021年10月1日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。


