働く
JOB

アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

130) プレゼンを磨く

マーケティング講座

こんにちは! 阪本啓一です。
ビジネスはプレゼンの連続ですね!


今年ベスト3に入る本

素晴らしい本と出会いました。ガー・レイノルズ(Garr Reynolds) 『プレゼンテーションzen 』です。著者はアップル本社(カリフォルニア州クパチーノ)Worldwide User GroupRelationsマネージャー、住友電工企業トレーナーなどを経て、現在関西外大准教授(経営学)。日本に20年暮らしていて、著書を読む限り、日本人以上に「zen のこころ」を理解している方です(www.presentationzen.com)。

本書は私が今年読んだ中でベスト3に入る傑作で、仕事にすぐ役立ちます。私はこの15年、人様の前でスピーチしてお金をいただく仕事をしてきました。そんな私にとっても非常に勉強になりました。一読すればすぐにおわかりいただけるすぐれた内容なのですが、どこが役に立つか、私なりに整理してご紹介しますね。2点あります。

第1に、プレゼンテーションの効果を最大にするためのノウハウが理解できます。第2に、プレゼンテーションする内容を磨くことができます。


プレゼンテーションの本質は

まず、著者は「イントロダクション」で今日のプレゼンテーションの問題点を指摘します。即ち、昨今の主流となっている、スライドウェア(パワーポイントやキィノート)に頼り切ったスライド上映会になってしまっているプレゼンテーションは聴衆にとって苦痛以外の何ものでもなく、効果は薄い。「伝えたい」「売りたい」何かに焦点を当てるべきなのに、プレゼンターではなく、スライドが主人公になってしまっている。

では、どうすればいいか。まず、「準備」段階では、パソコンの電源を切り、昔ながらの紙とペンを使って、「何が言いたいのか」を書いてみる。ポストイットにアイデアをいっぱい書き出し(1枚につき1つ)、ホワイトボードや模造紙に貼りつけ、グルーピングして整理する。この間、zen の訓え「自制心」を持って「シンプル」「明快」「簡潔」であることを心がける。
 
「たいていのアイデアは、砂浜に棒で書くことで、十分に対応できるものだ」というアラン・ケイの言葉が引用されています。
 
プレゼンテーションに関して、よくあるけれど的外れな質問は、「スライド一枚につき、何行の箇条書きが適切か?」「1回のプレゼンテーションに何枚のスライドを使うべきか?」です。いずれも、本質ではありません。何をプレゼンテーションするのかによって決まるべき問いだからです。
 
では、どんな問いが投げかけられるべきかというと、「聴衆は何を求めている人々か」「今回のプレゼンテーションの根本的な目的は何か」…といった「人に伝えたい・伝えるべきことを伝える」プレゼンテーションの本質に迫る問いです。

アイデアを練っている最中、常に「ダカラナニ? ( so what?)」と自問するようにしましょう。プレゼンテーションの成否は、まさにこの1点にかかっています。自分がただ言いたいことではなく、聴衆が聴いて役に立つことなのか? 

話の核が決まったら次はそれをストーリーに仕上げます。人が聴いて楽しく、記憶に残るのはストーリーです。


デザイン

デザインも、シンプルに。ごちゃごちゃいっぱい盛り込むのではなく、文字を出来る限り減らし、ビジュアルを多用、そして余白をうまく使います。余白は「使わないからできた」のではなく、「必要なのでそこに配置する」ものとして位置づけます。画像優位効果、つまり、画像のほうが言葉より記憶に残りやすい効果があるわけで、そのためにも、美しい画像を使いましょう。www.istockphoto.comには高解像度の画像があり、お勧めです。


実施(デリバリー)

スピーチする時には、「今・ここ」の一瞬一瞬に集中するようにしましょう。著者は剣術の極意に触れ、「無心」の境地で、と言います。余計な自意識やエゴを捨て去り、目の前の事に全力を尽くす。私も1千人の前であろうと、5人の前であろうと、同じ心境で話せるように心がけています。そのためには十分な事前準備と練習が鍵です。そして、「対話」する気持ち。聴衆を相手に実際には対話しなくても、自分のメッセージに「イエス」なのか、「ノー」なのかという反応はわかります。その空気を読み、進める。これもzen の精神と言えるかもしれません。


阪本さんとJOYWOW メンバーの最新著書が発売中!
『JOYWOW「あり方」の教科書』
www.arikata.net


(2009年12月16日号掲載)