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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

134) 選ばれる理由

マーケティング講座

こんにちは! 阪本啓一です。
買い物=選択ですよね?


JALの破綻

本原稿執筆時、日本ではJALが会社更生法の適用を申請しました。負債総額2・3兆円、戦後最大の経営破綻。社名にも入っている「日本」を代表するナショナル・フラッグ・キャリア、JALが苦しんでいるのは、日本人として胸が痛みます。1日も早く再建してもらいたいものです。

更生法の申請を機に、西松社長始め経営陣は退陣、新たに京セラの稲盛和夫名誉会長を代表取締役会長に招き、社長は内部から昇格させる方向と言います。稲盛氏は私が個人的にとても尊敬している経営者です。昨今少なくなった「哲学による経営」をされる方なので、氏の手腕にとても期待しています。さて、J ALと企業再生支援機構がまとめた事業再生計画案を見ると、「グループで1万5661人削減」「国内外229路線を198路線に」「ホテル、旅行業から撤退」「企業年金カット」「ジャンボ機全37機を退役」等とあります。


ブランド=選ばれる理由

クライアントの経営改善を生業にしている経営コンサルタントの目線で見ると、この「事業再生計画案」の有効性がとても気になります。と言いますのも、どの案も皆、「縮小」の案だからです。野球ならヒットかホームランを打ち、サッカーならゴールを入れないと勝てないように、経営も「売上と利益を上げる」案がなければ、決して浮上しません。昨今の経済情勢ですから、会う経営者みんな、口を開けば「コストを削減」「ムダを省く」という話をされますが、同時に、「コスト削減にも限界がある」とおっしゃいます。

JALの現場では、社員の皆さんが涙ぐましい努力をなさっていることをドキュメント番組で見ました。例えば、整備担当者は、ぞうきんを長く使い回し、めったなことでは新品をおろさない、といったことです。しかし、2・3兆円もの負債をはねのけ、さらに利益を生み出す経営体質にするためには、ボールを打たなければ試合にも何もなりません。
 
例えば、JALから私がコンサルティングを依頼されたとしたら、「航空機の座席を販売するビジネス」から「快適な旅行をサポートするサービス業」へとビジネスの定義を書き換え、「ジャパニーズ・ホスピタリティ(和風おもてなしのこころ)」をブランドの約束とする、といった提案をします。せっかく「JAPAN」が社名についているのですから、「和」を使わない手はありません。「和のおもてなし」を「お客様から選ばれる理由」にするのです。



ラジオ番組だけではなく

大阪のFMラジオ局FM802。
2009年に開局20周年を迎えた、まだ若いステーションですが、関西圏のFM全局シェア68・3%(09年12月度)、これで42回連続レーティングナンバー1の人気です。開局時からのブランドの約束は、「新人発掘」。今は売れていなくても、将来きっとビッグになる、そう思った新人は徹底的に応援し、育てていきます。
 
たとえば、ヘビーローテーションといって、1日中徹底的に曲をかけつづけます。FM802から火がついてメジャーになったアーティストにはドリカム、KAN、J-WALK、槇原敬之、ウルフルズ、元ちとせ、矢井田瞳、Superfl yなど多数います。

FM802は新人発掘を「digmeout」というネーミングで若手新人デザイナー、画家にまで広げたプロジェクトにしています。www.digmeout.netをご覧いただきたいのですが、画集の出版を始め、グンゼ「BODYWILD」とタッグを組んで「パンツを一緒にアートする」プロジェクトなども始めています。グンゼはパンツを拡販するにあたり、若い顧客へ訴求したいマーケティング戦略を考えていました。そこで、digmeoutとコラボレーションし、一般の人からパンツのデザイン応募を募集しました。第1回目のパンツテーマ「燃えパン」には

333作品応募があり、10の優秀作品が選ばれました。第2回目のテーマは夏を迎えるにあたり「サマパン」。digmeoutは他にも、上海万博「大阪館」ファサードコンペなどを企画・実行しています。
 
FM802は、自社のビジネスの定義を「ラジオ番組を流すこと」にとどまらず、若い才能を発掘し、そこから生まれる新しいアートを通じてみんなの生活を豊かにし、楽しさを創造すること、としているようです。これがFM802の強さの秘密、つまり、選ばれる理由なのです。