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ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

150) ノンカスタマー戦略

マーケティング講座

こんにちは!阪本啓一です。
「顧客との出会い」大切に!


ノンカスタマーとは

非顧客、つまり、顧客になっ てもいいはずなのに、顧客では ない人たちのことを指します。

シェア 40 %といえば、一般的 に市場の存在感が大きいとされ ますが、見方を変えれば 10 人の うち6人がお客さんではないわ けで、ノンカスタマーの方が多 いことになります。そしてこの 事情は独占企業ではない限り、 ほぼすべてのビジネスに当ては まります。

顧客についての情報は調べよ うとすれば可能です。しかし、 非顧客はつかみようがない、と いうのが正直なところです。顧 客のリピート率を上げることは もちろん大切ですが、非顧客と いかにして出会うかが成長のた めの重要な鍵です。


商売のトライポッド

ビジネスは価値提案です。そ の価値が生活者のニーズ(欲求 と満足)を満たすのであれば、 対価を支払ってくれます。これ が顧客の創造です。だから、何 よりまず価値の設計が重要。そ の価値を顧客が手にすること ができるよう商品(製品・サー ビス)化する。そして、その商品 をどのようにして届け(デリバ リー)、どのように生活者・顧客 と関係性を耕していくか(コン テキスト)。価値を中心にして、 「商品」「届け方」「関係性」の三 つがバランス良く成立するのが 商売繁盛の秘訣です。


「顧客との出会いの窓」を変える

「ノンカスタマーといかにし て出会うか」を考えるには、「届 け方」と「関係性」を従来のやり 方と変えてみます。

某アパレルショップの事例で す。そこは観光地に出店してい ます。つまり顧客は観光客。観 光地に遊びに来たお客さんの一 部が店舗に足を運び、土産物と して買っていく。顧客は観光客 の関数でした。「観光客をどれ だけ取り込めるか」については 手を打てましたが、母数の観光 客そのものを増加させることは 一店舗の手に負えるものではあ りません。しかし、ビジネスで ある以上、成長しなければなら ない。一口に成長といっても必 要なことは量ではなく、質の成 長です。一時的に安売りやクー ポンなどで顧客数を増やしても その場限りで、体質強化した結 果の成長こそが、「長く繁盛し つづける秘訣」だからです。

では、この店舗の体質強化は 何か。「顧客との出会いの窓」を 変えたのです。具体的にはネッ トショップを立ち上げました。 詳細は省きますが、ネットブラ ンディングの方策をいくつか実 施(ブログを書く、ツイッター を熱心にするなど)した結果、 店舗ではまったく売れなかった 商品がネットで売れ始めまし た。かつて店舗では2、3千円 のものが売れ筋でした。京都の 工芸家とコラボレーションし た製品があったのですが、1つ 2万円以上します。リアル店舗 ではさっぱりでした。土産物で 2万円はなかなか手が出ませ ん。しかし、ネットでは売れる のです。ウェブサイトで製品説 明をたっぷりできることが一番 の理由です。ストーリーリッチ にすることで、提案価値に共感 する顧客は必ずどこかにいま す。店舗では出会えなかったノ ンカスタマーと出会い、顧客に なってもらったわけです。

顧客との出会いの窓はネッ トに限りません。夫婦でやって いるある駅前の総菜屋が、ラン チ弁当を手作りで製造販売して いました。単価は 250 円、これで も相当利益を削っています。と ころが近所に新しくオープンし たチェーン店が 200 円の価格で弁 当を出してきました。総菜屋の 夫婦は対抗しなければ、と無理 を重ねて 200 円にしました。とこ ろが思うように客足が伸びま せん。当然です。総菜屋の売り は「自店で作る」にあったのに、 その価値を「届け方」「関係性」 に十分活かさないまま、単なる 価格競争に陥ってしまったの です。自店で作るがゆえの強み (素材や味)をしっかり届ける ことで、十分にノンカスタマー と出会えたはずです。


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(2010年10月16日掲載)