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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

151) カルチャーがブランドを作る

マーケティング講座

こんにちは!阪本啓一です。
カルチャーが ブランドを作ります。


退屈したくない

ザッポス ( Zappos.com) CE Oのトニー ・シェイは1996 年にリンクエクスチェンジ ( LinkExchange) を創業し、 僅か 1 年半後の 98 年、 マイクロソフ トに2億6500万ドルで売却 しました。 99 年、 オンラインの 靴屋さんザッポスにアドバイ ザー兼投資家として招かれ、 C EOとなり、 2009年、 アマ ゾンに 10 億ドルで買収される までに成長させました。 買収金 額だけを見ると、 リンクエクス チェンジもザッポスも、 計算上 は年1億ドルですが、 トニーは 「成長のプロセスはまったく違 う」 と言います。  

トニーは、 学校を卒業してオ ラクルに入社しました。 予想し ていた仕事と違って退屈な仕事 だったのですが、 給料もいいの で、 我慢して働いていました。 そのうち、 出社が苦痛になって きた彼は、 会社に内緒でウェブ サイトを構築するビジネスを友 人と始めます。 やがて勇を鼓し てオラクルを退社。 この間わず か数カ月。 「自分のビジネスを やりたかった。 自分の運命は自 分でコントロールしたかった。 お金の問題じゃない。 退屈した くないんだ」 。 次に起こしたの がリンクエクスチェンジです。  

リンクエクスチェンジが成長 するに従い、 知らない顔の社員 がオフィスに増えてきました。 最初、 満足げに見ていたトニー は、 だんだん自分が楽しんでい ないことに気付きます。 朝起き るのがつらい。 これではまるで、 オラクルにいた頃と同じ。 社員 が 25 人を超えるまでは、 一緒に いて楽しくエキサイティングな 人を採用していました。 しかし、 それ以降入社してきた人たちの 動機は、 お金が儲かるからとか、 次の転職に有利なキャリアが得 られるから、 というもので、 カ ンパニー・カルチャーに惹かれ て、 というものではなかったの です。 これがトニーの楽しめな くなった一番の理由でした。  

そして、 カンパニー ・カル チャーというものの重要性を肌 で知ったのです (この時は気付 いていなかったかもしれません が) 。


カルチャーこそがブランド

リンクエクスチェンジを売却 し、 投資の仕事をしている時、 「ネットで靴を販売する」 アイ デアをニック ( Nick Swinmurn) という男性が持ってきます。 靴 のネット販売の可能性もさる ことながら、 ニックのキャラク ターが気に入ったトニーは投資 を決定。 これがザッポスの始ま りです。 トニーは言います。  「カルチャーこそがブランド。 私たちは自社ブランドを、 ただ 単に靴や服などのネット小売店 ととらえていません。 最高の顧 客サービスと顧客体験を提供す るブランドを築きたいと考えて いるのです」 。  

ネットの浸透のおかげで、 会 社は好むと好まざるに限らず、 生活者 ・顧客の前では丸裸に なっているのと同じ。 だからこ そ、 広報など一部門の業務では なく、 社員一人一人の行動こそ が顧客のこころの中にブランド を形成する (この点、 トニーと 私のブランド論はまったく同じ です) 。 日々、 直接、 間接にさま ざまな顧客接触をする社員は自 社ブランドを世の中に広めるブ ランド大使と言っていいでしょ う。 よって、 採用から自社カル チャーに沿った人を選びます。 もちろん、 業務を遂行するのに 必要なスキルがあるかどうかは チェックしますが、 いくら頭が 良くても、 カルチャーに合わな い人は採用しません。


コア・バリュー10カ条

ザッポスでは、 社内カル チャーのコア・バリューを 10 項 目にまとめています。 .機璽咼垢鯆未犬董 WOW (感動) を届けよう ∧儔修鮗け入れ、 促進しよう 3擇靴気函 ちょっとヘンテコ なことを創造しよう に糎嬰、 創造的、 オープンマ インドでいよう ダ長と学びを追求しよう Ε灰潺絅縫院璽轡腑鵑鯆未犬 オープンで正直な人間関係を作 ろう Д櫂献謄ブなチームと家族精 神を築こう 無から有を生み出そう 情熱と強い意志を持とう 謙虚でいよう  

「カルチャーを大切に育むこ とがブランド構築につながる」 。 つまり、 ブランドのテクニカル な部分 (ロゴ、 イメージ、 プライ シングなど) は二の次というわ けです。 同社は、 「たまたま靴を 売っているサービスカンパニー であり、 顧客に届けているのは 『ハピネス』 」 と自社の提供価値 の定義をしています。
*参考 Delivering Happiness, Tony Hsieh, Business Plus


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(2010年11月1日掲載)