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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

155) 顧客が教えてくれる

マーケティング講座

こんにちは!阪本啓一です。とっておきの方法です。


思いのズレ

ドラッカーの「イノベーショ ンを生み出すためのネタ」の1 つに、「企業側と顧客の思いの ズレ」があります。

企業サイドが「この商品はこ ういう風に使われるはずであ る」と考え、商品開発し、メッ セージを流します。しかし、顧 客サイドは、「こう使った方がい い」と、企業が思いもよらない 使い方をすることがあります。 ここにイノベーション、つまり、 新しい顧客との出会いのチャン スがあるというわけです。この チャンスを活かすために大切な のは、「企業サイドの企画はあ くまで仮説」という謙虚な気持 ちと姿勢です。企画をいくら慎 重に練っても、その企画を受け 入れるかどうかは顧客の勝手で あり、顧客の判断こそが真実。 また、ビジネスの前提がコロコ ロ変わる昨今、昨日のイエスが 今日のノーに変わってしまって いるかもしれません。


メッセージを変える

東京近郊都市の建築会社で、 こんな事例があります。「地域 密着」をスローガンに仕事をし ているので、メルマガやブログ から発信するメッセージもその ようにデザインしていました。 地域住民を潜在顧客としてみて いたのです。

ある時、顧客分析をしてみま した。すると、その建築会社の 所在地域に在住している人は 高齢者が多く、既に自家を持っ ている人が大半のため、仕事を 発注してくれてもリフォームが 中心です。一方、本来受注した い新築案件の相談をしてくる人 は都内在住の 30 代の若い夫婦が 圧倒的に多いことがわかりま した。事情は、「夫がぜんそく持 ち(都内は、ぜんそくの治療費 は無料とのことです。これはこ れで何だかすごい話です)のた め」「空気の良い所へ転居した いから」「子供のアトピー治療 のため」など、さまざまです。

つまり、「本当の潜在顧客は都 内在住者で、近郊へ転居を検討 している層」だったわけです。 これ以降、ブログやメルマガな どで発信するメッセージを変え ました。他都市から転居してき た人の「転居の理由や、住み始 めて良かった点」などに焦点を 当てた内容にしたのです。


問い合わせを記録する

あなたのお店(会社)では、顧 客からの問い合わせを記録して いますか?接客時、電話、メー ル、ファックスの問い合わせ で、「○○はないんですか?」と いう「自店(社)では取り扱って いない商品」へのリクエストが あった時、ややもすると「うち では置いてない(やってない) んです」で、終わるのではない でしょうか。

ある通販ショップのコンサル ティングで、「リクエストに応え られなかったリスト」を作成し てもらったことがあります。方 法は簡単。ファックスによる注 文が大半なので、「応えられな かったファックス」は専用の箱 に入れるようにしただけです。 このように、誰がやっても簡単 にできるやり方をすることが正 確なデータを手に入れるコツで す。

いずれも、サイズや色の種類 といった小さなリクエストでし た。しかし、顧客が望んでいる ということは、顧客が「これを 置いてくれたら買いますよ」と 教えてくれているのです。

先日、あるショップで、北海 道出張用に雪に強い靴を買いま した。数日後、馴らすため、新品 の靴を履いて出かけました。と ころが、痛いのです。左右の足 両方共、内側のくるぶしが靴に 当たって痛くてたまらない。仕 方ないのでショップへ行き、何 か対策はないか聞いてみまし た。答えは、「慣れていただくし かないです」。ただし、と、ショッ プスタッフは付け加え、「絆創 膏のようなものを貼っておくと 楽になりますよ。私も使ってい ます」。彼はその「絆創膏のよう なもの」の商品名と、近所のド ラッグストアで買える情報まで くれました。

大変ありがたかったのです が、さて、気になるのはその後、 彼が私の情報を店内に記録して いるかどうか。つまり、「○○と いうシューズは、内側のくるぶ しの痛くなる顧客がいた」とい う事実の記録です。この記録が 記述され、かつ店内で共有され ていれば、顧客が店内で試しに 履いている時に「くるぶしは大 丈夫ですか?痛くなったことは ありませんか」とひと言付け加 えることが可能です。

ただ単に商品を売るのではな く、顧客ニーズの解決をする、 という姿勢が店を繁盛に導き ます。何が売れるのか、顧客が 教えてくれるのです。記録し、 活用しない手はありません。ぜ ひ!

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『共感企業〜ビジネス2.0のビジョン』(日本経済新聞出版社)
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(2011年1月1日掲載)