働く
JOB

アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

9)ビジネスチャンスのつかみかた
【何を買ってくれるか】

マーケティング講座

みなさん、こんにちは! 阪本啓一です。
ビジネスチャンスのつかみかたを考えてみましょう。
チャンスはこうしてつかみとみとろう!


 ビジネスをやる人が往々にして-陥りがちなマインドセット(心の持ちよう)に、「自分たちの製品・サービスから発想する」があります。顧客の立場に立ってみれば、製品・サービスは何でもいいのです。「その製品・サービスがやってくれること」に対価(お金、ブランドへの愛情など)を支払ってくれるわけですから。そこで、まず最初に銘記すべきことは、「『何を売りたいか』ではなく、『顧客は何を買ってくれるか』を考えなければならない」という点です。


「不」を探す

 どんなに成熟したように見える市場であっても、必ずビジネスチャンスはあります。なぜなら、ビジネスは、人が人に向けて行う営みだからです。人間というものはどんなに恵まれていても、他人が羨む環境にいたとしても、不満・不安・不便を感じる生き物です。「良い・悪い」ではなく、「そういうもの」だと考えましょう。これをビジネスの側から見れば、「人に『不』がつきものであるなら、いくらでもビジネスのチャンスはころがっている!」ということになります。

 例を挙げましょう。現在私は博多にいます。ホテルは博多の中心部、天神に位置し、繁華街のど真ん中です。この1カ月ほどセミナーツアーで出張つづきだったため、コンタクトレンズの洗浄・保存液とリステリンがなくなってしまいました。そこで散歩がてら探しに出かけました。家庭ではなく。旅先で使うものなので、小さいサイズが欲しい。たいていはコンビニにあるので、まずはコンビニを、と探しましたが、不思議なことに、ホテルの周囲には1軒もないのです。ないなら仕方がないので、ホテルの前にあるドラッグストアをのぞくと、欲しい品物は2つともあるのですが、家庭で使うお徳用サイズ、即ち、大きなものしか置いていないのです。コンタクトの保存液は360 ml、リステリンに至っては1000ml。そんなもの、出張で持ち歩けません。他にも2軒、ドラッグストアをまわりましたが(コンビニがないかわりに、薬局は多いのです)、事情は同じ。場所は歓楽街、観光の街です。

 住宅街ならともかく、一体彼らは「誰に買ってもらいたい」のでしょうか。「『何を売りたいか』ではなく、『顧客は何を買ってくれるか』を考えなければならない」原則から言えば、全く失格です。私の目の前にビジネスアイデアがむくむくとアタマをもたげてきました。即ち、「ミニミニショップ」です。この街を歩いている人は私のように、「ちょっと使い」をしたいのです。量(サイズ・容量)はミニでいい。いいというより、ミニでなければ要らない。で、あるなら、ミニサイズの商品を一箇所に集めれば売れるのではないでしょうか。そうです、ミニミニショップを開店するのです。 コンビニの場合、その名前の通り「コンビニエンス」を売りにしていますから、ある一定の品揃えが必要です(日本のセブン・イレブンは平均的に1店舗あたりの商品アイテム数は2500です)。しかし、ミニミニショップでは品揃えよりむしろ「こんなミニサイズが欲しかったんだ!」という「驚き」「喜び」も一緒に買ってもらいます。商品によってはメーカーに開発をお願いしなければならないかもしれませんが、どうでしょう、「当たる」と思いませんか?


新幹線の駅弁

 新幹線駅の駅弁も、「顧客が買ってくれるだろうか」の発想がありません。お世辞にも、「おいしそう」と言える弁当が並んでいるのを見たことがありません。みんな冷たくて、なんだかどこかで見たことのあるようなありきたりのお弁当ばかり。駅の外では、町のホカホカ弁当やコンビニが腕を競っておいしさ、新商品で顧客の食欲をそそる工夫をしているというのに、なぜ改札を一歩入ると箸が折れるほど冷たく固いハンバーグ弁当(ウソではありません。私が体験したことです)になるのでしょうか。「買ってもらう」姿勢ではなく「売る」姿勢だけしかありません。顧客として、不満が残ります。裏返せばビジネスチャンスだということです。


常に「ネタ目」で

 このように、日常生活を常にネタの目で観察しつづけることを習慣にしましょう。きっと大きなチャンスに出会えるはずです。何度も言いますが、「何が売りたいか」ではなく、「何であれば顧客は買ってくれるだろうか」の視点で考えましょう。

(2005年4月1日掲載)

【文・阪本 啓一