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ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

10)楽天に学ぶ
【凡事徹底とでっかい夢を!】

マーケティング講座

みなさん、こんにちは! 阪本啓一です。
楽天の飛躍の秘密に学びましょう。


● 楽天の飛躍の秘密は?

 皆さんにもお馴染みの楽天、この会社が誕生したのはわずか8年前、1997年のことです。たった8年で、会員数1400万人(2005年3月現在)、グループ流通総額4000億円(年換算)、グループ社員数1300人に成長しました。プロ野球球団・楽天イーグルスもかかえる今や押しも押されぬ企業です。では、どうしてこのような飛躍が可能になったのでしょうか。

 先般、創業期から経営に参加されている役員K氏(役員と言っても、71年生まれの今年34歳の若さですが)と親しくお話する機会を得ましたので、皆さんにご紹介したいと思います。

 楽天の成功の秘密は2つあります。「凡事徹底」と「目標設定」です。


凡事を徹底する

 奇策を弄するのではなく、地道に目の前にある課題をコツコツ解決していく。ゆっくり歩いていく、そんな姿です。当たり前のことを当たり前に徹底して実行する。書けば簡単なようですが、いざ実行するとなると、難しいものです。

)莉儀醉貌の朝礼
 楽天は9時30分始業ですが、毎週月曜日は朝8時に全員が朝礼に集合します。1分の遅刻も許されません。遅刻しようものなら、「お前、(朝礼に)出なくていいから自分の席にいろ」です。そして創業者の三木谷氏がその時々に考えていることを肉声でダイレクトに語りかけます。IT企業なのだから、ネットを使ってやりそうなものですが、リアルなフェース・トゥ・フェースの場を大切にしています。

 創業期から、社員数1300名になった現在も変わらず、実行しています。

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 朝礼が終わると、清掃の時間です。自分の机の上を自分で毎日清掃することは当たり前、月曜朝は、椅子の脚まできれいに磨きます。そんなこと、社員がやらなくても、外部の清掃業者に任せれば良いのでは? という声が聞こえてきそうですが、椅子の脚だけを磨いているのではないのです。こころも一緒に磨いているのです。掃除は「気づき」のためにあるのです。

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 社員は全員、左胸に名札をつけていなければなりません。創業者の三木谷氏であろうと、例外なし。付け忘れていると、大目玉です。

だ案
 会議終了後、椅子をきちんと元に戻さないと叱られます。立ちっぱなし、使いっぱなしは許されません。

 また、仕事を終えて帰宅する際には、机の上には一切何も置いてはいけません。ティッシュの箱でさえ、ダメです。そして、引き出しには施錠。お客様の大切な個人情報をお預かりしているのだから、といいます。


大きな目標を設定する

 楽天が世に提供したい価値は「日本を元気にしたい!」とのこと。そのために、とんでもなく大きな目標を掲げます。この目標設定の方法が、優れているのです。あくまで例ですが、仮に現在100店舗であるとして、1000店舗にすることを目標にするとします。これを楽天的表現でいうところの「足し算」で考えると、「毎月50店舗ずつゲットしていくとすると1年半かかる」となります。頭上に掲げた目標に向かって階段を一歩ずつ上がっていくイメージです。しかし、段の高さは一様ではないかもしれません。むしろ計画というものは何らかのトラブルに見舞われることを鑑みれば、このやりかたでいくと、必ず途中で挫折します。「1年半かかる」と読んでいても、実際には倍の3年かかるかもしれません。そこで、楽天は「引き算」で考えます。例えば1年半後の2006年9月に1000店舗にする。そのためにはゴール半年前の2006年3月には**を、1年前の2005年9月には**をしていなければならない、と、フィードバックして施策を考えるのです。これによって、数字が結果こうなりましたという結果数字ではなく、施策を実行したために得られる施策数字となるのです。

 「(年間)流通総額1兆円プロジェクト」を掲げたときの月間流通総額は実際には30億円でした。「経常利益1000億円」を掲げたときの経常利益は44億円(2003年12月期)でした。実にいずれも30倍の大きな目標です。「現在実力からの足し算」では出てこない大きな夢です。

 凡事徹底とでっかい目標設定。私たちも、大いに学ぶことができると思います。

(2005年4月16日号掲載)

【文・阪本 啓一