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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

42)海の家にビジネスの本質を学んだ
【遊びが仕事、仕事が遊び】

マーケティング講座

皆さん、こんにちは! 阪本啓一です。
海、行ってますか?


夏は仕事になりません(笑)

 NYから日本に帰国して以来、神奈川県の葉山に住んでいます。この季節、葉山をはじめ、逗子、鎌倉、江ノ島、辻堂など、いわゆる湘南地区の海岸は、海の家真っ盛り。海の家といっても、昔よくあった、おばちゃんが焼きソバやトウモロコシを焼いているようなイメージではなく、洗練されていて、都心のおしゃれなバーか、カフェみたいな店が多くなりました。それぞれの店がコンセプトを明確に打ち出しており、ある店はバリ風、ある店はハワイアン、といった感じです。ビールだけではなく、多彩で手のこんだカクテルはもとより、バリ風マッサージを受けることができるところもあります。中にはテレビ局のやっているお店や、エステサロンがスポンサーになっていて、道路(国道134号)から見える海の家の壁には大きくエステのキャラクタータレントが微笑みかける広告写真が載っていたりします。

 正直に言いますと、夏は湘南に住むと、仕事モードになかなかスイッチが入りません。そこで対策として、取引先のスイッチもオフにしてしまう、という奇策を取ることにしています(自分のスイッチをオンにしないところがいいでしょう?)。クライアントの社長が会いたいとなったら、ビーチサンダル持参にて海の家まで来ていただきます。そして、お互い裸足で砂に足をめりこませながら、ビール飲みつつ、海の波を追いながら、打ち合わせします。本の担当編集者ももちろん、Tシャツとビーサンでやってきます。待ち合わせは「いつもの海の家、だいたい3時ごろ」といったアバウトな約束で。砂まじりのテーブルの上に校正原稿を拡げ、打ち合わせです。そうしてできた本の1冊が昨年秋上梓の『企画心』(ビジネス社)です。勝手な言い草かもしれませんが、自然の中にいるほうが、発想も豊かになる、そんな気がするのです。


ぼくもやらせてもらえませんか?

 さて、今年も海の家が始まり、早速入り浸っていますが、先日、ある出来事を見ていて、ビジネスの本質を学ぶことができました。その日も、さる海の家でビールジョッキを片手にぼんやりしていたとき、あるお客さんのお子さん、小学高学年と低学年らしき男の子2人がビーチサンダルを取り合うゲームを始めました。砂浜にサンダルを立てて埋めます。これがゴールです。10メートルくらい距離を置いて、ゴールとは逆に向いて腹ばいになります。「よーい、ドン」の合図で腹ばいから立ち上がり、一気にゴールに向かい、ビーサンを取れば勝ち。弟のほうが得意らしく、何回やってもお兄ちゃんは勝てません。単純なルールなのに、見ているこちらも楽しくなってくる、面白いゲームです。

 と、私と一緒に笑いながら見ていた店のオーナーが、「ぼくもやらせてもらえませんか?」と子供たちに話しかけ、許可をもらいました。やってみると、当たり前のことですが、大人のオーナーが一人勝ちです。一切手抜きをせず、しかも何回もやって、そのたびに勝っています(笑)。要するに、兄弟に対して何か教育的なことをしてみせる、ということではなく、自分がやって楽しみたいのでした(笑)。

 ひとしきり楽しんだ後は子供たちと一緒に海に入り、身体全体についた砂を落とします。そしてオーナーはそのままバーカウンターに入って、仕事に戻りました。よく見てみると、このお店、ほかのスタッフも、暑くなってくると、定期的に海に入って身体を冷まして、また仕事に戻ります。


すべてが遊び すべてが仕事

 これを見ていて、思いました。ビジネスの本質はここにあるなあ、と。海の家をやっている彼らにとって、ビジネスとしての目的は、お金ではなく、自分たちが楽しみたいからである、と。もちろんガソリンとしてのお金は必要です。仕入れなきゃいけないし、スタッフに給料を支払わなければならない。でも、それは結果であって、目的ではない。お金儲けなら、もっと効率的なやりかたがあります。来客もその日のお天気次第、しかも夏の2カ月だけの営業。ビジネスとしてはあまり良い条件とはいえません。それでも彼らにとって、この店にいてやることは、すべてが遊びであり、同時に、すべてが仕事なのです。これが彼らのモチベーションであり、ビジネスの目的となっているのです。そしてこのことは、海の家に限ったことではなく、すべてのビジネスの目的だろうと思います。まず、やっている自分たちが楽しまなければ。楽しく、JOYを感じることができなければ、ビジネスをやる意味なんて、ないと思います。

(2006年8月16日号掲載)

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