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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

79)気づき力

マーケティング講座

こんにちは! 阪本啓一です。
気づき力を鍛え、商売繁盛につなげましょう。


非凡なことを成すために

 ビジネスチャンスを発見する「気づき力」について解説します。ビジネスは芸術と違って、1人の天才の閃きに頼ることはできません。平凡な人が非凡なことを成し遂げられるようにすること(˝P.ドラッカー)が、目指すべき「永続する良いビジネス」の本質です。そのために必要な能力が気づき力。気づき力とはいったい何で、どうやったら身につき、鍛えられるのでしょうか。


ブジャデ(Vuja De)

 デ・ジャブという言葉はおなじみだと思います。初めて来た場所のはずなのに、来たことのあるような気がしたり、仲間と談笑していて、「あれ? このシーン、以前もどこかで体験したことがある!」と思ったり、観たことがないはずの映画が、よく知っている内容だったり…。皆さんも経験がおありのことと思います。

 ブジャデとは、この逆です。普段見慣れたものに、従来とは全く違うものの見方の光を当てることで、新しい発見に気づく効用があります。ブジャデのセンスこそが、気づき力です。


カー・シェアリング

 ルームシェアリングを始め、ハワイなどリゾート地のコンドミニアムやヨットを何人か共同で所有し、利用する共有システムが、普及しています。また、レンタルビデオ、CDのビジネスモデルは、企業が「ソフト共有」システムを構築し、顧客は「ソフトの所有権ではなく、視聴権を他の会員と共有する」対価としてフィーを支払う仕組です。シェアリングの本質は、「所有権から共有権へ」というわけですね。

 ジップカー(www.zipcar.com)がブジャデで目をつけたのは、この「共有」の思想です。車を所有から共有へ。車は買って乗るもの、という従来の「所有」を基盤としたライフスタイルに、「共有」という違う角度から光を当て、ビジネスに育て上げました。現在会員数18万人、5千台の自動車を保有しています。入会金25ドルと年会費50ドルを支払って会員になり、あとは利用時間に応じて料金を支払います。

 レンタカーと違い、1日単位ではなく、1時間単位で利用可能、1時間9ドル、または1日単位で66ドル(ガソリン、保険代込み)。オンラインで予約し、最寄りの駐車スペースに行き、乗った後また元に戻せばOKです。車は所有するのではなく共有し、利用するときだけ借りる、というライフスタイルは、公共交通機関が発達している都市生活者にとって、財布にも環境にもやさしく、新しい価値をもたらしています。

 (1)車は昔からあった、(2)シェアリングも生活の他の分野(ルーム、コンドミニアム、ヨットなど)で定着している。この2つを結びつけるブジャデのセンスが、新しいビジネスを創造したのです。


肯定の光

 気づき力を鍛え、効果的にする秘訣は、「何事にもとらわれず、素直な目で見る」ことと、もう1つ重要な姿勢は、「肯定の光を当てる」ことです。

 新しいアイデアが生まれたとき、あるいは提案されたとき、あなたはどう反応するでしょう。「こことここはどうなっているんだ?」「これこれの問題があるが、解決方法は考えてあるのか?」と問題点発見タイプでしょうか。それとも、「面白い。どうすれば実現できるのかな?」と笑みを浮かべて膝を乗り出す肯定タイプでしょうか。言うまでもなく、気づき力は、後者の肯定スタイルで鍛えられます。

鍛える方法

 何か新製品・サービスが生まれたときがチャンスです。企画した人がなぜこのアイデアを得たのか、今後どのように育てたいのかを、企画者の身になって仮想レッスンするのです。そして紙に書いてみます。後日、現実とあなたの予想との違いをチェックします。

 また、御社の組織図を描くこともお奨めします。3年後の組織図を描いてみるのです。1枚紙を用意し、まずは下半分に現在の組織図を描く。上半分に、「3年後はどうなっていたいか」を思い描きながら未来の組織図を描いてみて下さい。コツは、現在のメンバーをいったん封印し、純粋に組織機能の観点から人財を配置することです。現在のメンバーの延長線だと、思考がブレイクスルーしません。

 3年後というのがミソでして、5年後、10年後だとウソが多少入ってしまいます。しかし、3年後となると、フィードバックすると「現在すぐに着手しなければならないこと」が具体化します。そして、自社のリソース(経営力、テクノロジー、人財、キャッシュ、マーケティング、など)1つ1つを点検、チェックしなければなりません。強みと弱みに気づくのです。これも重要な気づき力。3年後の組織図、是非、実行してみてください。

(2008年3月1日号掲載)