アメリカの短期出張向け商用ビザ・Bビザとは

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アメリカに商談で入国するにはどんなビザがありますか?

瀧 恵之 弁護士

Q:私の勤めている会社は、大手自動車メーカーの下請けで、アメリカに自動車部品を輸出しています。一昨年よりパンデミックの影響もあり、アメリカへの出張はほとんどなかったのですが、2021年の春くらいから技術提供や商談などの目的で、 頻繁にアメリカに行くことになりました。2022年、アメリカ入国の際に止められ、別室に連れて行かれた後、入国はできたものの、次回からはビザを取得するようにとの注意を受けました。私の会社は、アメリカに子会社があるわけではないので、駐在員の人たちのような一般的な就労ビザを申請することができません。どのようなビザが考えられますか。

A:ビザ・ウェーバー(「ESTA」登録)で入国する場合は、基本的には観光目的のために使用されるほか、米国で給与を得ないことを条件として短期のビジネスに用いることもできます。しかし、米国で雇用されておらず給与を受け取っていない場合でも、米国に頻繁に入国するのに、ビザ・ウェーバーは適していません。そこで、あなたの場合は、アメリカの短期出張向け商用ビザ(B-1ビザ)の申請が考えられます。日本のアメリカ大使館・領事館は、パンデミックによりB-1ビザの受付を長く中止していましたが、現在は再開されています。

 

アメリカの短期出張向け商用ビザ(B-1ビザ)は、米国内での取引などで利用されるビザ

アメリカの短期出張向け商用ビザ(B-1ビザ)は直接、日本の米国大使館または領事館で、「DS-160」という書式により申請ができ、L-1ビザのように、日本の米国大使館・領事館申請前に米国移民局からの認可を得る必要はありません。B-1ビザで、米国内において雇用関係に基づく就労に従事することは禁じられていますが、商談、契約の締結、また商品の買い付け、市場調査、コンファレンスへの参加、訴訟手続きなどを行うことができます。

B-1ビザ取得の条件としては、
①申請者が米国内で一定の限られた期間のみ滞在すること
②滞在期間終了後、米国を離れる意志があること
③米国滞在期間中、母国での居住地を維持し、それを放棄する意志のないこと
④米国への旅費、滞在費および母国への帰国のための費用が十分に準備されていること
⑤米国内で、該当事業に合理的に関連した活動のみを行うこと
が挙げられます。これらの内容はあなたの雇用主である会社から手紙で説明されるのが一般的です。アメリカでの今後の予定を書面にして提出するのも好ましいです。

さらに、アメリカの商談相手の会社から、
①会社が取引を行っていること
②その取引のためにあなたとの商談が必要であること
を明記した手紙をもらうのも得策です。他に、日本の会社の会計決算報告書、会社案内などを提出することにより、日本の会社がビジネスを継続して行っていること、アメリカの会社と取引をする十分な資金力があることを証明するのも、プラスになると考えられます。

 

アメリカの短期出張向け商用ビザ(B-1ビザ)は米国内でのビザ更新申請や、他のビザへの切り替えも可能

アメリカの短期出張向け商用ビザ(B-1ビザ)は、一般的に10年間(例外あり)のビザが発行され、1回の入国に対して、6カ月までの滞在資格が与えられるのが通常です。ビザ・ウェーバーと異なり、B-1ビザにて入国した場合は、アメリカ国内での更新申請も可能ですが、B-1ビザはそもそも米国での長期滞在には適しておらず、少なくとも平均して1年の半分以上は、米国外に滞在する必要があります。従って、延長申請を行った場合でも、できる限り早期にアメリカを離れ、次回のアメリカ入国までの期間をできる限り空けることが、次回のアメリカ入国の際のリスクを下げることになります。

またB-1ビザは、アメリカ国内においてステータスの変更も可能なため、例えば米国でのビジネスが拡大し、米国に支店を持ち収入を得る必要が出てきたような場合には、米国内にてB-1ビザからLビザ、あるいはE-1ビザ、E-2ビザなど他のステータスに変更申請を行うことが可能です。これにより、米国内で就労を行い、給与を得られるようになります。ただしこの場合は、いったんアメリカを出国すると日本のアメリカ大使館・領事館にてビザ申請を行わなければならなくなります。

B-1ビザの申請には、具体的かつ詳細な米国での滞在計画が必要です。滞在期間終了後、米国を離れる意志があることの説明は、例えば日本に家族がいるというだけでは説得力を欠き、日本に経済的に強い関連があることを説明した方が好ましいです。一般的には、日本に会社を持っている、あるいはあなたのように日本の会社に勤めていて、その雇用が継続されていることを証明するとよいと言えます。逆に、例えば学生ビザなどでアメリカに長期滞在した後、日本帰国直後にB-1ビザを申請したような場合は、却下される可能性があります。あなたの場合は、面接で、先のアメリカ入国の際に入国審査官よりビザを取得するよう注意を受けたことを説明するのも得策と言えます。

 

(2022年1月16日号掲載)

アメリカに商用目的で頻繁に出入りする方法

瀧 恵之 弁護士

Q:私は、主にアメリカから輸入したアパレル商品を扱う店を日本で3店舗経営しています。取引先との買い付けや商談などのため、ほぼ毎月アメリカに出張しています。出張の際の入国には観光目的のビザを使用していますが、頻繁に出入りしているため、次回は半年以上間を置くか、別のビザを取るように忠告を受けました。米国内に会社を設立すれば、駐在員用のビザが取れるという話は聞きましたが、今のところそこまでの経費を使う必要性もなく、また取引先が多くの州にまたがっているので一カ所に会社を設立するのも合理的ではありません。何か良い方法はないでしょうか。

A:基本的に、観光目的の渡米の際に使用する「ESTA(Electronic System for Travel Authorization)」に登録をして、ビザ免除(Visa Waiver)で入国するならば、米国内で給与を得ないことを条件として短期の商用目的(出張等)で出入国することができます。しかし、米国内で雇用されていない場合であっても、出張等で米国に頻繁に渡航するのであれば、この「ESTA」登録は適していません。

 

従業員の数が問われる「L」ビザと「E」ビザ

商用目的で米国の出入国を繰り返す場合、アメリカに子会社を設立し、その子会社が買い付けを行い、その買い付けた商品を日本の会社に売るという手法が一般的です。そして、その取引関連の流れに基づいて、「L(Intracompany Transferee)」ビザや「E(Treaty Trader/ Treaty Investor)」ビザを申請します。ただし、これらのビザを申請する場合には、アメリカの子会社が従業員を複数人雇うことを要求されるのが通例です。
 
例えば「L」ビザの場合、子会社が設立されてから1年以内だと、仮に従業員がいなくてもビザが認可されることが多くあります。しかし、そのビザの有効期限は一般的に1年ですので、延長申請を行う際には複数の従業員を雇用していなければいけません。
 
ビジネス投資者などに発行される「E」ビザの場合には、最初の申請段階で従業員がいることが要求されます。また、あなたが言うように、このような会社の形態をアメリカで作るには経費もかかります。

 

得策は短期出張用の「B-1」ビザの取得

「L」ビザや「E」ビザの申請は将来的な計画の中に入れておき、しばらくは「B-1(Temporary Business Visitor)」ビザ、いわゆる短期出張用の商用ビザの申請を試みるのが得策であると思います。
 
「B-1」ビザを使用して、米国内で雇用関係に基づく就労に従事することは禁じられていますが、短期の出張等で商談や契約を結ぶこと、また商品の買い付けや市場調査、コンファレンスの参加、訴訟手続き、短期研修などは行うことができます。
 
「B-1」ビザの申請には、在日米国大使館か領事館で「DS-160(Non-immigration Visa Application)」を提出して申請します。また、「L」ビザのように在日米国大使館や領事館への申請前に米移民局から認可を得る必要がありません。
 
「B-1」ビザを取得するには、次の全5項目を満たす必要があります。
 
①申請者は米国内で一定の限られた期間のみ滞在する
②滞在期間終了後、米国を離れる意志がある
③米国滞在期間中、母国での居住地を維持し、それを放棄する意志がない
④米国への旅費や滞在費、および母国への帰国のための費用が十分に準備されている
⑤米国内で該当事業に合理的に関連した活動のみを行う
 
これらの内容は会社からの手紙で説明されるのが一般的です。ただし、申請者の会社が小規模の場合は、大企業に比べて上記の内容に、より詳細な説明が求められます。
 
一般的に「B-1」ビザは10年間有効です。また、1回の滞在期間が最大90日のビザ免除入国に比べ、「B-1」ビザはそれよりも長い、通常6カ月までの滞在資格が与えられます。さらに、延長やステータスの変更ができないビザ免除に対し、「B-1」ビザはそれらが米国内で可能であることが利点と言えます。例えば、米国内でのビジネスが拡大して支店を持ち、さらに収入を得る必要が出てきたような場合や滞在日数が合計で1年の半分以上になるような場合に、米国内にて「B-1」ビザから「L」ビザ、あるいは「E」ビザなどの他のステータスに変更申請を行えます。
 
「B-1」ビザの申請には、具体的かつ詳細な米国での滞在計画が必要です。また、前述したように、滞在期間終了後に米国を離れる意志があることが問われますので、説得力のある説明が要求されます。例えば、日本に家族がいるというだけでは説得力を欠き、日本に経済的な強い関係があること(あなたの場合、日本に会社があること)を説明した方が好ましいでしょう。また、アメリカの取引先企業からInvitation Letterを書いてもらうのも申請の際の有効な材料になります。
 
(2014年7月1日号掲載)

ビザ・ウェイバーでの入国が制限、他に入国の手段は?

瀧 恵之 弁護士

Q:私は日本でオートバイのアクセサリー部品販売の会社を経営しています。今まで、2カ月に1度ほどアメリカに出張して、日本で販売する部品の買い付けの契約を行っていたのですが、近年、日本での需要が多くなってきました。そこで、アメリカに支社を作って長期滞在しようと考え、その準備のためにビザ・ウェイバー(ビザなし)にてアメリカと日本を往復していました。しかし、前回出張で渡米しようとした際、アメリカに頻繁に来すぎているとの理由で入国の際に止められ、次回から何らかのビザを取得するか、半年以上間隔を空けてから渡米するように言われてしまいました。Lビザを取得するつもりですが、次回のアメリカでの出張、商談までには到底手続きが間に合いそうにありません。半年間も間を置いてしまうと、せっかくのビジネスの機会を失ってしまう可能性が大です。このような場合、他に入国の手段はないでしょうか?

A:ビザ・ウェイバーは、観光目的のほか、アメリカにて給与を得ないことを条件として短期の商用(出張等)に用いることもできます。しかし、アメリカで雇用されなくても、アメリカへ頻繁に入国する場合は、適していません。
 
L-1(企業内転勤者)ビザを申請されるということですが、そのためには、アメリカで会社を設立しているだけでなく、会社が営業を行うのに充分な準備をしている必要があります。それは例えば、アメリカの会社の賃貸借契約書や、銀行口座の書類、若干名でも従業員の雇用を開始していることの証明などです。 
 
今回の場合は、L-1ビザを取得できるまでの間、B-1(短期商用)ビザを取得し、アメリカへの出入国を行うことをおすすめします。L-1ビザ取得には、移民局の認可を得た後、日本のアメリカ大使館・領事館にてビザを取得する必要がある(従って取得にある程度の時間を要します)のに対し、B-1ビザは、移民局の許可が必要なく、直接、日本のアメリカ大使館・領事館で申請することができるからです。
 
B-1ビザで、アメリカ国内において雇用関係に基づく就労に従事することは禁じられていますが、短期出張による商談、契約を結ぶこと、また、商品の買い付け、市場調査、カンファレンスへの参加、訴訟手続きなどは行うことは認められています。ちなみに B-1ビザを取得するには、以下の条件を満たす必要があります。
 
① 申請者はアメリカ国内で一定の限られた期間のみ滞在する
② 滞在期間終了後、アメリカを離れる意志がある
③ アメリカ滞在期間中、母国での居住地を維持し、それを放棄する意志がない
④ アメリカへの旅費、滞在費、及び、母国への帰国のための費用が充分に準備されている
⑤ アメリカ国内で該当事業に合理的に関連した活動のみを行う
 
これらの条件を満たした上で、まず、日本に会社があり、現在までアメリカとの取引を行い、相当額の営業活動を行っていたことの証明が必要です。日本の会社の定款、賃貸借契約書(自社ビルならば登記)、銀行の残高証明書、アメリカとの取引を示す請求書、シッピングドキュメント(船積書類)などがそれにあたります。また、アメリカの取引先からインビテーションレターなどをもらうのも得策であると言えます。これらに加えて、アメリカでの簡単な事業計画を含めた手紙を添える必要もあります。
 
B-1ビザは、一般的には 5年間、あるいは10年間(例外あり)のビザが発行されますが、1回の入国に対して、6カ月(場合によっては、3カ月)までの滞在資格が与えられるのが通常です。ですから、B-1ビザはアメリカでの長期滞在には適しておらず、少なくとも1年の半分以上は、アメリカ国外に滞在する必要があります。
 
また、ビザ・ウェイバーが滞在期間の延長やステータスの変更ができないのに対して、B-1ビザの場合はそれがアメリカ国内において可能です。
 
例えばL-1ビザを申請するのに充分な準備が完了した場合、アメリカ国内にて、B-1ビザからL-1ビザのステータスに変更申請を行うことが可能です。すなわち、B-1ビザのステータスが切れるまでに L-1ビザの申請を行えば、B-1ビザの有効期限が切れた後も日本に帰ることなく、アメリカに滞在しながら仕事を続けることができるというわけです。
 
さらに、L-1ビザを取得できたとしても、新設の会社(登記してから1年以内)は、1年間しかビザの有効期間が与えられない場合がほとんどです。ですから、その後、日米間にて貿易を行っていることも証明することで E-1ビザ(貿易・投資家ビザ/5年間有効)への切り替えを考えるのも得策だと言えます。

出張等でアメリカを頻繁に訪問する場合、ビザウェイバー以外の方法は?

瀧 恵之 弁護士

Q:日本でアパレルの卸販売を行っています。そのため、月に1度のペースで、買い付け、および商談のために、観光の名目でアメリカを訪問しています。しかし、先月の出張の際の入国審査では、長時間待たされ、事細かく質問を受けました。幸い入国できたものの、今後このような経験をしたくありません。何か良い方法はありませんか?

A:ビザを持たない状態(ビザウェイバー・プログラムを利用)でのアメリカ入国は、基本的に観光目的のほか、アメリカ国内にて給与を得ないことを条件として、短期の商用・出張にも利用することができます。
 
しかし、アメリカ国内で雇用されておらず、給与を得ていない場合であっても、出張等でアメリカを頻繁に訪問する場合、ビザウェイバーでの入国は適していません。また、1度、入国審査の際に止められてしまうと、次回の入国からは、何らかのビザを取得してくるか、半年以上期間を空けて訪問するよう警告され、コンピューターに記録されます。次回、これを無視して入国しようとした場合、アメリカのどこの空港から入国しようとしても、前回の入国時のデータが出てきますので、任意送還される可能性が高くなります。従って、「B-1ビザ」(短期出張向けの商用ビザ)の取得をおすすめします。
 
B-1ビザでは、アメリカ国内において雇用関係に基づく就労に従事することは禁じられていますが、商談、あるいは契約の締結、商品の買い付け、市場調査、コンファレンスへの参加、訴訟手続き等は行うことができます。

 

最高6カ月までの滞在も可でも1年の半分以上は国外に

B-1ビザの有効期間は、一般的には5年間、あるいは10年間(例外あり)です。また、ビザウェイバーでは1回の入国につき、最長90日までしか滞在資格が与えられないのに対し、B-1ビザでは、入国審査官の判断で最長6カ月までの滞在資格が与えられることも多いです。
 
しかし、B-1ビザは、アメリカでの長期滞在には適しておらず、合計で少なくとも1年の半分以上、アメリカ国外に滞在する必要があります。あまりアメリカ国内での滞在が長いと、入国の際に、前記と同じ様に警告を受けたり、任意送還される危険性があります。アメリカでの滞在日数が、合計1年の半分以上になる場合には、Lビザ、あるいはEビザ申請を検討した方が、安全であると言えます。
 
また、ビザウェイバーは、アメリカ滞在中に期間の延長やステータスの変更ができないのに対して、B-1ビザの場合は、それらがアメリカ国内に滞在中に可能です。例えば、アメリカでのビジネスが拡大し、アメリカに支社を持ち、相当額の売り上げが発生し、収入を得る必要が出てきたような場合は、アメリカ国内でB-1ビザからLビザ、あるいはEビザ等、ほかのステータスに変更申請を行うことが可能です。
 
B-1ビザの申請には、具体的かつ詳細なアメリカでの滞在計画が必要です。また②の滞在期間終了後、アメリカを離れる意志があること(アメリカに永住の意志がないこと)の説明に関しては、日本に家族がいると言うだけでは説得力を欠きます。例えば、日本と経済的に強い関連があること(例:日本に会社がある)を説明した方が、好ましいでしょう。
 
(2010年11月1日号掲載)

会社設立のために日米を頻繁に往復するためのビザは?

瀧 恵之 弁護士

Q:私は日本で自動車部品販売の会社を経営しています。今まで2カ月に1度程度アメリカに出張して、日本で販売する自動車部品の買い付けのための契約を行っていました。最近、日本での需要が多くなってきたため、アメリカに支社を作り、長期滞在しようと考え、その準備のためにビザウェイバーで渡航を繰り返していました。会社の場所等を決めるのに時間を要し、つい先回、入国の際に止められ、事情を話したところ、次回からビザを取得するか、半年以上、間を置くように言われました。Lビザを取得するつもりでいますが、次回出張の入国予定日までには到底間に合いません。かといって、半年間も間を置くとビジネスに支障を来たします。どうすれば良いでしょうか?

A:まず、L-1を申請するには、アメリカにて会社が設立されているだけでなく、会社が営業を行うのに十分な準備がなされている必要があります。例えば、アメリカの会社の賃貸借契約書や、銀行口座の書類、会社の写真等を提出する必要があります。
 
ビザウェイバーでの入国は、基本的には観光目的のほか、米国にて給与を得ないことを条件として短期の商用に用いることもできますが、米国で雇用されていない場合であっても、特に頻繁に入国する場合には適していません。従って、L-1ビザを取得するまでの間、B-1(短期商用)ビザを取得して、アメリカへの出入国を行うことをおすすめします。
 
L-1ビザ取得には、移民局の認可を得た後、日本のアメリカ大使館・領事館にてビザを取得する必要がある(従って取得にある程度の時間を要します)のに対し、B-1ビザは移民局の認可なしで、直接、日本のアメリカ大使館・領事館にて申請することができます。
 
B-1ビザで、米国内において雇用関係に基づく就労に従事することは禁じられていますが、短期出張による商談、契約を結ぶこと、また、商品の買い付け、市場調査、コンファレンスへの参加、訴訟手続き等を行うことができます。

 

ビザウェイバーと異なり米国内でのステータス変更可

まずは、日本に会社があり、現在までアメリカとの取引を行い、相当額の営業活動を行っていたことの証明が必要です。これには日本の会社の定款、賃貸借契約書(自社ビルならば登記)、銀行の残高証明書、アメリカとの取引を示すインボイス、シッピングドキュメント等がそれに当たります。また、アメリカの取引先からインビテーションレターなどをもらうのも得策であると言えます。これに加えて、アメリカでの簡単な事業計画を含めた手紙を添える必要があります。
 
B-1ビザは、一般的には5年間(例外あり)のビザが発行されますが、1回の入国に対して6カ月(場合によっては3カ月)までの滞在資格が与えられるのが通常です。B-1ビザは米国での長期滞在には適しておらず、少なくとも1年の半分以上は、米国外に滞在する必要があります。
 
また、ビザウェイバーが延長やステータスの変更ができないのに対して、B-1ビザの場合は、米国内においてそれらが可能です。例えば、L-1ビザを申請するのに十分な準備が完了した場合、米国内にてB-1からL-1のステータスに変更申請を行うことも可能です。
 
すなわち、B-1のステータスが切れるまでにL-1申請を行えば、B-1のステータスが切れた後も、日本に帰ることなく、アメリカに滞在しながら仕事を続けることができるわけです。
 
さらに、L-1ビザを取得したとしても、新設の会社(登記してから1年以内)の場合は、1年間しかL-1の有効期間が与えられない場合がほとんどですので、その後、日米間にて貿易を行っていることを証明することによって、E-1ビザ(5年間有効)への切り替えを考えるのも得策であると言えます。
 
(2008年6月16日号掲載)

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