投資によるアメリカのビザやグリーンカードの申請・取得

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投資家ビザ(E-2ビザ)で米国に移住する方法を教えてください

瀧 恵之 弁護士

Q:私は現在日本で暮らしていますが、子どもの教育のことも考え、アメリカで生活することを考えています。投資家ビザ(E-2ビザ)というのをよく耳にしますが、投資家ビザ取得にはどれ位の投資が必要ですか。

A:投資家ビザ(E-2ビザ)は、米国と通商条約が結ばれている国(日本は日米通商条約があるので、その一つです)の国籍を持つ人、あるいは法人(会社)が、米国内にある会社などの事業に投資することによって、その事業の所有者、管理職者、あるいは特殊技能者に対して発行されるビザです。E-2ビザを取得するには、スポンサーとなる会社の株式の50%以上を日本人、あるいは日本の会社が所有していること、およびその会社の資本金が日本から投資されている必要があります。ここでいう日本からの投資とは、個人の資産に限らず借用したものであっても構いませんが、実質的であり、リスクを負ったものであるということが規定されています。

事業に十分な投資額とリスクを負うことが条件

E-2ビザ取得の具体的な条件、申請方法について説明していきましょう。まず、当該投資が実質的であるかどうかに関しては、最低限の投資金額が具体的に何ドル必要であるといった明確な規定はなく、当該事業がその業種において十分な投資がなされているかが、その判断基準となります。例えば、米国内の既存のレストランを買収するような場合、20万ドルくらいの投資で条件を満たすと判断されるかもしれませんが、米国内で工場を設立して生産を行うような場合は、20万ドルでは十分とは判断されないでしょう。このような場合は、生産する製品の内容によって、生産に十分対応できる設備を建てるだけの資金投資があったかどうかが判断対象とされます。

一方、コンサルティングの会社を設立するのならば、少ない投資金額でも可能と言えます。ただし、この場合はコンサルティングを行うだけの技術を保持しているかどうかが問われます(例:米国内で既に多額の契約が成立しているなど)。また、リスクを負っているか否かに関しては、投資額が完全に米国内で使用されていることが要求されます。そのため申請に際しては、米国内で投資金を使用した時の請求書、領収書等を添付するのが一般的です。例えば、日本から送られてきた投資金が、米国内の会社に資本金として保管されているだけの場合、投資金額に含まれません。資本金を、ある程度米国内で使用した後、まだ使用していない分を投資金額に換算するには、事業計画書等を提出して、その後の使用計画を明確にする必要があります。

さらに、その会社がE-2ビザ申請の対象となるには、投資家とその家族が十分に生活できるだけの利益を計上するだけではなく、それ以上にその地域における雇用に貢献できるほどのものであることが要求されます。新規の会社であれば、この証明のために向こう5年間程度の事業計画書を提出するのが良いでしょう。E-2の取得者は、当該事業の投資家自身である、管理職である、あるいは当該事業に必要な特殊技能の保持者であることが要求されます。この判断に際しては、申請者の学歴、職歴が基準となる場合が一般的です。さらにE-2取得者が、特殊技能保持者の場合、将来的には米国内での雇用に貢献するため、米国内にて同様の特殊技能者を雇用することが前提となっています。その後その雇用者と交代させるか、あるいは、E-2ビザを保持している特殊技能者以外に、米国で同種の特殊技能者を数名以上雇用し、E-2ビザ保持者をその管理・監督者とすることが要求されます。またLビザ等と異なり、E-2ビザの取得者は、日本国籍の保持が必要です

米国内での移民局への申請、日本での申請が可能

E-2ビザの申請には、米国移民局に申請する方法と、直接日本の米国大使館、領事館に申請する方法があります。米国移民局に申請する場合は、米国内にてビザ・ウェーバーを除く、何らかの滞在資格を保持していることが要求されます。また米国移民局から認可が下りた後はE-2のステータスを得ることができ、それによって米国に滞在している間は、滞在・就労が可能になりますが、いったん米国外に出国すると、ビザ申請を日本の米国大使館、領事館にて行う必要があります。この場合は、H-1BビザやLビザと異なり、Eビザの条件を実際に満たしているかどうか再審査されます。一方、最初から日本の米国大使館、領事館に申請する場合は、認可の後、米国に入国するのと同時にE-2ステータスを取得できます。

あなたが設立しようとしている会社の形態、事業の性質が、前述の条件に合致するか否かを考慮した上で、E-2 ビザの申請を行なうことをお勧めします。

(2020年3月16日号掲載)

米国内での投資による永住権申請 その条件とは?

吉原 今日子 弁護士

Q:アメリカで事業を興すか、投資を通して永住権を申請しようと考えています。その方法について、詳しく教えてください

A:米国内で相当額の投資をする場合、「EB-5」というカテゴリーでの永住権申請が可能です。以下のいずれかの条件を満たした場合、EB-5での申請が可能です。
 
① 米国内で100万ドル以上投資し、2年以内に10人の米国人を雇用する
② 失業率が米国平均の150%を超える地域で50 万ドル以上投資し、2年以内に10人の米国人を雇用する
③ 移民局が指定した地域センター(Regional Center)内にある新事業、
または経営困難に陥っている事業に50 万ドル以上の投資を行い、間接的に雇用を創出する。その投資は“新会社” または、“経営困難となっている会社” に行わなければならない。
 
米国永住権を対象とするEB-5 Immigrant Investor カテゴリーは、1991年に米国での雇用を目的として制定されました。施行後、1993年には地域センター方式も導入され、問題なく推移しているように見えました。
 
しかし、移民局において過去に実績がない法律であったことから規定があいまいな部分が多く、混乱が続出したため、1998 年、このカテゴリ-は中断を余儀なくされました。
 
その後、移民局は4カ年の期間を費やし、法整備を行い、2002年に1998年以前の投資家ちを保護する法律が成立しました。そして、2003年8月から地域センターへの投資家に対する移民申請が再認可され、現在は混乱もなく順調に推移しています。
 
2008年9月で終了予定であったEB-5投資家永住権プログラムは、その後、月単位の延長を繰り返し、不安定な状況でしたが、ようやくオバマ大統領が延長法案に署名し、延長が定しました。毎年1万件の永住権がEB-5カテゴリーに割り充てられ、そのうち5000件が地域センターへの投資家に向けです。
 
投資対象事業は、それぞれのプロジェクトにより異なりますが、一般的なプロジェクトの共通性は、「投資対象事業が失業率の高い地域、あるいは移民局が定めた地域センター内に存在していること」「投資額が100万ドルではなく、50~60万ドルであること」「投資期間が長期に設定されていること」が挙げられます。最大の共通点は、各プログラムが永住権を取得する目的で作られていることです。

EB-5 で永住権の申請をする条件について

投資額が100 万ドル以上ある(Targeted Employment Areas の場合:50 万ドル以上)
この100万ドルは、申請から約2年以内に投資すればよく、申請時にすべて投資に使う必要はありません。そして、この投資は現金だけではなく、機械や在庫、その他の有形・無形資産も含まれます。なお、「Targeted Employment Area」とは経済発展のしていない地域で、The U.S. Census、 The Office of Management and Budget 、各州政府によって設定されます。
 
投資によって、10人の雇用を創出する
10人の雇用とは、米国人か永住権保持者を、常勤雇用をすることを指します。常勤雇用とは、最低週35 時間の就労です。ただ、投資するビジネスの状況により例外もあります。この雇用数には、申請者の第1親族は含まれません。
 
投資家が、投資したビジネスの経営に積極的に参加している
投資家は、日々の経営に直接積極的に参加しているか、管理職、もしくは役員として会社の方針をコントロールしている必要があります。しかし、移民投資家の資金を募ってもよいと認めた特定地域への投資の場合は、直接経営に参加する必要はありません。
 
投資に使った、もしくはこれから使う資金は、合法的に取得している
投資に使われる資金が、どのような経路で投資家の手に渡ったかが問われます。
 
投資後2~3年の間、一定の収益を上げている
投資が永住権取得のための見せかけではなく、収益を上げることを目的とした投資であることを証明します。
 
以上の条件を満たし、移民局の認可が下りると、条件付きの永住権が発給されます。そして、2年後にすべての条件を満たしていると判断されれば、正式な永住権に切り替わります。
 
投資額が妥当であるか否かの判断を下すには、ビジネスの種類、規模、十分な収益を上げる能力があるかどうかを、過去の例と照らし合わせる必要があります。投資によるビザ・永住権申請には、複雑な書類と手続きが要求されますので、移民法、投資ビザに詳しい弁護士に相談されることをオススメします。
 

投資によるビザ、もしくは グリーンカードの取得方法は?

吉原 今日子 弁護士

Q:日本で年商約3億円の会社を経営しています。アメリカに子会社を作り、進出したいと考えております。投資ビザの申請が適当かと思いますが、1億円ほどの投資で永住権が取れるという噂を聞きました。本当でしょうか? 投資ビザと投資による永住権申請について教えてください。

A:投資ビザ(Eビザ)は、アメリカと通商条約を結んでいる国の間で投資や貿易を行うために発行されるビザです。日本はこの条約国の一国です。
 
Eビザを取得するには、日本人、または日本国籍を持つ会社が、スポンサーとなる会社の株を50%以上保有していること、そして、日本とその会社が投資、貿易関係にあることが主な条件です。
 
それでは、Eビザの種類と取得に必要な条件を大まかに見てみましょう。

E-1(貿易)ビザ取得条件:

①当該企業の所有権の50%以上を、その条約国の国民が保有している
②ビザ申請者は、アメリカと通商条約を結んでいる国の国民である
③アメリカと通商条約を結んでいる国の国籍を持つ会社である
④条約国とアメリカの間で、貿易額が約150万ドル以上ある
⑤ビザ申請者は、管理職か役員もしくは専門知識、技能保持者である

E-2(投資家)ビザ取得条件:

①当該企業の所有権の50%以上を、その条約国の国民が保有している
②ビザ申請者は、アメリカと通商条約を結んでいる国の国民である
③ビジネスの種類を考慮した上で、投資額が妥当である
④投資が「Active」である(例:操業開始費用が投資から出ている)
 
あなたの場合、日本人で日本国籍の会社を経営し、日本にある会社の規模も十分です。ですから、投資額が妥当で貿易額も多い場合、E-1ビザ、E-2ビザのどちらのビザ申請も可能です。

投資による永住権申請は投資が本物である証明が必要

 

次に、「1億円ほどの投資で永住権が取得できるか」という質問です。これは、EB-5(第5優先カテゴリー)にて永住権を取得する方法のことだと思われます。
 
EB-5 による永住権取得の条件:

①投資額が通常1億円以上である(「Targeted Employment Areas」の場合5000 万円以上)
この1億円は、永住権申請時から約2年以内に投資されるべきものであり、申請時にすべて使う必要はありません。1億円という投資額には、現金だけでなく、機械や在庫、その他の有形、無形資産も含まれます。
なお、「Targeted Employment Areas」とは、経済発展途上地域のことで、The U.S. Census、The Office of Management and Budget、そして各州政府によって指定されます。
 
②投資により10人の雇用を創出する
アメリカ人か永住権保持者10人を、常勤雇用します。常勤雇用とは、最低週35時間の就労です。ただし、投資するビジネスの状況により、例外もあります。この雇用数に、申請者の第1親族は含まれません。
 
③投資家自身が投資ビジネスの経営に参加している
申請者自身が、直接日々の経営に積極的に参加するか、管理職、もしくは役員としての立場から会社の方針をコントロールする必要があります。
 
④投資に使った、もしくはこれから使う資金を、合法的に取得している
どのような経路を経て、投資に使った資金が投資家の手に渡ったかが問われます。
 
⑤投資後2~3年間、一定の収益を上げている
これは、投資が永住権取得のための見せかけではなく、実際に収益を上げることを目的とした本物の投資であることを証明するためです。
 
これらの条件を満たし、移民局の認可が下りると、条件付きの永住権が発給されます。そして、取得から2年後に、すべての条件を満たしていると移民局が判断すれば、正式な永住権に切り替わります。
 
ですから、あなたの場合、投資、貿易額の大小によってEビザを取得し、ある程度の収益を上げてから永住権の申請に入ることも可能ですし、最初から投資による永住権申請手続きを取ることもできます。
 
投資額が妥当であるか否かの判断を下すには、ビジネスの種類、ビジネスの規模、十分な収益を上げる生産能力があるかどうかを、過去の例と照らし合わせる必要があります。また、投資によるビザ、永住権申請には複雑な書類と手続きが要求されますので、移民法、投資ビザに詳しい弁護士にご相談されることをおすすめします。
 
(2010年4月16日号掲載)

投資による永住権取得の条件

吉原 今日子 弁護士

Q:アメリカで投資をすることによりグリーンカードが取れると聞きました。もし本当なら、どのような条件、準備が必要なのでしょうか。

A:投資によるグリーンカード取得は、EB-5(第5優先)と呼ばれるカテゴリーに属します。この方法でのグリーンカード取得には、大きく分けて5つの条件を満たさなければなりません。
 
1 少なくとも100万ドル(特定の地域においては50万ドル)を投資する
2 リターンを期待した投資でなければならない
3 投資金は、合法的に手に入れたものでなければならない
4 従業員を少なくとも10人以上、雇用しなければならない
5 新しく始めるビジネスは、新規の会社、または経営続行が難しいビジネスの引き継ぎでなければならない
 
50万ドルの投資が必要な特定の地域とは、産業がほとんど存在せず、失業率が高い地域です。アラバマ、アリゾナ、コネチカット、マサチューセッツ,ニュージャージー、プエルトリコ、テキサス、ノースカロライナ、ニューヨークの中に、この指定地域が存在します。これら以外では、100万ドルの投資が必要です。
 
投資は、現金である必要はありません。在庫品、機械などの有形資産でも構いません。また、抵当等、投資家の財産を元にしたローンで得たものでも構いません。しかし、投資家がアメリカで設立した会社に貸付をしたり、その会社を元にしたローンの額は、この投資額には含まれません。また、他人との共有財産も、100万ドルの投資に含むことはできません。
 
投資家は、行った投資がリターンを期待したものであることを証明しなければなりません。そのためには、投資金をアメリカにある会社のビジネスアカウントに入れ、会社のために使わなければなりません。また、日本での財産をアメリカの会社に譲渡する、日本からの送金でアメリカの会社の株を買うなども、アメリカでのビジネスに投資している証明になります。
 
また、投資家は、投資金が合法的に得られたものだと証明する必要があります。この中には、貯金、ギフト、相続、有形財産を元にしたローンなども含まれます。投資金の合法性を証明するためには、Tax Return、収入、財産、ローン等に関する書類の提出が必要です。ローンに関しては、何を元にローンを組んだのかなどの証明が必要です。ちなみに、共同財産、会社に貸し付けているローンなどは、合法性を証明するものとはみなされません。

非常に厳しい審査基準3分の2が申請却下

従業員を少なくとも10人以上雇用しなければならないという条件ですが、この10人の従業員は、米国市民、グリーンカード保持者、あるいはグリーンカード申請中で就労許可を保持している人に限られます。つまり、労働ビザ等で合法的に働ける従業員を雇ったとしても、この10人にはカウントされないということです。また、この10人は、常勤の従業員でなければなりません。ですから、少なくとも週に35時間は、投資家の会社で働かなければなりません。綿密なビジネスプランを作り、10人以上の従業員を雇える規模の会社であるという証明をしなければなりません。
 
新規で会社を始めるということに関しては、何を基準に新規と言うのか、特に決まった条件はありません。しかし、投資家が会社設立時から、その会社の経営に参加していたという証明が必要です。複数の投資家が共同で会社を立ち上げ、グリーンカードを申請する場合、前記の投資額、従業員数を各投資家が満たさなければなりません。
 
もし新規で始めるのでなければ、経営困難にあるビジネスを引き継ぐこともできます。経営困難にあるビジネスとは、過去2年間、会社の正味資産が少なくとも20%減っている会社です。投資家は、このビジネスを元の状態に立て直さなければなりません。この場合、投資家は10人の従業員を雇用する必要はありませんが、少なくとも会社の経営が傾く前に雇われていた従業員数を、雇用しなければなりません。
 
投資家としてグリーンカードを取得するには、厳しい条件を満たさなければなりません。第1段階の審査を通過すると、2年間の条件付きグリーンカードが与えられます。その後2年間、10人の従業員を雇い続けたことを証明すれば、この条件が解除されます。
 
EB-5の審査基準は非常に厳しく、申請者のうち認可されるのは、全体の約3分の1に過ぎません。従って、EB-5における申請を行う場合は、多額の投資というリスクを負う前に、それ以外の申請手段がまったくないのか、慎重に判断を行うことをおすすめします。
 
(2009年1月16日号掲載)

投資によるグリーンカード申請メリットとデメリット

瀧 恵之 弁護士

Q:私は日本に会社を持っており、今回、アメリカに支社を設立します。アメリカ支社立ち上げに際して1億円以上の投資を考えていますが、1億円以上の投資をアメリカで行うと、グリーンカードが取得できるという話を聞きました。私がこの計画でアメリカで事業を始めれば、グリーンカードは取得できるのでしょうか?

A:投資によるグリーンカード取得は、EB-5(第5優先)と言われるカテゴリーに属します。この方法でのグリーンカード取得には、100万ドル(指定の特定地域においては50万ドル)投資するだけでなく、従業員を10人以上、2年間にわたって雇い続ける必要があります。また、この10人の従業員は、米国市民、グリーンカード保持者、あるいはグリーンカード申請中で就労許可を保持している人に限られます。つまり、Hビザ等で合法的に働ける従業員を雇ったとしても、この10人にはカウントされないということです。
 
申請は、まず第1段階の審査を通過すると、2年間の条件付きグリーンカードが与えられ、その後、2年間、10人の従業員を雇い続けたことを証明して、条件解除の手続きを行います。ただし、このEB-5の審査基準は非常に厳しく、申請者のうち認可を受けられるのは、全体の約3分の1に過ぎません。従って、EB-5以外のカテゴリーでグリーンカードの申請が可能であるならば、他のカテゴリーにおいて申請する方が賢明であると言えます。
 
あなたの場合、日本に会社を持っているわけですから、EB-5ではなくEB-1(第1優先)での申請が考えられます。このEB-1とは、多国籍企業の重役等が申請可能で、EB-2(第2優先)やEB-3(第3優先)のカテゴリーにおいて必要な、労働局での審査を省くことができます。このEB-1のカテゴリーには、極めて高度な技術・能力・知識を保持する者、著名な教授、研究者なども含まれます。

EB-5の基準をクリアできればEB-1での申請が可能

EB-1のカテゴリーにおいては、以下のことを証明することによって、永住権の申請が可能です。
 
(1)日本(海外)にある会社と米国にある会社が親子関係にあること。これは、米国にある会社の50%以上の株式を日本(海外)にある会社が直接的に所有している場合です。また、米国の会社の50%以上の株主が日本(海外)の会社の50%以上の株式を所有している場合も、親子関係にあるとみなされます。
 
(2)駐在員として米国の会社で、部長、あるいは重役クラスの管理職に就いていること。移民局では、一般的にこれに関して、申請者の下に部下がいるということだけでは十分でなく、申請者の下に部下を持つ役職者がいることを要求しています。つまり、申請者を頂点として2段階のピラミッド型の管理体系があることが必要ということです。
 
(3)駐在員として、Lビザ、あるいはEビザにて米国に入国する前の過去3年間のうち、少なくとも、1年間以上、部長、あるいは重役クラスの管理職として、日本(海外)にある親会社(子会社、系列会社でも良い)において勤務していたこと。
 
(4)米国での役職が短期のものではなく、永久的なものであること。これには米国の会社が、日本(海外)の親会社から永住者を送らなければならないほどの規模であるとみなされなければなりません。それには相当額の売り上げと、相当数の従業員(例えば10名以上)の存在が要求されます。
 
従って、あなたの場合、Lビザ、あるいはEビザにてアメリカに入国し、その後、アメリカの会社が、あくまで目安ですが年商約150万ドル、従業員8人以上の規模になれば、EB-1のカテゴリーにおいてグリーンカードを申請することができます。
 
この場合ですと、投資金額の100万ドル以上という規定がないので、多額の投資を行う必要がありません。また、EB-5におけるような厳しい審査基準をクリアする必要がありません。言い換えると、もしEB-5をクリアできるだけの業績を2年間維持できるならば、容易にEB-1の審査基準を満たすことができるはずだということです。さらに、EB-5よりも時間的に早くグリーンカードが取得できるといったメリットもあります。
 
EB-5でのグリーンカード申請を考える場合には、このようにリスクの少ない他の方法があるかどうかを検討した上で、慎重な判断を行うことをおすすめします。
 
(2008年8月16日号掲載)

 

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