アメリカのグリーンカード(永住権)抽選~2023年(DV-2025)最新情報

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アメリカ・グリーンカード抽選の当選状況

2008年~2017年のグリーンカード当選者数・当選倍率の推移と日本人当選者数

(資料提供:瀧法律事務所/ライトハウス・ロサンゼルス版2017年9月16日号掲載)

2023年のグリーンカード抽選(DV-2025)の詳細や申し込み方法を教えてください。

瀧 恵之 弁護士

Q:2023年10月現在、アメリカのグリーンカード(永住権)の抽選が行われていると聞きましたが、私は、まだ応募に間に合いますか? 間に合うのであれば、応募方法や最近の傾向などを教えてください。

A:2025年会計年度(2024年10月~2025年9月)の抽選受付は、2023年10月4日(アメリカ東海岸時刻の正午12時)から開始されており、2023年11月7日(正午12時)まで行われますので、あなたの場合、このコラムを見ているのが、上記の締め切り前ならばまだ間に合うことになります。

この抽選の応募は、上記の会計年の間に5万5000の移民ビザが、アメリカへの移民が過去5年間において5万人に満たない国を対象として発行されることになります。もちろん日本は抽選の対象国となっています。移民局のウェブサイト(https://dvprogram.state.gov/)にアクセスし、応募することができます。代行業者などを使わない限り、申請料はかかりません。移民局を装ったウェブサイト、あるいは、Eメールが横行していますので、URLをよく確認することが重要です。

アメリカのグリーンカード(永住権)抽選の応募資格を満たしているか、応募用書類に不備がないかの確認を

応募資格は以下の通りです。
①出生国、応募資格を有する国籍
アメリカのグリーンカード抽選の応募対象となっている国の国籍を有している、あるいはその国にて出生していること。ただし、該当しない場合でも配偶者が対象国の国籍を有しているか、あるいはその国にて出生している場合は、その配偶者が申請者と共にアメリカに移民することを条件として配偶者の国籍を使って応募することができます。

②学歴・職歴
高校卒業、あるいはそれと同等の学歴があること。または、過去5年間において、2年以上のトレーニングを必要とする職種において2年以上の職歴があること。どの職種であれば資格があるかは、労働省のウェブサイト「O*NET Online」(https://www.onetonline.org/)にて調べることができます。このウェブサイトでSVP(Specific Vocational Preparation)Rangeが7以上(平均的な技能習得に2〜4年かかる)ならば、資格があることになります。

2023年のアメリカのグリーンカード抽選も1人1通の応募に限られ、2通以上の応募を行った場合には、その資格を失うことになります。申請の際には、名前、性別、出生地、応募資格適用国、パスポート番号、住所、メールアドレス、学歴などの一般的な情報に加え、写真の添付、また家族の情報も入力することになります。

ここで重要なのは、これらの情報を正確に記入していないと、せっかく当選したにもかかわらず、最後の面接の際、最初の入力漏れなどの理由により却下される可能性があるということです。特に、自分で入力するのではなく、代行業者などを使う場合には、正確に入力されているかどうか、情報に漏れが無いかを確認することが重要になります。

2023年のアメリカのグリーンカード(永住権)抽選に当選しても、実際の取得は優先順位次第

当選発表は、2024年5月4日以降、上記と同じ、https://dvprogram.state.gov/にアクセスし、確認番号を入力することにより知ることができます。当選した場合は、その当選番号により優先順位を知ることができます。この優先順位に沿って手続きが進められていくため、当選した場合であっても、必ずしもグリーンカードが取得できると決まったことにはなりません。グリーンカードの面接を含めた最終手続きが行われるのは、移民局の2025年会計年度(2024年10月~2025年9月)内で、従って、2025年9月いっぱいでグリーンカードを取得できない場合は、仮に当選したとしても、グリーンカードは取得できないことになってしまいます。

例えば2021年に応募して2022年に当選した場合(2023年会計年度:2022年10月~2023年9月までの枠)は、2023年6月の時点で、優先順位が1万8750番までの手続きが行われ、2023年7〜9月の間に2万1000番までの方々の手続きが行われるとされていましたが、2023年9月7日で、総発行数の5万5000件に達したため、この日で手続きが打ち切られました。

その前の2020年(2022年会計年度:2021年10月~2022年9月までの枠)は、2022年6月の時点で、全ての優先番号を持っている方々の手続きが行われることになり、この場合は、2022年9月いっぱいまでに手続きを完了した方々がグリーンカードを取得できたことになります。2023年会計年度は、コロナパンデミックの終息の影響もあり、当選者の中で、アメリカのグリーンカードの申請を行う人が急増したと言えます。

ちなみに、2022年度(2024年会計年度:2023年10月~ 2024年9月までの枠) にグリーンカードの抽選に応募して2023年に当選した場合は、先月の2023年10月からアメリカのグリーンカードが取得できる最終手続きが始まっていて、2023年11月時点では、2300番までの人がその対象とされています。

この内容は、2023年10月10日時点の情報です。その後、変化する可能性がありますので、最新の情報をもとに判断・行動していただくようお願いします。(2023年11月号掲載)

 

2022年のグリーンカード抽選(DV-2024)の詳細や申し込み方法を教えてください。

瀧 恵之 弁護士

Q:2022年もアメリカのグリーンカード(永住権)の抽選は行われますか? もし行われるのならば、応募方法などを教えてください。

A:2022年も、アメリカ移民局会計年度の2024年度(2023年10月~2024年9月までの枠)のアメリカのグリーンカード抽選受付が行われることが発表されました。受付期間は2022年10月5日のアメリカ東海岸時刻の正午12時から、11月8日の同正午12時の間です。この抽選で、アメリカ移民局会計年度の2024年度の間に合計5万5000の移民ビザが、アメリカへの移民が過去5年間において5万人に満たない国を対象に発行され、日本は抽選の対象国になっています。

DV Program公式ウェブサイトから、必要事項を記入してアメリカのグリーンカード抽選に申し込む

DV Programの公式ウェブサイト(https://dvprogram.state.gov/)にアクセスし、アメリカのグリーンカード抽選に応募することができます。代行業者などを使わない限り、申請料はかかりません。移民局を装ったウェブサイトやEメールが横行していますので、URLをよく確認することが重要です。

応募資格は以下の通りです。
①出生国、応募資格を有する国籍
アメリカのグリーンカード抽選の応募対象となっている国の国籍を有している、あるいはその国で出生していること。ただし、条件に該当しない場合でも配偶者が対象国の国籍を有しているか、その国で出生している場合は、その配偶者が申請者と共にアメリカに移住することを条件として、配偶者の国籍を使って応募することができます。

②学歴・職歴
高校卒業、あるいはそれと同等の学歴があること。または、過去5年間において、2年以上のトレーニングを必要とする職種において2年以上の職歴があること。どの職種であれば資格があるかは、https://www.onetonline.org/にて調べることができます。このウェブサイトでSVP(Specific Vocational Preparation)Rangeが7以上ならば、資格があることになります。

2022年のアメリカのグリーンカード抽選も一人1通の応募に限られ、2通以上の応募を行った場合にはその資格を失うことになります。申請の際には、名前、性別、出生地、応募資格適用国、パスポート番号、住所、メールアドレス、学歴などの一般的な情報に加え、写真の添付、また家族の情報も入力します。

ここで重要なのは、これらの情報を正確に記入していないと、せっかく当選したにもかかわらず、最後の面接の際、この記入時の入力漏れなどの理由により却下される可能性があるということです。特に、自分で入力するのではなく、代行業者などを使う場合には、正確に入力されているかどうか、情報に漏れが無いかを確認するのが重要になります。

グリーンカードの当選発表は、2023年5月6日以降、前述のhttps://dvprogram.state.gov/にアクセスし、確認番号を入力することにより知ることができます。

この内容は、2022年10月4日時点の情報です。その後、変化する可能性がありますので、最新の情報をもとに判断・行動していただくようお願いします。(2022年10月16日号掲載)

2021年のグリーンカード抽選(DV-2023)は実施されますか?

瀧 恵之 弁護士

Q:グリーンカードの抽選がなくなるかもしれないという話を聞いたのですが、2021年は抽選は行われますか?もし、実施されるならば、応募したいと思っています。

A:通常より遅れましたが、グリーンカードの抽選が行われることが発表されました。移民局会計年度の2023年度(2022年10月~2023年9月までの枠)の抽選受付が、2021年10月6日〜11月9日(東海岸時刻の正午12時)に行われます。この抽選では、5万5000の移民ビザが、米国への移民が過去5年間において5万人に満たない国を対象もとして発行されることになります(もちろん日本は抽選の対象国です)。
アメリカのグリーンカード抽選への応募は、https://dvprogram.state.gov/にアクセスして行います。代行業者などを使わない限り、申請料はかかりません。以前から、移民局を装ったウェブサイト、あるいはEメールが横行していますので、注意が必要です。

グリーンカードの応募資格を満たしているか、申請不備がないかよく確認を

応募資格は以下の通りとなります。
①出生国、応募資格を有する国であること
応募対象となっている国の国籍を有している、あるいはその国にて出生していること。ただし該当しない場合でも、配偶者が対象国の国籍を有している、あるいはその国にて出生している場合は、その配偶者が申請者と共にアメリカに移住することを条件として、配偶者の国籍を使って応募することができます。

②学歴・職歴を満たしていること
高校卒業、あるいはそれと同等の資格があること、または、過去5年間において、2年以上のトレーニングを必要とする職種で2年以上の経験があること。どの職種が該当するかは、https://www.onetonline.org/にて調べることができます。

2021年のグリーンカード抽選も、応募は1人1通に限られ、2通以上の応募を行った場合には、応募資格を失います。申請の際には、名前、性別、出生地、応募資格適用国、パスポート番号、住所、メールアドレス、学歴などの一般的な情報に加え、写真の添付、また家族の情報も入力することになります。ここで重要なのは、これらの情報を正確に記入していないと、せっかく当選したにもかかわらず、最後の面接の際、最初の入力漏れなどの理由により却下される可能性があるということです。

特に、自分で入力するのではなく、代行業者などを使う場合には、正確に入力されているかどうか、情報に漏れがないかを確認するのが重要です。当選発表は、2022年5月8日以降、前述のhttps://dvprogram.state.gov/にアクセスし、確認番号を入力することにより知ることができます。

抽選に当選後、実際にグリーンカードを取得できるか優先順位にかかっている

アメリカのグリーンカードに当選した場合は、その当選番号により優先順位を知ることができます。この優先順位に沿って手続きが進められていくため、当選したからと言っても、必ずしもグリーンカードが取得できることが決まったことにはなりません。あくまで大まかな目安ですが、優先順位が5000までの場合は、順番が回ってくる可能性がかなり高く、2023年の会計年度の前半、2022年のうちに面接を受けられる可能性が高いです。

10000を超えると会計年度の終わる2023年の9月末までに順番が回ってくるか否かが微妙になってきます。過去2年はコロナウイルスパンデミックのため、有利な優先順位で当選したにもかかわらず、面接を受けることができなかった応募者がかなりの数に上りました。今回の抽選プロセスも、コロナパンデミックの今後の動向に左右される可能性がないとは言えません。

当選者がその後の手続きを進める場合は、「Consular Process」と呼ばれる、日本のアメリカ大使館を通して行う方法と、「Adjustment of Status」と呼ばれる、アメリカの移民局を通して行う方法の2つに分かれます。後者の場合は、アメリカ国内に何らかのビザステータスにて滞在している必要があります。したがって、ESTAによる入国では認められません。どちらがいいかは、申請者の仕事を含めた都合があり、また今回のコロナパンデミックによる手続きの大幅な遅延など、予想できないような事態が起こり得る可能性もあるでしょう。

そのため、一概にどちらが良いということは言えませんが、一般的には日本のアメリカ大使館を通して行う方法の方が、通常ならば比較的処理が速いこと、また連絡が取りやすいことから、好ましい選択であると言えます。また、面接の際には、よほどの資産を持っているなどでない限り、アメリカ国内で就労先が決まっていた方が有利であると言えます。抽選に応募する際は、期間終了の直前になると、例年サイトへのアクセスが殺到し、入力が困難になる可能性がありますので、早めに応募手続きを終えるのが賢明と言えます。

※筆者からのコメント 今回の内容は、2021年10月7日時点の情報です。その後、変化する可能性がありますので、最新の情報をもとに判断・行動していただくようお願いします。(2021年10月16日号掲載)

2018年のグリーンカード抽選(DV-2020)救済措置の最新情報を教えて!

瀧 恵之 弁護士

Q:私は、2018年のグリーンカードの抽選に応募し、2019年に当選通知を受け取りました。当選番号上の優先順位も前の方なので、グリーンカードが取れるものだと期待していたのですが、2020年6月のトランプ前大統領の発表により、日本のアメリカ大使館での手続きが大幅に遅れ、最終的に2020年9月25日の面接通知を、その1週間前の9月18日に受け取りました。私はアメリカにいたため、すぐに日本に行ったとしても2週間の自宅待機期間があるため面接に行くことはできず、泣く泣く面接に行くのを断念しました。しかしながら最近、私のような場合でもまだチャンスがあると聞きました。どのような内容ですか?

A:2020年11月16日号のコラムで、あなたのようなケースでも、まだグリーンカードを取得できる可能性が大いにあることを記載しましたが、これが連邦裁判所の判断により現実化されることとなりました。

2020年は多くの移民ビザが発行されない異常事態だった

あなたが申請・当選した、抽選によるグリーンカード取得の手続きの枠は「DV-2020」と呼ばれ、2018年に応募を行い、2019年に当選者が発表された後、2019年10月から2020年9月の間に移民ビザが発行されるとされていました。しかし、2020年6月22日のトランプ前大統領の発表により、2020年末までの入国規制がかかったため、多くの当選者がグリーンカード取得の機会を失いました。これは、2020年の会計年度の終わりである9月末までに移民ビザを取得しなければ、その資格を失ってしまうからです。中には面接の通知は受け取ったものの、面接がキャンセルされ、そのまま現在に至るまで、移民ビザの発行を受けられていない人もいます。

トランプ前大統領の規制により各国の大使館は抽選によるグリーンカード申請手続きを長い間中断していました。その後、グリーンカード当選者のグループによる集団訴訟が行われ、その結果、2020年9月4日に連邦裁判所は、「各大使館は抽選による移民ビザの発行手続きを進めるべきである」との判断を下しました。集団訴訟とは、Class Actionと呼ばれ、ある案件で同じ利害関係を共有する複数の人々が、原告としてのグループを形成して起こす訴訟のことで、その判決の効果はその複数の人々全てに及びます。あなたの9月25日の面接の通知が9月18日というぎりぎりに届いたのは、この集団訴訟の影響を受けたためです。

ここでの連邦裁判所の判断では、9月末日までという期日指定があったため、問題を生じさせました。例えばあなたのように、アメリカにいたために、日本に行ったとしても2週間の自宅待機を余儀なくさせられ、大使館の面接に行けない、面接の際に必要な健康診断を受けられない、面接に必要な書類の準備が間に合わないなどです。9月末日までの期日指定のため、日本のアメリカ大使館も、2020年9月後半の時点でアメリカに滞在してた人たちの救済を行うことができませんでした。これにより、5万5000の枠のうち約4万の移民ビザが発行されないままという結果になりました。

集団訴訟を受けて移民ビザの追加発行が決定

昨年、この問題に関して新たな集団訴訟が起こり、これに対して連邦裁判所は以下の内容を示唆しました。①移民ビザの発行を会計年度の終わりである9月を越えても行うべきである(これは、歴史的に鑑みて初めての判断です)。②トランプ大統領の発表における「212(f)」はあくまでアメリカへの入国を禁止するものであって、移民ビザの発行自体を禁止するものではない、との解釈を行いました。

この後、長い時間が経過しましたが、2021年8月17日、連邦裁判所は国務省が移民ビザを発行しなかったことは法的に妥当でないとの判断の下、バイデン政府に対し、9095枠の移民ビザを発行する指示(命令)を出しました。これにより、当該会計年度(2020年)の抽選に当選していながら移民ビザの受け取ることを逃した人たちにも、大きなチャンスが巡ってくることになりました。

あなたの場合、日本のアメリカ大使館からの面接通知を待つことになります。そこで、面接の通知が来たのに対応が遅れ貴重な機会を逃すということのないよう、日本への渡航の予定、健康診断、必要書類をそろえる手順を前もって準備しておくことが重要です。また、移民ビザが取得できることが決まったわけではないので、グリーンカードが取れること(期待を含む)を前提に今後の予定を組むのではなく、他の方法でグリーンカードを申請することも想定しておくのが得策です。

※筆者からのコメント 今回の掲載内容は2021年8月23日現在のもので、今後大きく変化する可能性が十分にあります。本件に該当される方は担当の移民弁護士等によく相談されることをお勧めします。(2021年9月16日号掲載)

グリーンカード抽選(DV-2020)に当選しましたが面接を受けられませんでした

瀧 恵之 弁護士

Q:私は、2018年にグリーンカードの抽選に応募し、2019年に当選発表を受け取りました。当選番号上の優先順位も前の方なので、グリーンカードが取れるものだと意気揚々としていたのですが、2020年6月のトランプ大統領の発表のため、日本のアメリカ大使館での手続きが遅れに遅れ、最終的に9月25日に面接との通知を、その1週間前の9月18日に受け取りました。私はアメリカにいたため、すぐに日本に行ったとしても2週間の自宅待機期間があり、面接に行くことができず、泣く泣く断念しました。とてもやるせない気持ちでいっぱいなのですが、私は諦めるしかないのでしょうか?

A:あなたにはまだ、グリーンカードを取得できる可能性は大いにあると言えます。2020年10月19日現在で、まだ確定ではありませんが、このコラムの掲載される頃には確定している可能性もあります。以下、これに関して説明します。

集団訴訟により、移民ビザの手続きを進める方向に!?

あなたが申請している抽選によるグリーンカード取得の手続きの枠は、「DV-2020」と呼ばれ、2018年に応募を行い、2019年に当選者が発表された後、2019年10月〜2020年9月の間に移民ビザが発行されるとされていました。ただ、2020年6月22日のトランプ大統領の発表により、今年いっぱいの規制がかかったため、多くの当選者がグリーンカード取得の機会を失いました。これは、2020年会計年度の終わりである9月末までに移民ビザを取得しなければ、その資格を失ってしまうからです。中には面接の通知は受け取ったものの、その面接がキャンセルされ、そのまま現在に至るまで移民ビザの発行を受けられていない人もいます。

トランプ大統領の規制により各国の大使館は抽選によるグリーンカード申請手続きを長い間中断していました。しかしその後、グリーンカード当選者のグループによる集団訴訟が行われ、その結果、2020年9月4日に連邦裁判所は、抽選による移民ビザの発行手続きを各大使館は進めるべきであるとの判断を下しました。集団訴訟は英語ではClass Actionと呼ばれ、ある案件で同じ利害関係を共有する複数の人々が、原告としてのグループを形成して起こす訴訟のことを言い、その判決の効果はその複数の人々全てに及びます。

あなたの9月25日の面接の通知が9月18日とぎりぎりに届いたのは、この集団訴訟の影響を受けたためです。しかしながら、ここでの連邦裁判所の判断では、9月末日までという期日指定があり、問題を生じさせました。例えば、あなたのようにアメリカにいるために、日本に行ったとしても2週間の自宅待機を余儀なくさせられ、大使館の面接に行けない、面接の際に必要な健康診断を受けられない、面接に必要な書類の準備が間に合わない、などです。これらの理由により、5万5000の枠のうちの約4万の移民ビザが発行されないままという結果に至りました。

そこで、この問題に関して新たな集団訴訟が起こり、これに対して連邦裁判所は、以下の内容を示唆しました。
①移民ビザの発行を会計年度の終わりの9月を過ぎても行うべきである。これは、抽選による移民ビザは、その該当する会計年度(本件では2019年10月〜2020年9月末日)内に発行しないといけない、というそもそもの規定を覆すもので、過去に例のない初めての判断になります。
②トランプ大統領の発表における 「212(f)」はあくまでアメリカへの入国を禁止するものであって、移民ビザの発行自体を禁止するものではない、という解釈を行いました。これは、移民ビザの発行を受けた後、アメリカに入国するのは、大統領令の効果が解ける来年になるものの、移民ビザの発行はすべきであるということになります。これにより、9000以上の移民ビザが今後発行される可能性が出てきました。

さまざまな事態を想定して申請準備を進めておく

あなたの場合、ここで重要なのは、複数のケースを想定して行動することです。まず、グリーンカードを取得できることが確定したわけではないので、グリーンカードが取れることを前提に今後の予定(期待を含む)を組まないこと。仮に面接を受けることができたとしても、条件がそろわず取得できない可能性もあります。

言うまでもなく、グリーンカードを取得できる方法は、抽選を通してのみではありません。例えば、もし現在何らかのビザを保持していて、アメリカで就労しているのならば、現在の会社を通してグリーンカードの申請を行うことも可能で、この申請を抽選の申請手続きと並行して行うこともできます。一方で、面接の通知が来ても対応が遅れることにより、せっかくの貴重な機会を逃さないよう、日本への渡航の予定を立てたり健康診断を受けたり、書類をそろえたりなどの準備をしておくことも重要です。

※筆者からのコメント 今回の情報は2020年10月26日現在のもので、今後大きく変化する可能性が十分にあります。条件に該当される方は、担当弁護士などによく相談されることをお勧めします。あらかじめご了承ください。(2020年11月16日号掲載)

2020年のグリーンカード抽選(DV-2022)は実施されますか?

瀧 恵之 弁護士

Q:2020年からトランプ大統領が、グリーンカードの抽選をやめてしまったという話を聞いたのですが、どのような状況にありますか? もし、チャンスがあるのならば、応募したいと思っています。

A:トランプ大統領の2020年6月22日の大統領令の影響により、国務省からのグリーンカードの抽選の施行の発表は遅れましたが、2020年も10月7日〜11月10日(東海岸時刻の深夜12時)の間、受け付けられることになりました。この抽選では、2021年10月〜22年9月の間に5万5000の移民ビザが、米国への移民が過去5年間において5万人に満たない国を対象として発行されることになります。もちろん、日本は抽選の対象国となっており、日本国籍を持つ人、または日本で出生した人は応募が可能です。

アメリカのグリーンカード抽選応募の基本的な手順

アメリカのグリーンカード抽選はウェブサイト(https://dvprogram.state.gov/)にアクセスし、応募することができます。代行業者等を使わない限り、申請料はかかりません。最近、移民局を装ったウェブサイト、あるいはEメールが横行していますので、注意が必要です。応募資格は以下の通りです。

①出生国、応募資格を有する国
応募対象となっている国の国籍を有している、あるいはその国にて出生していること。ただし、該当しない場合でも、配偶者が対象国の国籍を有しているか、あるいはその国にて出生している場合は、その配偶者が申請者と共にアメリカに移住することを条件として、配偶者の国籍を使って応募することができます。

②学歴・職歴
高校卒業、あるいはそれと同等の資格があること。または、過去5年間において2年以上のトレーニングを必要とする職種において2年以上の経験があること。どの職種に資格があるかは、O*Net Online(https://www.onetonline.org/)にて調べることができます。

今年も例年と同様、一人1通の応募に限られ、2通以上の応募を行った場合には、その資格を失います。申請の際には、名前、性別、出生地、応募資格適用国、パスポート番号、住所、メールアドレス、学歴等の一般的な情報に加え、写真の添付、また家族の情報も入力が必要となります。ここで重要なのは、これらの情報を正確に記入していないと、せっかく当選したとしても、最後の面接の際、最初の入力漏れなどの理由により却下される可能性があるということです。特に、自分で入力するのではなく、代行業者等を使う場合には、正確に入力されているかどうか、情報に漏れがないかを確認するのが重要です。

グリーンカードの当選発表は、2021年5月8日以降、応募の時と同じ、https://dvprogram.state.gov/にアクセスし、確認番号を入力することにより確認することができます。

抽選に当選した後の流れと、グリーンカードの申請手続きの進め方

当選した場合は、その当選番号により優先順位を知ることができます。この優先順位に沿って手続きが進められていくため、当選したからといって必ずしもグリーンカードが取得できることが決まったことにはなりません。あくまで大まかな目安ですが、優先順位が「5000」までの場合は、かなりの可能性で順番が回ってくることになり、2022年の会計年度が終わる前の2022年の前半に面接になる可能性が高く、「10000」を超えると会計年度の終わる2022年の9月末までに順番が回ってくるか否かが微妙になります。もちろん、後者の場合でも過去の例を見ると順番が回ってきている年度の方がどちらかと言えば多いので、諦める必要はありません。

当選者がその後の手続きを進める場合は、日本のアメリカ大使館を通して行う方法(「Consular Process」と呼ばれる)とアメリカの移民局を通して行う方法(「Adjustment of Status」と呼ばれる)の2つに分かれます。後者の場合は、アメリカ国内に何らかのビザステータスにて滞在している必要があります(従ってESTAによる入国では不可)。もちろん、申請者の仕事を含めた都合があり、また今回のコロナパンデミックによる手続きの大幅な遅延など、予想できないような事態が起こり得る可能性もあるため、一概にどちらが良いかということは言えませんが、一般的には日本のアメリカ大使館を通して行う方法の方が、比較的処理が速いこと、また連絡が取りやすいことから好ましい選択であると言えます。また、面接の際には、よほどの資産を持っているといったケースでない限り、アメリカ国内において仕事先が決まっていた方が有利になります。

期間終了の直前になると、サイトへのアクセスが殺到し、入力が困難になる可能性があります。抽選に応募する場合は、早めに応募手続きを終えるのが賢明と言えるかもしれません。(2020年11月1日号掲載)

2016年のグリーンカード抽選(DV-2018)、申し込み方法と注意事項

吉原 今日子 弁護士

Q:2016年もアメリカ・グリーンカードの抽選があると聞きました。申し込み方法や注意事項を教えてください。

A:「移民多様化ビザ抽選プログラム」により、アメリカへの移住者が過去5年間で5万人に満たない国を対象に(日本は抽選対象国)、5万のグリーンカードが発行されます。今年の応募期間は2016年10月4日~11月7日で、この期間内に申請をする必要があります。応募受付は全てWebサイト(www.dvlottery.state.gov)上で行われ、郵送による応募は受け付けていません。弁護士、代理業者を使わない限り申請料はかかりません。今年も1人1通の応募に限られ、2通以上応募した場合には当選資格を失います。応募時は応募者およびその配偶者と21歳以下の子どもの写真(最近撮ったもの)を、それぞれWebサイトを通して提出します。必要事項に漏れがあると当選資格を失うので、注意しましょう。
21歳以下の子どもの定義ですが、養子や継子のほか、同居していない子どもも含みます。また、配偶者の情報は、法的に離婚していない限り別居していても明記する必要があります。ちなみに、「Child Status Protection Act」により、抽選応募時に子どもが21歳以下であれば、当選時に21歳以上でも親と一緒に永住権を取得できます。

抽選プログラムへの応募資格

◆出生国
応募対象となっている国の国籍を有しているか、その国で出生していること。ただし、該当しない場合でも配偶者が対象国の国籍を有しているか、その国で出生している場合、配偶者の国籍で応募可能です。また、対象国外で出生した場合も、両親のどちらかが対象国で出生しているか、両親が対象国外に一時的に滞在していた期間にあなたが生まれたという場合は、両親の国籍を主張できます。
 
◆学歴、職歴
高校卒業か、それと同等の資格が必要です。あるいは、過去5年間に2年以上の経験、または訓練を必要とする職種において、2年以上の経験が必要です。この職種のリストはWebサイト上で確認することができます。

抽選プログラムへの応募にあたって用意するもの

◆写真
半年以内に撮影された、正面を向き、顔が写真の50~69%を占める写真が必要。サングラスなどの顔を隠す装飾品を付けてはなりません。また、宗教的な理由以外、帽子をかぶっての写真も受け付けられません。背景は、白、またはニュートラルカラー。デジタルデータか、紙焼き写真をスキャンしたものを提出します。デジタルデータはJPEGフォーマットで保存。サイズは最大で240KBまで。解像度は縦600×横600ピクセルで、色深度は24ビット。スキャンする場合、スキャナーの解像度が300dpiは必要です。Webサイトで写真が有効かどうか調べられるので、応募前に必ず確認してください。
 
◆応募に必要な情報
①Full Name(氏名)
②Gender(性別)
③Date of Birth(生年月日)
④City/Town of Birth(出生地)
⑤Country of Birth(出生国)
⑥Country of Eligibility(対象国)
※国籍が出生国と違う場合。例えば、日本国籍(対象国)であるが、中国(対象外の国)で生まれた場合や、配偶者の国籍で応募する場合、その事情について明記。
⑦Photograph(写真)
⑧Address(住所)
⑨Country where you live today(現住所)
⑩Phone Number(電話番号)
⑪E-mail
※当選結果は届かないが、Webサイト上での当落確認が可能に。
⑫What is the highest level of education(最終学歴)
⑬Marital Status(未婚、既婚、離婚、死別、法的別居)
⑭Number of children that are unmarried and under 21(21歳以下の未婚の子どもの人数)
⑮Spouse Information(配偶者の情報)
⑯Children Information(子どもの情報)
 
当選者はコンピューターで無作為に選ばれ、2017年の5月からWebサイトで当落ステータスを確認できます(確認番号、個人情報を入れて確認)。この「Entrant Status Check」が、当落を知る唯一の方法です。「移民多様化ビザ抽選プログラム」の応募者に対し、Eメールや電話でさまざまな当選通知が送られてくることがあります。しかし、このようなEメールや電話は、大使館や国務省あるいはその他米国政府機関とはいっさい関係ありません。また、これまでこのプログラムに応募するための費用が要求されたことはありません。ですから、こういった連絡や情報などに惑わされないよう、十分に気を付けてください。
 
(2016年10月16日号掲載)

2015年のグリーンカード抽選(DV-2017)について詳しく教えてください

吉原 今日子 弁護士

Q:2015年もアメリカ・グリーンカード(永住権)の抽選があると聞きました。申し込み方法を教えてください。

A:アメリカへの移住者が過去5年間において5万人に満たない国を対象として(日本は抽選対象国)、5万件のグリーンカード(永住権)が発行されます。今年の応募期間は2015年10月1日~11月3日です。抽選への応募は全て申し込み専用のウェブサイト(www.dvlottery.state.gov)上で行われる必要があり、郵送による受付はありません。弁護士、代理業者を使わない限り、申請料はかかりません。今年も1人1通の応募に限られ、2通以上応募した場合には資格を失います。グリーンカードの応募者およびその配偶者と21歳以下の子どもの写真(最近撮ったもの)も提出します。必要事項に漏れがあった場合は、グリーンカードの当選資格を失いますので、ご注意ください。
  
グリーンカード(永住権)申請後、当選者はコンピューターで無作為に選ばれ、2016年の5月3日から「Entrant Status Check」というウェブサイト上で確認番号、個人情報を入力することで、自分のケースのステータスが確認できます。この移民多様化ビザ抽選プログラム(抽選によるグリーンカード)の応募者に対し、Eメールや電話でさまざまな当選通知が送られてくることがありますが、これらは、大使館や国務省、その他米国政府機関とは関係がなく、悪意を持った業者である可能性が高いです。あくまでも「Entrant Status Check」が結果を知る唯一の方法です。これまでDVプログラムの応募費用が要求されたことなどはないので、この手の情報に惑わされないよう十分に気を付けてください。
 
(2015年10月16日号掲載)

アメリカの永住権抽選プログラム(DV-2016)の応募要項

吉原 今日子 弁護士

Q:現在、アメリカに学生として滞在しています。今年も永住権の抽選があると聞き、応募しようと思っています。詳細を教えてください

A:アメリカへの移住者が過去5年間において5万人に満たない国を対象に、5万5000の永住権が発給されます(日本は抽選対象国)。
 
応募期間は2014年10月1日から11月3日までの30日間で、必ずこの期間内に申請をする必要があります。申請は全てインターネット(※申し込みサイト:www.dvlottery.state.gov)で行い、郵送による受け付けはありません。申請料は、弁護士、代理業者を使わない限りかかりません。
 
今年も、1人1通の応募に限られ、2通以上応募した場合には資格を失います。提出物は、応募者、およびその配偶者と21歳以下の子供の写真(最近撮ったもの)です。必要事項に漏れがあった場合は、当選資格を失いますので、注意が必要です。
 
21 歳以下の子どもは、養子や継子、同居していない場合も含みます。また、配偶者の情報は法的に離婚していない限り、明記する必要がありますので、別居している場合でも明記します。また、Child Status Protection Actにより、抽選の登録時に子どもが21歳以下であれば、当選時に21歳を超えていても両親と一緒に永住権を取得できます。
 
申請後、当選はコンピューターで無作為に選ばれます。2015年の5月5日以降にウェブサイトで、確認番号、個人情報を入れると自分のケースの状況を確認できます。これが、当落を知る唯一の方法です。
 
「移民多様化ビザ抽選プログラム(DV-2016)」の応募者に対し、Eメールや電話でさまざまな当選通知が送られてくることがありますが、このような連絡は、大使館や国務省あるいはそのほか米国政府機関とは関係がありませんし、これまでDVプログラムに応募するための費用が要求されたことはありません。ですから、Eメールや電話などでの間違った情報に惑わされないよう十分に気を付けてください。
 
(2014年10月16日号掲載)









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