アーティストなど特殊技能保持者に与えられるOビザ

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アメリカのOビザとは

科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツ、テレビ、映画などの分野で「卓越した能力を有する」「卓越した業績を残した」者(アーティストなど)に発給されるビザ。

  • 有効期間:不定だが、初回は最長で3年。
  • 更新の可否:可(1年ずつ)。延長認可は活動内容における滞在延長の必要性がある場合のみ。
  • 取得にかかる時間:準備も含めて準備も含めて60~90日(プレミア申請を含む)
  • 費用概算(弁護士費用含む):$5000前後~
  • 配偶者の扱い:「O-3」
  • 配偶者の労働可否:不可

 

秀でた才能に与えられるビザ

著名なアーティストやスポーツ選手などに与えられる「Oビザ」は、対象によって、「O-1A」と「O-1B」に分かれています(O-1ビザが取れないスポーツ選手やグループアーティストは「P1」ビザを利用します)。

「O-1A」

科学者、教育者、ビジネスパーソン、スポーツ選手などが対象です。ノーベル賞のような権威のある国際的な賞の受賞経験などがない限り、関連分野で次のうち少なくとも3つを満たす必要があります。
① 国内外で認知された賞の受賞経験がある。
② 優れた業績などが入会条件の団体の会員である。
③ 専門誌や知名度の高い出版物、メディアで取り上げられたことがある。
④ 当該分野で審査委員を務めたことがある。
⑤ 当該分野で大きな功績を残したことがある。
⑥ 専門誌や学術誌、知名度の高いメディアに出稿したことがある。
⑦ 極めて知名度が高い団体で重要な役職に就いている(また就いていた)。
⑧ 能力・業績に匹敵するような高い収入を得ている。

「O-1B」

芸術分野で「卓越した能力を有する者」、または映画・テレビの分野で「卓越した業績を残した者」が対象です。この取得には、アカデミー賞やグラミー賞、エミー賞などの権威のある賞の受賞かノミネートの経験がなり限りは、次のうち少なくとも3つを満たさなければなりません。
① 公に高評価を受けた作品で主役、準主役的な役割を果たした(果たす予定がある)。
② 新聞や専門雑誌などで大々的に取り上げられた。
③ 著名な団体で主要な役割を担った。
④ 大きな業績を上げた。
⑤ 著名な団体、評論家、政府機関、専門家から高評価を得た。
⑥ 能力・業績に匹敵するような高い収入を得ている。

「Oビザ」取得の注意点

「Oビザ」は個人申請ができないため、スポンサーとなる興行主の会社や団体が必要となります。「O-1」に付随するスタッフは「O-2」となりますが、「O-2」の認可にはその支援が「O-1」にとって不可欠であることが前提となります。
 
移民申請の前に、在米の関連職業組合などから勧告的意見をもらう必要があります(このプロセスに1~2週間かかります)。さらに証拠書類等の準備期間、請願書承認の待ち時間(プレミアム申請で15日間)、移民局の請願書承認後に米国大使館でビザを取得し渡米するまでの時間も考慮する必要があるため、早めに弁護士に相談してください。
 
「O-1」取得後、要件が似通っている「EB-1」カテゴリーでの永住権申請を考えてもいいでしょう。
 
(取材協力・監修:関谷直樹弁護士/ライトハウス・ロサンゼルス版2017年9月16日号掲載)


 

※以下、過去にライトハウス・ロサンゼルス版のコラム「移民法Q&A」に掲載された関連記事をご紹介します。

O-1(特殊技能)ビザの取得方法と労働条件

吉原 今日子 弁護士

Q:日本で音楽プロデューサーをしています。今、アメリカにある2つの会社から、仕事の依頼を請けています。私は、O-1(特殊技能)ビザを取得することはできますか。そして、この2つの会社の両方で働くことはできますか?

A:O-1ビザは、高度の特殊技能者に与えられるビザです。通常、3年間有効で、その後業務が続く限り、1年ごとの延長が可能です。
 
Oビザはいくつかのカテゴリーに分かれ、それぞれに審査基準が異なります。
 
1つ目のカテゴリーは、科学者、教育者、ビジネスパーソン、およびスポーツ選手です。これは、O-1ビザの中で最も厳格な審査が行われるカテゴリーと言われています。審査をパスするには、以下の8つの条件のうち、少なくとも3つを満たす必要があります。
 
① 国際的に認められている賞を受賞したことがある
② 入会するのに厳しい条件が課されている会の会員である
③ 知名度のある出版物、あるいはメディアにおいて、取り上げられたことがある
④ 当該分野において、競技などの審査を担当したことがある
⑤ 当該分野において、大きな功績を残したことがある
⑥ 専門雑誌、あるいは知名度のあるメディアにおいて、記事を出したことがある
⑦ 知名度の極めて高い団体で仕事を行っているか、行った経験がある
⑧ 収入が著しく高い
 
2つ目のカテゴリーは、芸術家、および、芸能人(ただし映画、テレビ関係は除く)のカテゴリーで、1つ目のカテゴリーよりも審査基準は低いとされています。このカテゴリーの審査をパスするには、以下の5つの条件のうち、少なくとも3つを満たす必要があります。
 
① 公の場において高い評価を受けた作品で、主となる役割を果たした。あるいは果たす予定である
② 新聞、専門雑誌等において、大々的に取り上げられた。あるいは、高い評価を得た
③ メディア等に取り上げられた著名な団体で、主となる役割を担った
④ 多大な業績を挙げた記録がある
⑤ 著名な団体、評論家、政府機関、エキスパートから高い評価を受けた
 
そして3つ目のカテゴリーは、映画、テレビ関係のタレント、および制作関係者のカテゴリーです。これには、前記の2つのカテゴリーのような具体的な条件の列挙がなく、「通常以上の、極めて高い評価を受けていること」と明記されているだけです。従って、このカテゴリーにおける審査は、ほかのカテゴリーに比べて広汎であると言えます。

知名度の証明がOビザ取得のポイント

あなたの場合は、前記の2つ目のカテゴリーに属します。これらの条件を満たすためには、ビザ申請者が申請にふさわしい能力を持っていることを証明するさまざまな証拠を提出しなければなりません。日本において(できればアメリカやその他の国でも)残した業績を示す物を、前記の2つ目のカテゴリーのリストに従って集めてください。具体的には、あなたが関わってリリースされたアーティストのCD、プロモーションビデオ、または週刊誌やニュース、テレビに出演したことがあれば、その切抜きやビデオクリップなどになります。あなたの業績を取り上げた新聞や専門雑誌の記事を集め、さらに著名人からの推薦状を取る必要があります。そのほかに、賞などを受けていれば、それを証明する書類を準備する必要があります。0-1ビザ申請では、移民局に提出する前に、Evaluation Company(あるいは移民局に認可された協会)で審査を受け、これにパスする必要があります。この時点で、スポンサーとなる会社(団体)との間で、仕事内容、期間を含めた契約書が必要になります。
 
この審査に通り、Evaluatorからの認可を受けていれば、移民局の審査では少なくとも著名度については認められる可能性が高いということになります。後はスポンサーとなる会社(団体)が適度な規模があり、その会社との間に妥当な雇用契約があれば、ほとんどの場合、O-1ビザは取れます。Oビザを取る上で一番重要なのは、どれだけ知名度を証明することができるかです。
 
なお、あなたのように2つの会社から別々の仕事の依頼を請けている場合、それぞれの会社からの仕事に対して、別々のOビザの認可を移民局から取らなければ、同時期に働くことはできません。

Oビザの取得について、2021年の現状と対策を教えてください!

瀧 恵之 弁護士

Q:私はテレビ番組制作のプロデューサーとして、日本の会社で仕事をしています。コロナパンデミックが終息に向かっている状況に伴い、アメリカでの仕事のオファーを受け、「O-1」ビザの申請を考えています。パンデミック以降、Oビザの審査が非常に厳しいと聞いたのですが、何か良い方法はありますか? できれば、一緒に仕事をしている私のアシスタントも一緒に連れていきたいと考えています。

A:「O-1」ビザは高度の特殊技能者に与えられるビザです。3つのカテゴリーに分けられ、それぞれのカテゴリーによって審査基準が異なります。

Oビザの3つのカテゴリーでの審査基準の違い

 

1つ目のカテゴリーは、科学者、教育者、ビジネスマンおよびスポーツ選手で、「O-1」ビザの中で最も審査が厳格とされています。審査をパスするには、以下の8つの条件のうち、少なくとも3つを満たしている必要があります。
①国際的に認められている賞を受賞したことがある。
②入会するにあたり、厳しい条件を課されている会の会員である。
③知名度のある出版物あるいはメディアで取り上げられたことがある。
④当該分野において、競技などの審査を担当したことがある。
⑤当該分野において大きな功績を残したことがある。
⑥専門雑誌、あるいは知名度のあるメディアで記事を出したことがある。
⑦知名度の極めて高い団体において仕事を行っている、あるいは行った経験がある。
⑧収入が著しく高い。

次に、2つ目のカテゴリーは、芸術家、および芸能人(ただし映画・テレビ関係は除く)のカテゴリーで、これは前者のカテゴリーよりも審査基準は低いとされており、審査をパスするには、以下の5つの条件のうち、少なくとも3つを満たしている必要があります。
①公の場で高い評価を受けた作品において、主な役割を果たした、あるいは果たす予定である。
②新聞、専門雑誌等において大々的に取り上げられた、あるいは高い評価を得た。
③メディア等で著名な団体において主な役割を担った。
④多大な業績を上げた記録がある。
⑤著名な団体、評論家、政府機関、エキスパートより高い評価を受けた。

3つ目は、映画、あるいはテレビ関係のタレントおよび製作関係者のカテゴリーです。このカテゴリーでは、上記の2つのカテゴリーのような具体的な条件の列挙はなく、通常以上の極めて高い評価を受けていることとされているのみです。従って、このカテゴリーにおける審査は第1・第2のカテゴリーに比べて、広汎なものと言えます。

 

活動内容とコロナ対策を示せることが重要となる

あなたのケースは、上記のうち3つ目のカテゴリーに属します。従って、他のカテゴリーのような厳格な基準があるわけではないので、あなたが今までに行ってきた業績、あなたの著名度を示す書類をできる限り多く集められることが重要です。特に、今まで雑誌や専門誌などで取材を受けたことがある、賞を受けたことがある、また給与が著しく高いなどの証拠書類を可能な限り準備するのが得策です。

「O-1」ビザの申請は、アメリカの移民局での認可を受けた後、日本のアメリカ大使館・領事館にて面接をパスすればビザが発行されます。パンデミック以降、移民局の認可を受けた後でも、日本のアメリカ大使館・領事館での面接がスムーズにいかないケースがあります。ここで重要なのは、あなたのアメリカでの活動内容、その活動に値するあなたのキャリア、および当該の活動を行うにあたって、コロナ禍における十分な対策を講じているかを明確に説明できること、可能であればその補足資料がそろっていることです。特に、あなたのアメリカ国内においての活動スケジュールがコロナ禍において実行可能であること、また、コロナ対策が必要な場合、その対策について示す資料を準備していくのも得策です。

次に、アシスタントを同行させるには、「O-2」ビザが適していると考えます。「O-2」ビザを取得するには、以下の条件を備えている必要があります。
①「O-1」ビザを取得する者のアシストを行うことのみを目的として米国に入国すること。
②上記の仕事内容は、「O-2」ビザ申請者と「O-1」ビザ保持者との長期にわたる仕事上の関係ゆえに、申請者が「O-1」ビザ保持者のアシストを行うことが不可欠であること。
③「O-2」ビザ申請者が当該の仕事に米国入国前の準備段階から携わっており、「O-2」ビザ申請者が継続してそれに従事することが重要であること。

あなたの場合は、あなたのアシスタントがあなたと長期にわたり、一緒に仕事を行ってきたことを証明する書類を提出することが重要になります。「O-2ビザは「O-1」ビザ保持者の滞在期間と同じ期間が与えられます。また、「O-1」ビザ、「O-2」ビザの保持者の配偶者と21歳未満の子どもには「O-3」ビザが与えられます。

(2021年8月16日号掲載)

ゴルフのインストラクターとして渡米するために必要なビザは?

瀧 恵之 弁護士

Q:日本でプロゴルファーをしています。今回、アメリカのトーナメントに出場したことがきっかけで、アメリカでゴルフを教えることになりました。どのようなビザを申請すれば良いですか?また、私のアシスタントも一緒にアメリカに行き、私の仕事を手伝ってもらいたいと考えています。彼に適したビザはあるのでしょうか?

A:特殊技能保持者に与えられる、「O-1」ビザ取得の可能性が考えられます。O-1ビザは、高度の特殊技能者に与えられるビザです。3つのカテゴリーに分かれ、ビザが認可されるか否かは、各カテゴリーごとに審査され、それぞれ基準が異なります。まず、1つ目のカテゴリーは、科学者、教育者、ビジネスパーソン、およびスポーツ選手です。このカテゴリーは、O-1ビザの申請の中で、最も厳格な審査が行われるとされています。審査をパスするには、以下の8つの条件のうち、少なくとも3つを満たす必要があります。
 
① 国際的に認められている賞を受賞した
② 入会するにあたり、厳しい条件を課されている会の会員
③ 知名度のある出版物、あるいはメディアにおいて、取り上げられた
④ 当該分野において、競技などの審査を担当した
⑤ 当該分野において、大きな功績を残した
⑥ 専門雑誌、あるいは知名度のあるメディアにおいて、記事を出した
⑦ 知名度の極めて高い団体で仕事を行っている、あるいは行った経験がある
⑧収入が著しく高い
 
2つ目は、芸術家、および芸能人(ただし、映画、テレビ関係は除く)のカテゴリーです。これは、前者よりも審査基準は低いとされています。このカテゴリーでの審査をパスするには、以下の5つの条件のうち、少なくとも3つを満たす必要があります。
 
① 公の場で高い評価を受けた作品において、主な役割を果たした、あるいは果たす予定
② 新聞、専門雑誌等において、大々的に取り上げられた、あるいは高い評価を得た
③ メディア等の著名な団体で、主な役割を担った
④ 多大な業績を上げた記録がある
⑤ 著名な団体、評論家、政府機関、エキスパートから高い評価を受けた
 
3つ目は、映画、テレビ関係のタレント、および製作関係者のカテゴリーです。このカテゴリーは、前記のような具体的な条件の列挙がなく、「通常以上の極めて高い評価を受けている」とされているだけです。従って、このカテゴリーにおける審査は、前記2つに比べ、広汎であると言えます。
 
あなたの場合は、前記の1つ目のカテゴリーに属します。O-1ビザを申請する際には、常にスポンサーが存在していることが必要ですので、あなたの場合、ゴルフを教える学校、ゴルフ場、あるいはあなたにエージェントがいれば、そのエージェントとの間の雇用契約書を提出することになります。
 

アシスタントも同期間の滞在が可能

また、アシスタントをアメリカに同行させるのには、「O-2」ビザが適していると考えられます。随行させるアシスタントが、例えば日本で長年にわたってあなたのアシスタントとして従事してきたのであれば、それを証明することが重要なポイントになります。なお、O-2ビザは、O-1ビザ保持者の滞在期間と同期間与えられます。また、O-1ビザ保持者の配偶者には、「O-3」ビザが与えられ、O-1ビザ保持者と同期間の滞在が許されます。
 
(2012年1月1日号掲載)

米国のテレビ局で働くにはどのようなビザを取得すべき?

吉原 今日子 弁護士

Q:日本の大学の放送学科を卒業し、10年以上、テレビプロデューサーとして働いています。米国の制作会社からテレビの仕事の依頼を受けました。私がこの制作会社で働くためには、どのようなビザを取得すればよいか教えてください。

A:まず「O-1」ビザの取得が考えられます。O-1は、高度の特殊機能者に与えられるビザです。有効期間は3年間で、その後も業務が続く限り延長可能です。O-1ビザが認可されるか否かは、3つのカテゴリーで審査され、それぞれ基準が異なります。
 
1つ目のカテゴリーは、科学者、教育者、ビジネスパーソン、およびスポーツ選手です。このカテゴリーは、最も審査が厳格と言われています。パスするには、以下の8条件のうち、少なくとも3つを満たす必要があります。
 
① 国際的に認められている賞を受賞した
② 入会するのに厳しい条件が課されている会の会員
③ 知名度のある出版物、あるいはメディアに取り上げられた
④ 当該分野において、競技などの審査を担当した
⑤ 当該分野において、大きな功績を残した
⑥ 専門雑誌、あるいは知名度のあるメディアに記事を出した
⑦ 知名度の極めて高い団体で仕事を行っている、行った経験がある
⑧ 収入が著しく高い
 
2つ目のカテゴリーは、芸術家や芸能人(映画、テレビ関係は除く)のカテゴリーで、これは1つ目のカテゴリーよりも審査基準は低いとされています。このカテゴリーをパスするには、以下の5条件のうち、少なくとも3つを満たす必要があります。
 
① 公の場で高い評価を受けた作品で、主となる役割を果たした。あるいは果たす予定
② 新聞、専門雑誌等において、大々的に取り上げられた。あるいは高い評価を得た
③ メディア等に取り上げられた著名な団体で、主となる役割を担った
④ 多大な業績を挙げた記録がある
⑤ 著名な団体、評論家、政府機関、専門家から高い評価を受けた
 
そして、3つ目のカテゴリーは、映画、テレビ関係のタレント、および制作関係者のカテゴリーです。このカテゴリーには、前記の2つのカテゴリーのような具体的な条件の列挙がなく、「通常以上の極めて高い評価を受けている」と明記されているだけです。従って同カテゴリーの審査は、広汎であると言えます。
 

知名度を証明できれば4大卒であればH-1Bを選択

あなたの場合は、前記の2つ目のカテゴリーに属します。日本において(できれば米国やその他の国でも)残した業績を示す証拠を、前記のリストに従って集めてください。そして、移民局に提出する前にEvaluation Company(あるいは移民局に認可された協会)に提出します。
 
具体的には、業績を取り上げた新聞や専門雑誌の記事を集め、著名人からの推薦状を取る必要があります。そのほかに、受賞歴があれば、それを証明する書類を準備する必要があります。
 
Oビザ取得の際、一番重要なのは、いかに知名度を証明することができるかです。申請では、移民局に申請書を提出する前に、当該分野の専門団体の審査を受け、パスする必要があります。これにパスすれば、移民局の審査で、著名度が認められる可能性が高いということになります。あとは、スポンサー企業との間に妥当な雇用契約が存在すれば、ほとんどの場合、取得できます。
 
もし知名度を証明できない場合でも、あなたは大学を卒業しているので、「H-1B」ビザ申請の可能性が考えられます。H-1Bを取得するには、以下の条件を満たしていることが必要です。
 
① 学士号(あるいは匹敵する経験)以上が当該業種の職務に要求される
② 学士号(あるいは匹敵する経験)以上を保持する者でないと、職務遂行できないほど特殊である
③ 雇用主が、その役職に従事する者に対して、一般的に学士号(あるいは匹敵する経験)以上を必要としている
④ 職務内容が、専門的かつ複雑で、その職務を行うにあたって、通常学士号(あるいはそれに匹敵する経験)以上の知識を必要とする
 
あなたが、新聞、雑誌、テレビなどで紹介されるほど有名でなければ、H-1Bビザを取得する方が安全と言えます。
 
(2011年9月16日号掲載)

Oビザの審査基準とグリーンカード取得の可能性は?

吉原 今日子 弁護士

Q:私は米国の大学院でFilm and Artsを専攻し、今年卒業予定です。日本で10年間、テレビの製作会社で働いていました。私の経歴だとOビザが取れる可能性があると聞きましたが、今後の就職において、どのようなビザが取得可能ですか?またグリーンカードの取得は可能かも教えてください。

A:O-1ビザは、高度の特殊技能者に与えられるビザです。有効期間は3年間で、その後も業務が続く限り、1年ごとの延長が可能です。ビザが認可されるか否かは、いくつかのカテゴリーに分けられ、それぞれ審査基準が異なります。芸術家、および芸能人(ただし映画、テレビ関係は除く)がO-1ビザ申請をする際、以下の5つの条件の中で、少なくとも3つを満たしている必要があります。
 
① 公の場で高い評価を受けた作品において、主な役割を果たした、あるいは果たす予定である
② 新聞、雑誌などで大々的に取り上げられた、あるいは高い評価を受けた
③ メディア関係の著名な団体において、主な役割を担った
④ 多大な功績をあげた記録がある
⑤ 著名な団体、評論家、政府機関、エキスパートから、高い評価を受けた
 
これらの条件を満たすためには、業績を取り上げた新聞や専門誌の記事を集め、次に著名人からの推薦状を取る必要があります。その他に、賞などを受けていれば、それを証明する書類を準備する必要があります。
 
O-1ビザ申請では、移民局に申請書を提出する前に、当該分野の専門団体からの審査を受け、これにパスする必要があります。この審査にパスすれば、移民局の審査で少なくともの著名度については、認められる可能性が高くなります。後は、スポンサーとなる会社との間に妥当な雇用契約が存在すれば、ほとんどの場合取得できます。取得の際に最も重要なのは、知名度をいかに証明するかということです。
 
もし、前記のように知名度を証明できなければ、あなたの場合、大学院を卒業するので、H-1Bビザ申請の可能性が考えられます。
 
H-1Bビザ取得には、以下の条件を満たしていることが必要です。
① 通常、業種に関連する学士号(またはそれに匹敵する職務経験)を持つ
② 当該業務は、学士号(または同上の経験)以上を保持する者でないと遂行できないほど特殊である
③ 雇用主が、その職務に従事する者に対し、一般的に学士号(または同上の経験)以上を必要としている
④ 職務内容が専門的かつ複雑で、職務を行うにあたり、学士号(または同上の経験)以上の知識を必要とする
 
あなたの場合、大学院を卒業するので、専攻と関連する業種であれば、H-1Bビザの取得が可能です。

知名度を証明することにより短期間でグリーンカード取得

通常、雇用を通してのグリーンカード申請の場合、大きく分けて3つのステップがあります。第1ステップは、「Labor Certification」(労働局の審査で「PERM」と呼ばれる)です。第2ステップではI-140を提出し、スポンサー企業が労働局で定められた給料を払うことができるかどうかが審査されます。第3ステップでは、I-485を提出し、申請者自身が取得条件を満たしているか審査されます。
 
そして、「EB-1」「EB-2」の2つのカテゴリーでの申請が、選択肢として考えられます。
 
EB-1での申請は、科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツの分野で、類稀な能力を持つ人が可能です。これは、知名度を証明することによってグリーンカードを取得できる方法です。EB-1での申請の場合、前記の第1ステップを行う必要がなく、第2、第3ステップから始められます。ですから、審査時間が短くて済み、1~1年半という短期間での取得が可能です。しかし、EB-1での申請認可を受けるには、O-1ビザにおける審査基準よりも遥かに高いハードルをクリアすることが要求されます。その分野でトップ2%に位置する、かなりの著名・有名人でないと、この基準をパスすることは難しいと言えます。
 
一方、EB-2での申請は、大学を卒業し、スポンサー企業の業務に関連した職務経験が5年以上あるか、修士号を取得している場合に可能です。この場合、第1ステップは必要ですが、第1ステップ終了後、第2、第3ステップを同時申請できます。ですから、およそ2年間でグリーンカードを取得することができます。
 
あなたの場合、修士号を取得する予定とのことですから、映画、映像関連の会社に就職できれば、EB-2でのグリーンカード申請が可能です。EB-1のように知名度を証明する必要がないので、時間は多少かかりますが、EB-2での申請の方が確実かもしれません。
 
(2010年7月16日掲載)

O-1(特殊技能)ビザ取得条件とその後に必要な永住権申請

瀧 恵之 弁護士

Q:私は、アメリカで語学学校に在籍しています。日本では、映画やテレビ番組のプロデューサーとして仕事をしてきました。アメリカで私の技能を活かした仕事を探していましたが、先日、気に入ったスポンサーも見付かり、この会社で少なくとも10年は働きたいと考えています。私は大学を卒業していないので、「O-1」ビザを取得するのが良いのではと、友人から聞きました。私は、このO-1ビザを申請できるのでしょうか?

A:O-1ビザを申請できる可能性はあるかもしれませんが、仮にO-1ビザを取得することができたとしても、O-1ビザは6年以上の延長が困難な場合がありますので、その後のグリーンカード取得も視野に入れて計画を立てられることをおすすめします。従って、以下にO-1ビザ申請および、その後のグリーンカード申請に関して説明しましょう。
 
まず、O-1ビザ申請に関してですが、O-1ビザは特殊技能保持者に与えられるビザで、以下の5つの条件のうち、少なくとも3つを満たす必要があります。
 
① 公の場において高い評価を受けた作品で、主な役割を果たした。あるいは果たす予定である
② 新聞、専門雑誌等において、大々的に取り上げられた、あるいは高い評価を得たことがある
③ メディア等において著名な団体で、主な役割を担ったことがある
④ 偉大な業績を挙げた記録がある
⑤ 著名な団体、評論家、政府機関、エキスパートから、高い評価を受けたことがある
 
これらの条件を満たすには、具体的には、まず、業績を取り上げた新聞や専門雑誌の記事を集め、次に著名人からの推薦状を得ることをおすすめします。そのほかに、賞などを受けていれば、それを証明する書類を準備することです。あとは、スポンサーとなる会社との間に妥当な雇用契約が存在すれば、ほとんどの場合、O-1ビザ申請は認可されます。
 
O-1ビザは、通常、最初は3年間、その後、2年あるいは3年間(新しいプロジェクトがある場合)の延長が可能です。

非常に厳しい第1優先枠での永住権申請

前述したように、O-1ビザは6年以上の延長が困難な場合がありますので、その後のグリーンカード申請を視野に入れる必要があります。
 
一般的に考えられるのが、第1優先カテゴリーにおける申請です。これは、著名度を証明することにより、最短期間でグリーンカードを取得できる方法で、一般的に就労を通して申請する場合に必要な、Labor Certificationを取得する必要がありません。
 
しかし、このカテゴリーにおいて認可を受けるには、O-1ビザにおける審査基準よりも遥かに高いハードルを越えることが要求されます。かなりの著名・有名人でないと、この審査基準をパスすることは不可能と言えます。O-1ビザを取得した後、6年以内にこの基準に達することができず、その後の滞在ができなくなるというケースが多々あります。
 
そこで、視点を変え、第3優先カテゴリーにおける申請を考えるのも、賢明な手段であると言えます。これは、通常の就労を通してグリーンカードを申請する方法で、4年制大学を卒業していなくても、2年以上の職務経験があれば、条件を満たすことができます。
 
ただし、この申請方法を用いた場合に注意しないといけないことは、米国での就労資格取得までに相当な時間(2年から3年、あるいはそれ以上)を要するということです。従って、O-1ビザの最長6年間の有効期限が切れる直前から準備していたのでは、手遅れになる可能性が大きいということです。
 
最初から少なくとも10年間就労することを予定しているのであれば、最初からO-1ビザの申請と併せ、第3優先カテゴリーにおけるグリーンカードの申請も開始されることをおすすめします。
 
(2009年6月3日号掲載)

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