冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点

米政治ジャーナリストの冷泉彰彦が、日米の政治や社会状況を独自の視点から鋭く分析!
日米の課題や私たち在米邦人の果たす役割について、わかりやすく解説する連載コラム

冷泉 彰彦
冷泉 彰彦

プリンストン日本語学校高等部主任。『Newsweek日本版』コラムニスト。

ライトハウス電子版アプリ、始めました

五輪で脚光、日本のコンビニはアメリカに来るか?

(2021年9月1日号掲載) 独自の進化を遂げた日本のコンビニ 日本のコンビニについては、各国のメディアに加え、選手たちもSNSで情報を発信した。 今回の東京オリンピックでは、バブル方式といって選手団とメディア等の関係者は、選手村や指定されたホテルからの外出が制限され、一般の日本社会とは隔離された。そのため、海外の選手や関係者は選手村での食事の他は、レストラ … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「五輪で脚光、日本のコンビニはアメリカに来るか?」の続きを読む

一時的現象か? 日本の鎖国ムード

(2021年8月1日号掲載) 水際対策、オリンピック 広がる外国への拒否感 オリンピックのコロナ対策の一部は、日本人からも、選手団からも不満が出ている。 コロナ禍の影響で、日本社会は急速に「内向き」となっている。いや「内向き」などというマイルドな表現では足りない。一種の鎖国ムードに陥っていると言ってもいいだろう。まず、過剰なまでの水際作戦が止まらない。日本入 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「一時的現象か? 日本の鎖国ムード」の続きを読む

コロナ禍でも満員電車、変わらぬ日本の働き方

(2021年7月1日号掲載) テレワークに消極的な日本企業 コロナ前に比べ、電車の混雑率は低下しているが、路線や時間によっては、今も三密が続く。 コロナ禍の長期化に伴い、東京や大阪などでは断続的に緊急事態宣言が出されている。これを受けて、2020年の4月頃は、各企業がテレワーク(リモート勤務)に取り組んだことで、首都圏や京阪神では多くの路線で通勤電車の混雑が … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「コロナ禍でも満員電車、変わらぬ日本の働き方」の続きを読む

厳格化する日本の入国隔離、一時帰国のハードルは?

(2021年6月1日号掲載) 海外から日本へ 入国後の現状 飛行機の利用者が徐々に増えてきているアメリカ。一方、日本の伸び率は鈍い。 現在、アメリカから日本への入国は厳しく限定されている。まず日本国籍以外の人は特段の事情がない限り入国できない。具体的には日本人の配偶者と子ども、大学教授、医療関係者などに限られている。これに加えて、日本国籍があっても入国できな … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「厳格化する日本の入国隔離、一時帰国のハードルは?」の続きを読む

アジア系へのヘイト被害、今こそ団結の時

(2021年5月1日号掲載) これまでも支え合ってきたアジア系社会 アトランタの韓国系スパ発砲事件以来、各地で反アジア系ヘイトクライムのデモが行われている。 私たちアジア系を標的としたヘイトクライムが止まらない。私は1993年からアメリカに暮らしているが、かつて経験したことのない事態だ。一刻も早い沈静化を願うが、そのためにも、何点か議論をしておきたいと思う。 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「アジア系へのヘイト被害、今こそ団結の時」の続きを読む

困難な状況で日本からの移住者を迎える春

(2021年4月1日号掲載) 改めて考える日米のコロナ対応の差 バイデン政権は早急な対面授業の再開を狙うが、完全なる再開にはまだ時間がかかる見込み。 コロナ禍という異常事態が続く中ではあるが、日本型の組織では春は人の動く季節。今年も多くの新しい駐在員などが日本からこのアメリカにやって来る時期となった。例年に比較すると数は少ないかもしれないが、ひたすら混乱状態 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「困難な状況で日本からの移住者を迎える春」の続きを読む

日本経済の何が問題なのか?

(2021年3月1日号掲載) この30年で何が失われたのか 2019年のGDPは1位アメリカ(約21兆ドル)、2位中国(約14兆ドル)、3位日本(約5兆ドル)。 1990年代のバブル崩壊から約30年、日本経済は低成長が続いている。GDP(国内総生産)の総額で言えば、この間に中国に抜かれて世界3位になっただけだが、一人当たりGDPで比較すると1990年の世界第 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日本経済の何が問題なのか?」の続きを読む

コロナ禍の日本のビデオ会議事情

(2021年2月1日号掲載) 進化・定着しつつある日本のリモートワーク コロナにより、文部科学省では学校のICT環境の整備「GIGAスクール構想」を前倒しで行っている。 コロナ禍が続き、日本でもビデオ会議システムによるオンライン会議が行われるようになってきた。当初は試行錯誤があったが、現在はかなり定着している。そんな中で、一部の企業では日本独自の「謎ルール」 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「コロナ禍の日本のビデオ会議事情」の続きを読む

日本のカルチャー、コロナへの脆弱性も

(2021年1月1日号掲載) 自由を維持しながら感染を抑えてきた日本 新型コロナウイルスのワクチン候補は51種類(2020年12月2日時点、WHO)ある。 新型コロナウイルス感染拡大に関しては、アメリカと比較して日本は一貫して優等生であったと言える。本稿の時点での感染者は、アメリカの場合は累計で1600万人を超え、日本の場合は18万人以上、死者の累計もアメリ … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日本のカルチャー、コロナへの脆弱性も」の続きを読む

ズレが気になる日本の大統領選報道

選挙理解の深まりと浅い支持理由 就任式は来年1月20日の予定。 4年に一度のアメリカ大統領選は、毎回日本でも大きく報道されるが、今回は特に関心が高かったようだ。ペンシルベニア州とフロリダ州の開票方法の違いであるとか、選挙人制度の詳細などの専門的な知識が一気に普及するなど、長年この分野の報道に関わってきた私には驚くような現象も起きた。   その一方で、日本の大 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「ズレが気になる日本の大統領選報道」の続きを読む

こんなに非効率、ハンコ社会の日本

多くて煩雑な日本のハンコ 2020年9月時点で、押印が必要な行政手続きは全部で1万1049種類ある。 菅内閣の河野太郎行政改革担当大臣は、行政改革の一環として「脱ハンコ社会」を進めると宣言。行政手続きに必要なハンコを9割以上削減すると明言した。確かに、日本の事務仕事にはハンコがつきものであり、そのために非効率となっている。   ハンコは、新型コロナウィルスの … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「こんなに非効率、ハンコ社会の日本」の続きを読む

TVドラマ『半沢直樹』が受ける理由

新しい時代劇か? 昭和風情の勧善懲悪ドラマ 東京中央銀行本店こと三井本館は重要文化財。番組では、この建物の上にCGでビルを加えている。 日本では、TVドラマ『半沢直樹』が大ブームである。各回の視聴率は20%を大きく超えており、本編の制作が間に合わず急遽放送された「出演者による座談会の生放送」も22%以上の視聴率を稼いだという。7年前の第1シーズンも大きな反響 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「TVドラマ『半沢直樹』が受ける理由」の続きを読む

日本の地方、意外なまでの独立性

コロナ禍の移動 対応のことなる日米 2020年のお盆期間、日本の国内線、新幹線、高速道路では、例年のようなラッシュはなかった。 新型コロナウイルス感染拡大の初期に、アメリカではニューヨーク州の感染爆発が突出していた。そのために、近隣のロードアイランド州ではニューヨーク州のナンバープレートを付けた車両を摘発するための検問が行われたことがある。武装した警官が州間 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日本の地方、意外なまでの独立性」の続きを読む

日米で全く異なるマスク論争

大統領選にも影響? アメリカの根強い反マスク アメリカでは多くの州でマスク着用のルールができたが、いまだにマスク着用を求めない州もある。 新型コロナウィルスの感染が拡大する中で、マスク着用の社会的ルールをどうしたらいいか、日本でもアメリカでも論争が続いている。まず、アメリカでは、マスク着用推進派と反対派が分裂し、しかも大統領とその周辺まで巻き込んだ形で政治論 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日米で全く異なるマスク論争」の続きを読む

在外国民とは、一体何だろうか?

国籍のある国、住んでいる国それぞれの権利・義務とは? 外務省によると2019年の在外邦人数は約139万人で、そのうち約44万7000人がアメリカに暮らす。 グローバル化が進む中で、20世紀末以降は自分の国を離れて、国境の外に暮らす人口が増えている。つまり在外国民ということだ。例えば、留学するとか、企業による海外転勤の場合は、期間は限定であって期限が来たら帰国 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「在外国民とは、一体何だろうか?」の続きを読む

急浮上した日本の9月入学案、ぜひ実現を

日米の入学時期が違うことで生じる弊害 桜の舞う卒業式・入学式はもう見納め? 現時点では、新型コロナウイルス感染拡大による非常事態宣言のために、日本の多くの小中高等学校は休校となっている。感染者数の少ない地域では学校を再開する動きも出てきたが、東京や大阪など大都市圏ではまだ実現していない。そんな中で、出てきたのがコロナ危機による休校を機会として、全国一斉に「日 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「急浮上した日本の9月入学案、ぜひ実現を」の続きを読む

新型コロナ問題で浮き彫り 日本社会の強みと弱み

生活習慣や文化が生んだ感染症に強い日本社会 JIPDECによると、日本で電子契約を導入している会社は43.1%(2018年「企業IT利活用動向調査」)。 新型コロナウイルスの感染で、日本は、1月から2月に起きた中国ルートの感染とクルーズ船の下船者に関して、感染の連鎖を抑えることに成功した。これによって3月末から一気に拡大した第二波への対応においても、欧州やア … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「新型コロナ問題で浮き彫り 日本社会の強みと弱み」の続きを読む

東日本大震災から9年 ぜひ訪れたい被災地

まだいる避難生活者と進みつつある復興 「さんてつ」こと三陸鉄道は、風光明媚な車窓からの眺めで知られる。 2011年3月11日に発生した東日本大震災から9年の歳月が流れた。最新の統計では死者1万5899人、行方不明者2529人となっており、その被害の規模の大きさには言葉もない。これに加えて、現時点でまだ避難生活を余儀なくされている人が、全体で4万7737人もい … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「東日本大震災から9年 ぜひ訪れたい被災地」の続きを読む

文房具が嫌いなアメリカ人

日米でこれほど違う子どもと文房具の関係 小学生が自分だけの文房具が入った道具箱を持つのも日本特有の文化。 アメリカの文房具店と言えば、大規模なオフィス用品店や量販店の文房具売場ということになるが、ここ10年ぐらい日本のメーカーの製品がシェアを確立しつつある。特にボールペンやアメリカではメカニカル・ペンシルと呼ばれるシャーペンなどは、日本のブランドが普及してい … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「文房具が嫌いなアメリカ人」の続きを読む

迷走する日本のIR(統合リゾート)構想

反対派、汚職、環境問題 進まぬ日本のIR 日本のIRの候補地は2021~22年に確定する予定。 日本では内閣府などが主導してIR(統合リゾート)の開発が検討されて久しい。IRは、大規模なホテルにリゾートの機能を加えて滞在型の利用を促し、その地域の経済を活性化させるものとして期待されてきた。   だが、この構想がなかなか実現に至らない中で、ここへ来て計画自体が … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「迷走する日本のIR(統合リゾート)構想」の続きを読む

東大の女子学生比率20%の衝撃

世界的に見ても低い東大の女子学生比率 『The New York Times』の記事、東大の上野氏の祝辞は共に公式サイトで全文が読める。 2019年12月9日付の『The New York Times』は、国際欄の中でほぼ1面を使って東京大学に関する記事を掲載した。タイトルは、”At Japan’s Most Elite Univer … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「東大の女子学生比率20%の衝撃」の続きを読む

日米で全く異なる防災・避難行動

台風、ハリケーン自然災害に悩まされる日米 19年10月の台風19号では90人以上が亡くなった。 日本とアメリカは気象条件が異なるが、アメリカではハリケーン、日本では台風と呼ばれる巨大な熱帯性の低気圧には同じように悩まされている。アメリカの場合は 2005年のカトリーナ、12年のサンディ、17年のマリアの被害はとりわけ深刻で、19年もカリブ海のバハマ諸島を襲っ … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日米で全く異なる防災・避難行動」の続きを読む

ガラパゴス化する日本の美容事情

全ては美白美肌のため日本独自の習慣や行動 日傘の使用率が高いのも日本ならでは。 美容に関する考え方というのは、その国の文化や生活習慣に関係する。従って、国や地域によって千差万別となる。例えば女性の美容整形に関する考え方は、同じ東アジアでも日本・中国・韓国で全く違う。アメリカの場合はもっと違うし多様だ。そんな中で近年の日本では美容に対する考え方が、独自の方向性 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「ガラパゴス化する日本の美容事情」の続きを読む

意外と偏っているアメリカの教養雑学

手厚い指導や教育を誰がどこまで受けられるか 音楽、美術…、日本の教養教育はバランスが良い? アメリカの公教育は能力別だったり少人数指導があったり、制度が良くできているし、思考力や発表力を養う訓練ということでは、日本とは比較にならないほど進んでいる。その一方で、意外と抜け落ちている分野もある。   その一つは、幅広い教養知識を与える機会がないことだ。例えば、音 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「意外と偏っているアメリカの教養雑学」の続きを読む

日本での日本語教育厳しい現実

高まる日本語学習ニーズと追いつかない教育機会 親子での移住は、それぞれに学習支援が必要。 アメリカでは日本語がブームである。日本文化への関心を背景に、ほとんどの大学では外国語として日本語の選択が可能で、初級から中級、上級までコースを設置している。高校の場合は、全てとまではいかないが、日本語のクラスを設置しているケースは多い。大学出願の全国テストのSAT2やA … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日本での日本語教育厳しい現実」の続きを読む

謎ルールがやめられない日本の小学校

置き勉、シャーペン、ハンコ…、数々の謎ルール サイン? ハンコ? 有効なのはどっち? これまでも、日本の中学や高校の校則が厳しいのは周知の事だった。反発した生徒や親が裁判を起こしたり、漫画やドラマでも校則に対する反抗が描かれたりするなど、厳しい校則に対する議論は今でも続いている。   一方で、近年では日本の小学校における「謎ルール」というのが話題になっている … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「謎ルールがやめられない日本の小学校」の続きを読む

匂いに敏感な日本社会

不快な匂いのケアか? 匂いのケアが不快か? 防臭機能や香りの付いた柔軟剤が日本で流行中。 日本では「匂い」は深刻な社会問題になっている。大きな背景としては昭和から平成初期とは違って、現代の日本は個人的な不快感をしっかりアピールすることが許される社会になったということがある。このことは前向きに評価しておきたい。   とはいうものの、日本の匂い問題はとにかく厄介 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「匂いに敏感な日本社会」の続きを読む

こいのぼりの消滅と高額化するランドセル

世相と共に変化するこいのぼり 「ラン活」というランドセル選びを指す言葉もある。 5月の連休といえば「こどもの日」、つまり端午の節句であり、この時期になると日本中でこいのぼりが掲げられるのが一種の風物詩となっていた。だが、この鯉のぼりに異変が起きている。日本全国で、空中を泳ぐこいのぼりが見られなくなっているのだ。   原因としては、いろいろあるようだ。まず、都 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「こいのぼりの消滅と高額化するランドセル」の続きを読む

何とかならないか 日本での特殊詐欺の横行

ますます巧妙化する特殊詐欺 ATM、コンビニの端末、手渡し、渡し方もさまざま。 最初は「オレオレ詐欺」と言われていた、なりすまし電話をかけて多額の金を奪う詐欺行為は、手口が多角化したこともあり、現在では「特殊詐欺」と言われている。この特殊詐欺、国税庁のフリをして脅迫するようなものはアメリカにもあるが、猛威を振るっているのはやはり日本である。   4月1日に5 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「何とかならないか 日本での特殊詐欺の横行」の続きを読む

大陸横断鉄道とアムトラック

大陸横断鉄道の敷設を支えた東西の移民たち この絶景は、アメリカ移民たちの苦労の賜物。 アメリカの開拓は、東から西へと進んだ。入植により経済が回りだすと今度は輸送手段が必要となる。最初は人や荷物は馬車を乗り継いで移動するしかなかった。だが、19世紀の半ばまでには全国で鉄道網が発達し、輸送の容量もスピードも格段に向上した。   西海岸の場合は、これにゴールドラッ … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「大陸横断鉄道とアムトラック」の続きを読む