冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点

米政治ジャーナリストの冷泉彰彦が、日米の政治や社会状況を独自の視点から鋭く分析!
日米の課題や私たち在米邦人の果たす役割について、わかりやすく解説する連載コラム

冷泉 彰彦
冷泉 彰彦

プリンストン日本語学校高等部主任。『Newsweek日本版』コラムニスト。

ライトハウス電子版アプリ、始めました

結論が出ない日本でのタクシー論争

(2023年12月号掲載) ドライバー不足で、日本もライドシェア解禁か? 日本では、Uberのアプリはライドシェアではなく、タクシーの配車アプリとして普及している。 コロナ禍の期間に団塊世代の引退が進んだことで、日本の運輸業界では人手不足が問題化している。全国の路線バスでは、運転士不足から企業ぐるみの廃業やダイヤの削減などが起きている。より深刻なのがタクシー … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「結論が出ない日本でのタクシー論争」の続きを読む

リモート勤務が定着しなかった日本

(2023年11月号掲載) デメリットがあれど、リモートを模索し続けるアメリカ アメリカでも通常通りに出社する人は増え、再び渋滞が問題になる都市もある。 アメリカでは、コロナ禍後も日本で言うテレワーク、つまりリモート勤務が定着している。現在では100%リモートは少なくなり、全米平均では、週3日出勤で2日がリモートというのが「相場」のようだ。多くの経営者は、で … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「リモート勤務が定着しなかった日本」の続きを読む

日本の台風対策、三つの疑問

(2023年10月号掲載) 強制退避のアメリカ ギリギリまで新幹線の走る日本 日本の主要キー局は東京に集中し、地方の災害の様子は報道されにくい面もある。 地球温暖化は、日本の場合は台風被害という形で現実の脅威となっている。これに対して、気象庁や政府、地方自治体は予報の精度向上を図る一方で、防潮堤や治水工事など防災・減災対策に努力してきた。その一方で、実際に台 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日本の台風対策、三つの疑問」の続きを読む

共同親権だけでは解決しない親子の問題

(2023年9月号掲載) 日本でも議論される共同親権 国際離婚では、子どもの生活や権利について裁判が長引くことが多い。 国際結婚が破綻した場合に、日本人の母親が子どもを日本に連れ去り、アメリカ人の父親がこれを告発してアメリカから母親への逮捕状が出るという事例が数多くあった。アメリカ政府は日本政府に対してこの問題の解決を強く迫り、2013年には日本が子どもの連 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「共同親権だけでは解決しない親子の問題」の続きを読む

日本のインバウンド2500万人、受け入れは限界に

(2023年8月号掲載) コロナ前後で変わった観光客の顔ぶれ 鎌倉や江ノ電は、マンガ『Slam Dunk』の聖地巡りのために訪れる外国人も多くいる。 コロナ禍中は激減していた日本へのインバウンド観光客が、ここへ来て一気に増加している。コロナに関する規制が撤廃されたこともあるが、何よりも1ドル140円台という円安が追い風になっている。特にこの春以降は、毎月の外 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日本のインバウンド2500万人、受け入れは限界に」の続きを読む

犯罪横行のため不便になる在外邦人

(2023年7月号掲載) 不便な免税のルールと国際免許証の運用 現在、自動化ゲートは成田空港、羽田空港、中部空港、関西空港に設置されている。 近年、一部の犯罪や悪用が目立つというだけで、在外邦人に著しい不便が押し付けられるケースが出てきている。例えば、一時帰国時の免税店利用だ。従来は、免税店等で購入し、封をした品物を出国時に税関で見せれば免税価格で品物の購入 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「犯罪横行のため不便になる在外邦人」の続きを読む

簡単ではない羽田の鉄道アクセス改善

(2023年6月号掲載) 蒲蒲線は西部移動の切り札になるか? 東京モノレールは今後も存続し、途中駅や「第3」への輸送を担うという。 アメリカから日本へ移動する場合、日本の空港としては、やはり羽田を利用する場合が多い。国内線に乗り継ぐ場合は別として、そこで問題になるのが「空港アクセス」だ。チョイスはそれなりにある。タクシーや、空港バスの路線網もあるが、中でも一 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「簡単ではない羽田の鉄道アクセス改善」の続きを読む

日米関係、この30年の変化

(2023年5月号掲載) 食、歴史、野球、変化したアメリカでの受け止め方 広島長崎の原爆投下に対し、米国内では支持と不支持が世代によって割れるようになってきている。 全くの私事で恐縮だが、この3月でアメリカに引っ越して30年となった。この30年を振り返ると、日本とアメリカの関係ということでは大きな変化があった。両国関係は引き続き良好だが、その中身についていえ … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日米関係、この30年の変化」の続きを読む

駐在員家庭がアメリカ生活になじむには

(2023年4月号掲載) 昔ほど憧れがなくなったアメリカ駐在 アメリカには41万8842人の在留邦人が暮らし、都市別ではLA、NY、SFの順に多い(外務省2022年)。 アメリカに暮らす日本人・日系人のコミュニティーの中で、日本の企業から派遣される駐在員家庭というのは大きな位置付けを占めている。日本では今でも春が人事の季節。コロナ禍から脱しつつある今年は、ア … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「駐在員家庭がアメリカ生活になじむには」の続きを読む

どこへ向かう? 日本の働き方

(2023年3月1日号掲載) 育休を阻む日本の年功序列 日本の育休制度の取得率は、男性13.97%、女性85.1%(2021年、厚生労働省)。 岸田総理が国会での質疑で、「育休中にリスキリング(学び直し)」を推奨すると発言し、激しい批判を浴びた。育児の苦労を知らないという批判であり、確かに発言としては不用意であった。だが、この問題、実はそう簡単ではない。   … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「どこへ向かう? 日本の働き方」の続きを読む

在外邦人の困り事を考える

(2023年2月1日号掲載) 在米邦人は42万人弱増え続ける在外邦人 アンドロイドのマイナンバーカード機能対応は5月から。行政手続きがスマホで行えるようになる。 日本人として海外に暮らす人は年々増加している。外務省の統計によれば、2022年の総数は130万人で、滞在先の1位はもちろんアメリカであり、その数は42万人弱であるという。都道府県と比較すると人口が最 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「在外邦人の困り事を考える」の続きを読む

アメリカのサッカーは飛躍できるか?

(2023年1月1日号掲載) 2026年ワールドカップはアメリカで開催 日本のサッカー競技人口は推定436万人で、今や野球の384万人を上回る(笹川スポーツ財団調べ)。 2022年のサッカー・ワールドカップのカタール大会が終わった。日本は、グループリーグでドイツとスペインを破ってベスト16に進んだがクロアチアに惜敗。アメリカも同様にベスト16でオランダに3対 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「アメリカのサッカーは飛躍できるか?」の続きを読む

アメリカ政治に学ぶところはあるのか?

(2022年12月1日号掲載) 討論や演説で鍛えられるアメリカの議員 歴代のアメリカの大統領の演説のフレーズには、後世に語り継がれるものが多々ある。 現在のアメリカの政治は、決して評判がいいとは言えない。左右の分断はあまりに激しくなっており、国際社会からは呆れられている。11月初旬には中間選挙が行われたが、毎度のこととはいえ、相手候補を罵倒するだけのCMなど … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「アメリカ政治に学ぶところはあるのか?」の続きを読む

日本経済の危機感に応えるには

(2022年11月1日号掲載) 円安、GDPマイナス成長をどう捉え、支えるか 9月、政府・日銀は急速な円安を抑止するため、円買い・ドル売り介入を約24年ぶりに実施した。 1ドルが150円のラインを突破した。この円安ショックを受けて、自信喪失が起きるとともに、ようやく日本では「経済はこのままではダメだ」という危機感が出てきている。日本経済が30年間ほとんど成長 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日本経済の危機感に応えるには」の続きを読む

20年前のイチローブームとは違う日本の大谷ブーム

(2022年10月1日号掲載) 共に未知数だったアメリカでの活躍 イチロー氏のマリナーズ殿堂入り式典では、大谷選手からのビデオメッセージも放映された。 エンゼルスの大谷翔平選手は、昨年、2021年にアメリカンリーグのMVPに選ばれただけでなく、今年22年はその21年を上回る成績を挙げている。そんな折、8月21日には、同じように日本球界からアメリカに移籍して、 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「20年前のイチローブームとは違う日本の大谷ブーム」の続きを読む

日本から人の流れを取り戻すには?

(2022年9月1日号掲載) コロナ、円安、食、治安戻らない観光客 日本と同じくアメリカでも、海外旅行より国内旅行の方が人気の傾向が続いている。 日本での訪日観光客受け入れが進んでいない。6月の解禁以来の人数はまだ数千人単位に留まっている。これはアメリカを含む多くの国でビザを要求しているからで、ビザなし渡航が再開されれば、自然に回復するであろう。   一方で … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日本から人の流れを取り戻すには?」の続きを読む

二重国籍問題を考える

(2022年8月1日号掲載) 問題・矛盾をはらむ日本人の市民権取得 現在、日本では二重国籍に伴う日本国籍の喪失をめぐり、いくつかの裁判が進行中。 在米邦人にとって、二重国籍というのは複雑な問題だ。まず、アメリカは、国内で出生すると自動的に市民権(国籍)が付与され、二重国籍も認めている。反対に、日本は二重国籍を原則として認めていない。日本の場合だが、現在の運用 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「二重国籍問題を考える」の続きを読む

日本はマスク依存症を克服できるか?

(2022年7月1日号掲載) 外国人観光客と日本人のマスクへのギャップ 日本の外国人旅行客は、まずは旅程が把握しやすい添乗員付きの団体旅行のみ受け入れを始めた。 2年半ぶりに日本に一時帰国する機会があった。5月下旬であったので、すでに強制隔離も自主隔離もなく、検疫プロセスに時間がかかった以外、出入国は比較的スムーズだった。久々の日本だったが、通勤電車は相変わ … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日本はマスク依存症を克服できるか?」の続きを読む

アジア系への攻撃深刻化、認識を改める時

(2022年6月1日号掲載) 都市を中心に止まらないアジア系への攻撃 ニューヨーク地下鉄はコロナ禍で利用者が減っているが、犯罪率は上昇している コロナ禍による社会不安が恒常化する中で、2020年の後半から全米でアジア系をターゲットとしたヘイト犯罪が増加した。現在でも、この傾向は続いている。20〜21年の全米の被害件数のうち、カリフォルニアが圧倒的に多く、約3 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「アジア系への攻撃深刻化、認識を改める時」の続きを読む

アメリカが日本のプロ野球に送る熱い視線

(2022年5月1日号掲載) 大谷、佐々木、鈴木、好調な日本人選手たち 野球観戦は日本観光の目玉になるか? 写真は千葉ロッテの本拠地ZOZOマリンスタジアム(幕張)。 春の到来と共にプロ野球のシーズンが始まった。アメリカのメジャーリーグは、昨年ア・リーグMVPを満票で受賞した大谷翔平選手(エンゼルス)が、完全二刀流で1番バッターに定着。すでに見事な投球も披露 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「アメリカが日本のプロ野球に送る熱い視線」の続きを読む

日本の国境、壁の高さを考える

(2022年4月1日号掲載) 水際対策、国内からの支持、海外からの目 成田空港国際線の旅客者数は19年度から20年度にかけて96%減だった。再び賑わうのはいつか? 日本という国は世界の中でも「国境の壁」が低い国として評価が高かった。外国人への入国審査は甘くはないが、理由なく入国が拒否されることはなかったし、2019年まで毎年4000万人近い訪日観光客を受け入 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日本の国境、壁の高さを考える」の続きを読む

日本語は変化を楽しむ言語

(2022年3月1日号掲載) 日本独自の概念や雰囲気を伝える新しい言葉 昨今の新しい言葉は、雑誌やテレビの他、インターネット上やSNSなどから発生するものも多い。 日本語というのは語彙が豊富な言語だ。同じことを言うのに、大和言葉、漢語、外来語があって、そこに微妙なニュアンスの違いを付加して使い分けているからだ。一方で、語彙が飽きられることも多く、それを避ける … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日本語は変化を楽しむ言語」の続きを読む

気になるラーメンの「内外価格差」

(2022年2月1日号掲載) 価格上昇の進むアメリカのラーメン アメリカの即席麺市場は約77億ドル*で、今後も伸びていくとされる。*GlobeNewswire 21年8月 内外価格差という言葉がある。例えば、20世紀末の日本では、輸入品の値段が高いことを批判する時に使われていた。だが、現在の状況は違う。多くのジャンルにおいて日本国内の価格が海外における価格よ … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「気になるラーメンの「内外価格差」」の続きを読む

日本発の才能、海外の文化との融合で開花

(2022年1月1日号掲載) ノーベル賞、MLBのMVP日本発、アメリカで活躍 近藤麻理恵氏による片付け方法は、アメリカ人の生活の中に浸透し、関連商品も多く販売されている。 アメリカや世界で活躍する日本人のニュースが増えてきた。2021年は、なんといってもノーベル物理学賞を受賞した気象学者の真鍋淑郎氏(編集部注:1975年から米国籍)が話題になった。直接お話 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日本発の才能、海外の文化との融合で開花」の続きを読む

在外投票権について考える

(2021年12月1日号掲載) 投票までのハードルが高過ぎる選挙 在外公館投票も、郵便等投票も、まずは在外選挙人名簿の登録が必要。登録には約2カ月かかる。 2021年10月31日に投開票された衆議院選挙では、在外邦人の投票率が20%という低い値となった。解散から投票日までが短かったためという報道が多いが、前回17年でも21%であり、大きく変わったわけではない … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「在外投票権について考える」の続きを読む

日米でこんなに違ったコロナ対策

(2021年11月1日号掲載) 生活様式の違いが対策の違いに コロナ禍でのアルコール提供の基準は、都道府県ごとに異なり、東京都では提供時間に制限がある。 新型コロナウイルスのパンデミックが始まってから1年半が経過した。アメリカで言う「第四波」、日本では「第五波」が沈静化しつつある中で、両国ではコロナ後の経済や、社会のあり方が模索されている。その際に痛感させら … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日米でこんなに違ったコロナ対策」の続きを読む

危機感の薄い、皇位継承論議

(2021年10月1日号掲載) 今も意見が割れるこれからの皇位継承 新任の各国大使が天皇陛下に挨拶をする際は、東京駅貴賓玄関から馬車(車も可)で皇居に向かう。 皇位継承の議論が騒がしくなってきた。この点に関しては、在外の日本人・日系人は距離を置いて見られるという感覚もあるが、必ずしもそうではない。例えば、毎年、天皇誕生日には在米の大使館や総領事館では天皇皇后 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「危機感の薄い、皇位継承論議」の続きを読む

五輪で脚光、日本のコンビニはアメリカに来るか?

(2021年9月1日号掲載) 独自の進化を遂げた日本のコンビニ 日本のコンビニについては、各国のメディアに加え、選手たちもSNSで情報を発信した。 今回の東京オリンピックでは、バブル方式といって選手団とメディア等の関係者は、選手村や指定されたホテルからの外出が制限され、一般の日本社会とは隔離された。そのため、海外の選手や関係者は選手村での食事の他は、レストラ … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「五輪で脚光、日本のコンビニはアメリカに来るか?」の続きを読む

一時的現象か? 日本の鎖国ムード

(2021年8月1日号掲載) 水際対策、オリンピック 広がる外国への拒否感 オリンピックのコロナ対策の一部は、日本人からも、選手団からも不満が出ている。 コロナ禍の影響で、日本社会は急速に「内向き」となっている。いや「内向き」などというマイルドな表現では足りない。一種の鎖国ムードに陥っていると言ってもいいだろう。まず、過剰なまでの水際作戦が止まらない。日本入 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「一時的現象か? 日本の鎖国ムード」の続きを読む

コロナ禍でも満員電車、変わらぬ日本の働き方

(2021年7月1日号掲載) テレワークに消極的な日本企業 コロナ前に比べ、電車の混雑率は低下しているが、路線や時間によっては、今も三密が続く。 コロナ禍の長期化に伴い、東京や大阪などでは断続的に緊急事態宣言が出されている。これを受けて、2020年の4月頃は、各企業がテレワーク(リモート勤務)に取り組んだことで、首都圏や京阪神では多くの路線で通勤電車の混雑が … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「コロナ禍でも満員電車、変わらぬ日本の働き方」の続きを読む