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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

125)中国が市場に

マーケティング講座

こんにちは!阪本啓一です。
商売はいつでも知恵と工夫です。


日本製のジーンズが危機!

岡山市に本社を置くジーンズのボブソンがブランドを譲渡するというニュースを目にし、「ついにここまで来たか」と、とても残念な思いをしました。「ボブソン」といえば、アメリカ原産のジーンズに対抗し、たとえ日本製であっても遜色ない、いや、それ以上の立派な製品を作ろうという意気込みでつけたネーミングといいます。「ボブ」(アメリカ人を代表した名前)が「損」するくらいに日本発ジーンズが市場を席巻する、という思いがこめられているとか。私はこういう熱い商売の志が大好きなのです。

しかし、日本製ジーンズを取り巻く環境は厳しい。ユニクロが990円のg.u.ジーンズを出して以来、「敵」はボブではなく、同じ日本人になっちゃったようです。聞くところによれば、g.u.ジーンズは中国製の生地を使ってカンボジアで縫製しているとのこと。同じg.u.ブランドで出ているTシャツは490円。こうなるとユニクロが売っているのは服ではなく、「低価格」ですね。商品ではなく、低価格を売る企業。

ユニクロがジーンズというカテゴリーのもつプライスゾーンを破壊してしまったわけです。g.u.ブランドはジーンズもTシャツも、販売計画を2倍以上に修正しなければならないほど売れています。ということは、顧客からも支持された証左です。まさに、日本人による日本製ジーンズの破壊行動と言えます。


倉敷帆布

帆布はその丈夫さゆえに室町時代から船の帆に使われてきました。トラックの幌、ベルトコンベアのベルト、エスカレーター手すりの下地、職人の道具袋、牛乳配達の袋など、「丈夫で長持ち」な特長により古くから愛されています。岡山県倉敷は昔から帆布の生産地で、「倉敷帆布」は歴史と実績ある地域ブランドとして親しまれてきました。今では国内帆布の7割が倉敷帆布ですが、昨今、安価な中国製品に押され、生産量は年々減少、多くの生産者は廃業や倒産に追い込まれています。  

大正時代からつづくタケヤリグループは、現在もう生産されていないシャトル織機と、その機械を使うことのできる技術を持つ職人さんを擁しています。昔ながらの方法を使って、糸を撚ねんし糸して美しい帆布を製造するには独特の技術が必要です。タケヤリグループのバイストンは、その倉敷帆布を使った商品の企画販売をしています。店舗は、リアル店舗2店(倉敷市曽原の本店と美観地区店)とインターネット店があります。バッグや小物など、オリジナルで楽しい商品が揃っています。

さらに、倉敷には、大原美術館、美観地区など、歴史ある美しいエリアと美の発信地としての地域ブランドがあります。このまま座して、中国や外国産の、安価というだけが魅力の製品が日本にただ流れ込んでくるのをながめているわけにはいきません。そこで、倉敷を発祥の地とする企業クラレも立ち上がり、「倉敷帆布応援プロジェクト」が始まりました。私もブランドコンサルタントとして参加しています。


原点に戻る

倉敷帆布のブランドを再生するにあたり、私は、まず、帆布のもつ素材としての強みを見つめ
ることから始めました。出てきた答は、「丈夫で長持ち、使えば使いこむほど味が出て、愛着がわく」というものでした。買ったばかりのバージンプロダクトではなく、使って使って使いこんで、「オレのもの」という「自分含有率」が高まれば高まるほど、「世界で唯一の自分だけのモノ」として製品自体が「育って」きます。My used product。ここが狙い目です。

コアとなる価値=「使えば使うほど味が出る」をきちんと設定し、独自のデザインで特異性を出す。修理もする。オリジナルなカスタマイズもする。具体的にはまだ企業秘密なのでここでご披露するわけにはいきませんが、バイストン社の倉敷帆布がブレイクすることで、倉敷全体が底上げされ、さらに光輝くことになるでしょう。これこそ、本気のまちおこしです。そうなれば、中国は脅威ではなく、巨大な市場になるでしょう。楽しみでなりません。

中国製品で市場を痛めつけられ、困っている皆さん、今こそ自社製品独自の強みを見つめ直し、ブランドを作ってピンチをチャンスに変えましょう!「中国は市場」を合言葉に。


(2009年9月1日号掲載)