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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

129)アメリカで豆腐を売る!!

マーケティング講座

こんにちは! 阪本啓一です。
先達から学びましょう!


アメリカ人の大嫌いな食品を売る!

今日は、アメリカで商売を頑張っている皆さんにとって勇気のわいてくる本をご紹介したいと思います。雲田康夫さん(Morinaga Nutritional Foods,Inc.創業者、日本食文化振興会理事長)の『売れないモノは俺に任せろ!』(光文社)です。読者の中にも、雲田さんをご存じの方も大勢いらっしゃると思います。イエス! ミスター・トーフ。「アメリカ人の嫌いな食べ物NO.1」(USAトゥデイ誌/1987年)である豆腐を、そのアメリカで売って売って売りまくり、アメリカ人の食生活を一変させた立役者です。

Mori-Nu Tofuは、私もニューヨーク時代、よくお世話になりました。初めての海外生活で心細い思いをしていた時、スーパーでモリニューのパッケージと出会いました。独特のパッケージに馴染みがないので最初は不思議でしたが、中から懐かしい日本の豆腐が顔を出し、嬉しかったものです。あのパッケージは、森永乳業ならではの技術を生かして開発された、長期常温保存できる優れものなんですね(牛乳の殺菌技術を応用して12カ月常温保存できる!)。


家畜のエサ!?

森永乳業社員だった雲田さんが社命で現地法人を立ち上げた1985年のアメリカでは、大豆は家畜のエサという固定観念があった由です。そもそも豆腐を食べる習慣がない。嫌いだし、食べない。そんな人たちに対して「豆腐を売ってこい!」という会社からのミッション。さあ、あなたならどうしますか?

雲田さんいわく、「失敗の連続」。しかし、七転び八起きの結果、22年後には、次の成果を結実させることができました。
●最初は当然ゼロだった豆腐の出荷量が、一か月10万丁となり、現在は1日に10万丁製造
●アメリカに豆腐を広めた第一人者として、農林水産大臣賞受賞
●豆腐を普及させた功績に対してカリフォルニア州下院議会から表彰
などなど…、とてもここでは全部書ききれません。


サムライ流体当たりマーケティング

雲田さんのやったことは文字通り「体当たりマーケティング」です。
●予算がないなら自分が広告塔になれ
●豆腐は野菜売り場で売れ
●顧客リストの鮮度は日本より早く落ちる
●お客さんを営業マンにする方法を考えろ
●アジア系に評価されないと売れるはずがない
●豆腐を知らない日系3世、4世をあえて狙う
●アメリカ人は言い訳するものと心得よ
●給与は職務によって明確に決めろ
●頭のよさとビジネスの成功は別問題
などなど、いずれも、手づかみでつかみとった叡智ばかり。


成功するまであきらめない

中でも私が一番衝撃を受けたのは、ヒスパニック系の人を従業員として雇う場合、賃金は「週給」を強く希望してくることです。彼らには月給という概念が理解できないらしく、年に「たった12回」しか給料がもらえないと、生活設計が成り立たないと言います。だから週給、つまり「金曜に1週間分の給料を頂戴」と。彼らはそれを元手に、週末を楽しく遊んで暮らす。週末に雨でも降って、楽しみにしていたバカンスができなかった場合には、月曜休んででもそのお金を使いきる。「お金が残っているのに働くなんて…」、という発想らしいです。日本人では考えられないですよね。月曜朝、あっさり休まれると、製造の人員計画やらローテーションやらが全部ムダになってしまうわけですから、大変です。

アメリカビジネスにおける労務管理などのtips はもちろんですが、雲田さんのこの本で私が一番学んだことは、「『答のないミッション=豆腐嫌いのアメリカ人に豆腐を売る』に真っ向から取り組み、成功するまであきらめない粘り」です。人間は弱いので、ついどこかに「簡単お手軽な商売の秘策」が隠されているような気がしてキョロキョロしてしまいます。当たり前ですが、そんなものはありません。一歩一歩、七転び八起きすることで、真の成功を手にすることができる。雲田さんは熱いエールを私たちに送ってくださっています。お勧めの一冊です。


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(2009年12月01日号掲載)