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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

159)顧客に向き合う

マーケティング講座

こんにちは!阪本啓一です。当たり前なのに、なかなか実行されません。


顧客の声が聞こえない

そのコーヒー店は以前、ファミリーレストランでした。目の前にビーチが広がり、絶好のロケーション。24時間営業ということもあって、地元の人たちにとっては、若い頃から仲間と深夜まで楽しんだり、デートの思い出があったりと、愛着ある店だったのです。賃貸契約期間が切れたことを理由にファミレスは撤退、今のコーヒー店になったという次第です。気になりながら、なかなか行く機会がなかったのですが、先日、散歩のついでに寄ってみました。

店の駐車場、30台は優に止められる大きなスペースがありますが、満杯状態です。エントランスに入ると…、誰もいません。フロアスタッフが出払っているのか…、勝手にずかずか店内へ。

まっすぐ行くと、テラス席(喫煙席とドッグカフェ)に出られます。ファミレス時代の店内をそのまま使っているようで、変わっていませんでした。店の真ん中に立って見回すとフロアスタッフは2人いるようですが、まだ私に気付いてくれません。声をかけてみたものの、インカムを耳に差し込んでいるので、聞こえないようです。仕方なく手を振ります。気付いたスタッフ、私が彼女の背中側にいる他の誰かに手を振っているのだと勘違いしたらしく、知らぬ顔をしています。

「すみません、1人ですが、いいですか?」と声に出してみると、ようやく理解したらしく、「失礼いたしました!」とこっちに来てくれました。面倒なのでカウンター席を指さし、「ここ、いいですか?」「はい、どうぞ」。

観察していると、店のスタッフを呼ぶ時には席に設置しているボタンを押すようです。私以外のお客さんも、スタッフに声をかけているのですが、耳がふさがっているため、聞こえないことが多い。一体、この広さの店で、なぜインカムが必要なのか、理解に苦しみます。おいしいコーヒーを提供するのにインカムが必要なのでしょうか。

お客さんに向き合うためには、全身と五感をフル動員して向き合わなければ、1杯550円というスターバックスのグランデより高い金額のコーヒーの価値がないというものです。インカム装備を義務付けたのは、ここから遠く離れた場所にあるビルの一室で「指令」を出す本社でしょう。しかし、明らかに間違っています。不要です。おそらく絶好のロケーションに惹かれて一度は来店するものの、リピートはほとんどないのではないでしょうか。


社内システムの足かせ

この、お客さんに向き合うべきなのに社内システムによって足かせになってしまっている例は、ほかにもいっぱいあります。本来接客にすべてのエネルギーを注ぐべきなのに、資料作りに忙しく、PC画面とにらめっこの家具店。あるいは、接客し、お客さんが帰るたび、カウンター下にしのばせた売上票に、手書きで書きこまなければならない百貨店内の某ブランドもあります。

販売員はお客さんを目の前にしていない時でも、店の前の通行量や、どんな人が歩いているのかを時間帯ごとに研究するとか、「売上を上げる」「接客品質を高める」ために全エネルギーを注ぐべきです。社内システムの足かせはなるべく少なくするか、いっそのこと、なくしてしまうことをおすすめします。


想いが売れ行きを決める

テレビショッピングの雄ジャパネットたかた。年商1500億円、「ブランド・ジャパン2010」ビジネス市場編総合ランキング堂々15位です(ちなみに1位はトヨタ自動車、2位パナソニック、3位本田技研工業、14位キリンビール、16位東芝)

高田社長によると、話し手の気力で売れ行きは決まるそうです。テレビショッピングで同じ商品を紹介していても、売れる時と売れない時がある。不思議なことに、テレビ画面を通してでも、話し手の気力というものはお客さんに伝わるようです。「まずは自分自身が『この商品の魅力を伝えたい』と強く思う。するとお客様は話し手の気力を感じて、初めて商品をご購入いただける」。これは10数年間、テレビショッピングを通じて得た実感のようです。

お客さんに向き合う、何かお役立ちはできないか全身で考える。熱い想いを持つ。ぜひ、実行しましょう!

阪本さんの新著書が発売中!
『共感企業〜ビジネス2.0のビジョン』(日本経済新聞出版社)
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(2011年3月1日掲載)