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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

176) 機能にとどまっていませんか?

マーケティング講座

こんにちは!阪本啓一です。
プロフェッショナルとは?


ぬるいマインド

今秋、JOYWOWは業務拡張のため、大阪にも拠点を設けることにし、私が赴任することにしました。横浜の本社はそのままで、スタッフも残します。海外にお住まいの皆さんからすれば横浜も大阪も同じようなものでしょうが、一人の大人が移動するとなると、やはり簡単ではありません。引っ越しを機にモノをどんどん整理し、捨てましたが、それでも段ボールに囲まれました。

さて、この原稿を書いている今日は、引っ越し荷受け当日です。昨日夕方、葉山で荷物出しに立ち会ってくれた弊社スタッフから連絡が入り、引っ越し会社の人が、「東名で工事があるので、明日(つまり今日)何時に大阪に到着できるかわからない」から、「明日中には入ります」とのこと。この連絡を受け、私の第一印象は、「ぬるいマインドだな、プロフェッショナルじゃないな」と。

東名の工事は昨日急に決まったことではないし、神奈川から大阪に向かう、ということも、1カ月前から決まっていました。そもそも葉山に荷物出しのために来る時間が午後2時というのもおかしい。東名の工事があるとわかっているのであれば1分でも早く葉山での荷物出しの仕事を終えて出発できるようにするのが「先を読んだ仕事」でしょう。

よしんば情報が昨日初めて入ったものだとしても、それくらいの「トラブル」を乗り越えてこそのプロフェッショナル。そこにブランドのストーリーが、伝説が生まれるわけです。私がドライバーなら、腕まくりするところです。

「さーて。ここで並のドライバーなら白旗上げるところだけど、ぼくは違う。ここがプロフェッショナルとしての、そして会社の看板を背負った者として、どこよりも優れたブランドをお客様に印象づける最高の舞台設定が出来上がった!」。

私は友人に車を出してもらって運んでいるのではなく、プロにプロフェッショナルとしての対価を支払って、プロフェッショナルなサービスの提供を受けようとしているのです。「明日中」ということは、今日の23時45分でもいいわけです。

私は明日から名古屋に出張です。そのための服を出さなければなりません。23時45分に到着して、荷物を部屋に入れ、全部入れ終わるまで3時間かかるとすると仮定し、終わるのが26時45分。つまり午前3時前に荷物が部屋に入る。それからどこにあるやらはっきりしない段ボールをいくつか開封して、目当ての服を取り出し、明日の出張準備をするわけです。


ぬるい顧客窓口

私は、引っ越し会社の「お客様センター」に電話しました。お客様センターは見積もり窓口としてだけ設定されていて、今回のような引っ越し真っ最中のやりとりができるようなデザインになっていません。つまり、トールフリーの電話に出てきた人は、対応できないのです。

そこで「しばらくお待ちください、担当窓口に替わります」から、さすがに彼も申し訳ないと思ったのか、「折り返し担当からご連絡さしあげます」と。しかし、私はその折り返しが2時間待たされかねない、と危惧したため(笑)、そのまま待ちました。電話口に出た「担当者」は、「誠に申し訳ございません」と詫びてくれますが、私がほしいのはお詫びではなく、情報です。対処です。

「ドライバーも一所懸命走ってくれていることは承知しております。1時間でも、30分でも早く到着してほしいのです。何回でも構わないので、途中で連絡してもらえますか?」「わかりました」。担当者は早く電話を切りたがっています。「具体的に、どのようなアクションを取ってくれるのでしょうか」。「明日できるだけ、ドライバーから連絡差し上げるようにします」。


機能だけでは…

要するに、引っ越し会社のサービスデザインが、「モノをA地点からB地点に移動させる」という、最低限の機能にとどまっているのです。しかし、「お客様センター」電話で保留中に流れてくるメッセージは「**(会社名)では、引っ越しの品質にこだわり、ドライバー全員に保証人を付け、教育を施しております」と。

「人のふり見てわがふり直せ」。私は、自社のサービスデザインを改めて見直す良いきっかけをもらったと思っています。機能にとどまっていないか、再チェックしてみます。

(2011年11月16日号掲載)