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ライトハウス編集部
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187)たかが掃除、されど…

マーケティング講座

こんにちは!阪本啓一です。

心を整える効果があります


心と身体の姿勢を整える

イエローハット創業者、鍵山秀三郎さんを尊敬しています。言わずと知れた掃除道を極めた方で、日本を美しくする会の活動を通じて、日本のみならず、海外でも実績を残しておられます。私は鍵山さんの実行されていることを自分も実行するよう、心がけています。

第1に、掃除。第2に、腰骨を立てる姿勢。この2つは、心と身体の姿勢を整えるのにとても効果的です。よって、私の塾生にも、厳しく指導します。経営は「やるべきことを正しくやる」だけではなく、「正しいことをやる(Do the right things)」側面もあるからです。私も含め、人間は弱いもの。お金や下半身への誘惑がついて回るのも経営者です。だからこそ、心と身体の姿勢を整えるために、掃除をしましょう。


割れ窓理論を実行したら

先日まで仮住まいをし、4月からJOYWOW大阪オフィスにするタワーマンションのエレベーターが、ひどいありさまでした。「ツバを吐きかけないでください。冷えピタシートを貼らないでください」なんていう、信じられない貼り紙を管理人さんがするほど。「監視カメラで見ていますよ」なんて、書いたりして。

ある夜、帰宅したらやはりエレベーターの階数文字パネルにベッタリとツバが付けられていました。私は、「ニューヨークの割れ窓理論を実際に使ってみたらどうなるだろう?」と発想しました。

割れ窓理論というのは、「地下鉄の窓が割れたままだと無法な空気が伝染し、やがては街全体が無法地帯になってしまう。だから割れた窓をなくしたり、落書きを消していけば、街全体が明るく、秩序ある空気になる」という仮説で実行したところ、本当にニューヨークの街の治安がとても改善した実話から生まれたものです。「キレイな場所を敢えて汚す人はいない」という理屈ですね。いつもきれいに掃き清められている神社やお寺を汚す人がいないのも、同じ理由からでしょう。

自分の階に着くや、すぐ部屋に飛び込み、バウンティ(キッチンペーパー)を4枚用意してエレベーターへ逆戻りし、汚れた文字パネルをきれいに拭き取りました。4枚のうち2枚は濡らし、2枚は乾拭き用に用意していました。上下すること2回。文字盤はきれいになりました。

1カ月後。エレベーターを汚す人はいなくなりました。

今度気になったのが、エレベーター内の鏡がものすごく汚れていることです。気づいたら、すぐその場で実行するのが掃除の秘訣。深夜でしたが、早速キッチンペーパーを部屋から持ってきて、きれいに拭いました。スッキリ!それから、鏡を汚す人もいなくなりました。

面白いことに、エレベーターまわりがきれいになり、汚す人がいなくなると、他の共有部分、たとえばエントランスなどを汚す人がいなくなったことです。以前はタバコの吸い殻がポイ捨てされていたり、ポストに投げ込まれたチラシを床に散乱させたままだったりだったのが、きれいになりました。イソップ童話「北風と太陽」ではないですが、「監視カメラで見ているよ」ではなく、まず、気づいた人がきれいにすることで、みんなもそれにならうようになったのです。


心を整える

繁盛するレストランのトイレは清潔です。まず、「隗かいより始めよ」、経営者や店主自身が、掃除を徹底する心構えを持ちましょう。自ら率先して人の嫌がることをする。紙くずが落ちていたら黙って捨てる。靴を揃える。私はオフィスや自宅のトイレは「キスできるまで」きれいに磨き上げます。新幹線や飛行機、たまたま入ったレストランや居酒屋のトイレでも、きれいにして出てきます。後で使う人が気持ち良いように。床が濡れていたら拭く。手を洗う水回りがびしょびしょだったらタオルで拭っておく。

掃除を通して、心が整えられることを実感します。掃除はやるか・やらないか。行動志向の組織風土を作るためにも、ぜひ、掃除を!


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『ビジネスチャンスに気づく人の57 の法則』(日経ビジネス人文庫)


(2012年5月1日号掲載)