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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

17)泣かせる暑中見舞い
【WOW! は手書きから生まれる】

マーケティング講座

みなさん、こんにちは! 阪本啓一です。
今回はライトハウスが主人公です。


封筒を開けた途端、涙が

 私は常々、「ビジネスは実行である」と主張しています。これは、「おつむの出来はいいけど、ケツが重い」、高学歴だけど、使えない人を多く見てきたことから出た格言みたいなものです。いくら素晴らしいことを言っていても、机の前に座ってばかりいては、現実を動かすパワーにはなりません。そして、ビジネスは動いてナンボ、流した汗の量と結果は比例します。

 さて、アメリカにとって特別な日である7月4日(日本時間)、私は自宅で仕事をしていました。ニューヨークにいた頃は、毎年花火が楽しみな日でした。ところが日本は梅雨の真っ最中、昨日から続くどしゃぶりの雨は、今朝もやむ気配がありません。憂鬱だけど、仕事をやらなければ進まない、そんな気分で机に向かい、書き下ろし本原稿の最後の仕上げをしていました。ある1点でつまずき、どうも前に進めなくなりました。こういう時はパソコンの前でうんうんうなっていてもいいことは一つもありません。ブレイクすることにしました。

 郵便をメールボックスから取り出してみると、1通のエアメールが。差出人の欄には懐かしい「Torrance」の文字。そう、本誌ライトハウスからの封書です。封筒の雰囲気を見るとビジネスメールではなさそうです。ハテ、編集部のだれかが恋文でもくれたのかな(笑)、と軽く冗談を自分に言いながら封を開けてみると、WOW! です(写真)。思わず、涙が出てしまいました。暑中見舞いをもらって泣いたのは初めてですし、おそらく世界でも珍しいオッサンでしょう(笑)。


顧客に読んでもらいたければ、手書きしましょう

 「阪本啓一様 暑中お見舞申しあげます」と、冒頭に太字で書かれ、その下に私のこのコラムを支えてくださっているライトハウス編集部の皆さんが直筆でメッセージを寄せてくださっています。

 みんな、「いかにこのコラムが素晴らしいか」を書いてくださっています。「ホンマかいな」と思いながらも、人間、褒められて悪い気はしません。嬉しいことは、お一人おひとりのメッセージが「社交辞令」風の、決まりきった文言ではなく、普段コラムを読んでくださっているのだなあ、としみじみわかる内容なのです。読みながら、もう一度、じわーーーーっ、と来てしまいました。感激のあまり書きかけの本の原稿をいったんヨコに置いて、いまこのコラムの原稿を書き始めてしまったくらいです。おや? ということは、これは編集部の深遠なる作戦勝ち?(笑)。

 いずれにしても、こんな「気の利いた」「読ませる」「もらって嬉しい」、暑中見舞いは生まれて初めてです。ライトハウス編集部の「人柄」を感じさせます。

 それにつけても思うことは、「カードを手書きにすることの重要性」です。夏のバーゲンシーズンでもあり、かなりの数のカードがショップから送られてきますが、ほとんどが即ゴミ箱行きです。日本は今年から個人情報保護法が施行されたため、カードが出しにくくなったようで、それでも全体の枚数は減っているはず。さる百貨店では、顧客にカード1枚送るのに、2人の上司の許可印鑑をもらい、その上で、鍵のかかる別室でカードを書かねばならなくなった由。これでは面倒で、なかなか手がつけられません。他の店も大なり小なり同じ環境でしょう。ところが、そこまで苦労して出したカードにもかかわらず、宛名はプリンタ印字、メッセージ欄も印刷されたまま。担当者が一言手書きでメッセージを寄せているのは10のうち、1あるか、ないかです。

 「読んでもらいたければ、手間をかけよ。手書きせよ」。この鉄則を、ライトハウスがしっかり実行していることに感動しました。そして、実行できる組織風土がある、という点にご留意いただきたいと思います。社長以下組織メンバー全員が重要性を認識し実行できる。ライトハウスの強みはここにあると私は信じています。

(2005年8月1日号掲載)

【文・阪本 啓一