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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

20)日常生活すべてが教材
【私の勉強法】

マーケティング講座

みなさん、こんにちは! 阪本啓一です。
今日は私がどうやって勉強しているか、披露してみます。


勉強法セミナーが超人気の秘密

 弊社ではビジネスパースン向けのセミナーを開催しています。5月に「勉強の仕方」というタイトルでメールマガジンを通じ受講生を募集したところ、メール配信後たったの10分でソールドアウトの超人気でした。内容は次のようなものです。

1 本の選び方
2 本をどう読むか
3 文章の書き方
4 英語の学び方
5 受講生個別相談

 どれも目新しいものではありません。ところが、他の「ブランド」や「企画力」といったテーマよりも席の埋まるのが早かったのは、時代を反映しているのだなあ、と思います。

 受講の手を挙げた人は30代前半の、主に大企業に勤務する人たちです。実際に彼らと話してみると、「基礎の欠落」を異口同音に口にします。

 現在の日本の大企業はリストラや先の不透明感で採用に余裕がなく、かつ、組織を構成するヒューマンリソース(HR)もぎりぎり目一杯の人員でやっているので、若手の育成まで正直手が回らない。現場でよく見られるのが「OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)という名前の手抜き教育」です。新人として配属されていきなり仕事の前線に出され、目の前に立ちふさがる問題をモグラ叩きのようにつぶしていくことで「仕事に慣れた気になってしまった」。

 ところが入社して7、8年、いざ仕事にも慣れ、全体を見渡せるだけの余裕ができてくると、しみじみ自分には基礎ができていないことに気づく。がっちりした土台を作ることなく柱を立て、壁を作った家のようで、いかにも弱い。勉強の必要を感じる。それも、専門的な仕事上のことではなく、それ以前の「本の選び方」「本の読み方」「文章の書き方」といった、口に出してみると、ちょっと恥ずかしくなるような基本的な項目ばかり。そこに弊社のセミナー案内を目にすると、一も二もなく申し込んだ、というわけです。時代の空気です。本誌の読者の皆様も、ひょっとすると、同じ悩みをお持ちのかたがいらっしゃるかもしれません。今日はほんの少しですが、セミナーのおすそ分けをしたいと思います。


「ネタ目」で見る

 知人の某私鉄の運転手は25年のベテランです。彼は大学でメディア論を学び、広告の仕事をしたかったのですが、家の事情で進学をあきらめ、電車の運転手になったそうです。運転しながら、毎日、25年、好きな広告をずっと見てきました。そういえば電車の進路には、さまざまな広告があります。
駅の広告、町のビルの看板、ネオンサインなど。広告が大好きな彼は、そうやって生きた教材を目に焼き付けることで、広告史を語ることのできるほどの知識を身につけました。何の資料も見ず、滔滔と広告の歴史について語る彼の造詣の深さには驚きます。

 彼から学ぶことは「好きな分野を決める」「決めたらとにかく、日常生活(仕事でも、私的生活でも)をネタ目で観察する」ということです。私は「サービス」「ブランド」「リーダーシップ」など、いくつかの「自分が追求しているテーマ」を持っています。それらの「ネタ」になるものはないか、と、起きているときはそれこそ、電車に揺られているときも、海の家でビールを飲みながらでも考えています。


本を買う

 本は、借りたりせず、必ず自分で買うことです。では、何を買うか。前述した、自分の気になるテーマに関係する本はとにかく、できる限り、買うのです。1度に何冊も買うのは大変なので、リストアップしておき、財布の中に入れて、少しずつでも買い足していきます。そして、片っ端から読む。読むときは赤鉛筆を手にして、どんどん線を引きながら、感想を余白に書きながら読んでいきます。例えば今年6月に東京ディズニーランドのサービスを研究した際には、9冊、延べ4700ページの関連図書を読みました(ついでに申し上げますと、プロジェクトメンバー4人で合計160時間、東京ディズニーランドに滞在し、ゲストとキャスト500人を観察しました)。本を買う、ということは、簡単なようで、実は多くの人が気づいていない大切な勉強ポイントです。


日常生活が教材

 日常生活すべてが教材です。早速実行してみてください。

(2005年9月16日号掲載)

【文・阪本 啓一