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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

24)ハードよりpeople
【人で勝負!】

マーケティング講座

みなさん、こんにちは! 阪本啓一です。
新しい試みが始まりました。


Love Triangle

 私の「Love Triangle」理論をご紹介します。店舗やホテルなどのマーケティング戦略を考える時に使います。ビジネスの究極の目的は顧客から「love」を戴くことですが、そのためには、「愛される店舗(love place) 廚あり、「愛される製品・サービス(loveproducts & service)◆廚あり、そして最後に、「愛される人(lovepeople)」がなければなりません。これらの要素は下から順に1つずつ構築していく必要があります。「place」は立地条件や建物のハード面など、1度作ってしまえば、改装しない限り変えようがありません。その意味でストック性の高いものです。では、古いホテルはやっていけないかというとそうではなく、常にアップデートし続けるサービスやしっかり教育された人材で、顧客からの「love」を勝ち取ることが可能です。特に人はいくらでも教育可能な、いわばフローな戦略要素です。人を通じて顧客満足を高め、「love」を戴き、愛されるブランドになることを目指しましょう。


発火点戦略

 この「LoveTriangle」をコンセプトに取り入れた大型書店が名古屋市内にオープンしました(いまじん戸田店http://www.books-imagine.com/)。1000坪(303屐砲竜霏臀馘垢任后新店出店にあたり、1年かけてプロジェクトメンバーとマーケティング戦略を練りました。「業界内でまだ誰も手をつけていない白紙に点火し、新しい価値を創造する」発火点戦略です。

 では、書店業界で「白紙」とは何か。それは、「人」。「接客技術」「商品知識」「提案力」「仕入れのセンス」「店内ディスプレイの美学」…。アメリカの書店は、店ごとに個性があり、商品も店独自のセレクションがあって、滞在することがとても楽しいものです。ゆっくり本に囲まれて過ごすことができる、本好きにはたまらない経験を味わうことができます。しかし、残念ながら日本には、「気持ち良い空間としての書店」のないことに不満を持っていました。この不満を出発点として、戦略を構築しました。


カルチャー・リゾート

 私たちプロジェクトメンバーは1000坪という店舗空間の巨大さを、「量ではなく質」で埋めようと考えました。他に、「デザイン重視」「五感に訴える店内空気」「気持ちの良い接客」…などを実行課題としました。それらを一言で表現するキャッチコピーを「カルチャー・リゾート」としました。

 「いまじん」が売っているのは、本やCD、ゲームなどのソフトウェアですが、提供している価値は、「カルチャー・リゾート」であり、生活者・顧客のQOL向上にお役立ちできるセレクション(目利き)です。そして、セレクションにせよ、店内のデザインにせよ、空気にせよ、もちろん接客にせよ、実行するのは「人」です。

 人の戦略構築のため、プロジェクトメンバーは東京ディズニーランドまで研究に出かけました。以前このコラムでもご紹介した、サービス品質の高いレストラン「カシータ」でも食事して学びました。

 そして、オープン前1週間、ロールプレイを中心とする人材研修を重ねました。店舗スタッフの大半を占めるパート・アルバイトに向かい、社長自らビジョンを語り、プレゼン資料を配布して勉強してもらいました。これはビジョンを共有するためです。オープン前にじっくりたっぷり時間をかけました。

 この他、店内にマックを5台並べ、インターネットに自由にアクセスしていただくようにしました。場合によってはそこからオンライン書店アマゾンに行き、買ってもらっても構いません、という洒落心もあります。実際の本は店頭で手に取ってご覧ください、と。

 顧客が参加してブックジャケットを自由にデザインする企画も始めました。採用されたブックジャケットは店頭で実際に使われます。

 書店業界では全く新しい「ハードより人」のコンセプトを実現した書店。もし名古屋にお越しになる機会がありましたら、是非1度足を運んでみてください。楽しいですよ!

(2005年11月16日掲載)