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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

25)ブランドは顧客とのこころの絆
【書店におむつ?】

マーケティング講座

みなさん、こんにちは! 阪本啓一です。
今回も新型書店の話です。


いまじんの創業精神

 前号でご紹介した新型書店「いまじん」のエピソードを引き続きご紹介します。実は「いまじん」のネーミングの由来はロサンゼルスとご縁があるのですよ。70年代初頭、当時青年だったいまじん創業者のK氏は、「人生の意味」について思い悩み、単身アメリカに渡りました。ロサンゼルスの某所に、貧乏留学生ばかりのお世話をしてくれる施設があり、名物シスターが学生たちの面倒を見てくれていました。ちなみに当時アメリカでは学生中心にベトナム反戦運動が盛んでした。シスターは24時間ずっと施設内でジョン・レノンの『imagine』を流し続けていました。ジョン・レノンとおない年のK青年は、「そうだ、戦争のない世界を作るためには、人間の想像力を刺激する読書が一番だ。おれは日本に帰ったら本屋になる!

 そしてイマジンの思想を実現するんだ」と決意し、思い悩んでいた「人生の意味」の答を得たのでした。これが社名(店名)の由来です。

 いまじんの店頭スタッフは90パーセント以上が地元主婦、学生によるパート、アルバイトですが、創業のスピリットは入社研修で必ず社長から語り継がれます。

 閉店時刻に日本では『蛍の光』が鳴るのがよくあることですが、いまじんでは『imagine』のメロディが響きます。いまじんスピリットが現在でも店に流れている証左でしょう。


ブログを活用

 いまじんでは、公式ホームページにブログを付設し、ほぼ毎日、店の出来事を掲載しています。http://books-imagine.com/
出色のエピソードがあるので、ご紹介します。何と! 戸田店には紙おむつが常備されています。なぜ書店に紙おむつ? 以下、ブログ2005年11月2日記事から引用します。


戸田店はトイレがちょっと遠いので、お子様がおもらししちゃうことがあります。本屋は本当に多いんです。
しかも、また後日ご紹介しますが、うちの児童書コーナーには木のおもちゃがいっぱいあって、子供はトイレも我慢しがち。
普通は、そのおもらしを片付けるのにタイヘンでなかなか気が回りませんが、うちのスタッフは、なんと自宅からオムツを持ってきてくれました。



 自分の子供にはもう使わなくなったおむつをスタッフが自主的に持ってきたというのです。これも、「自分が母親の立場だったらどう考えるか」を素直に実行したからできた着想だと思います。お店を汚してしまったプレッシャー、泣いている子ども、そのまま着替えさせないわけにはいかないのだけど、たまたまおむつを持ってくることを忘れてしまった焦り…、きっと、「店での経験のあとあじ」は悪いものとなってしまうことでしょう。「気持ちいい」店舗というコンセプトを実現するために、スタッフが自発的に考えたこういうアイデア、素晴らしいと思います。また、自らも主婦だからこそできる着眼点ですね。

 このブログ、いまじんの社員であるMさんが書いています。当初は匿名だったのですが、やはりブランドは個人一人ひとりによって形成されることから、名前を出すようになりました。さらに理想を言うなら、顔を出すことが一番です。人は目に見えないものより見えるものに、更にはモノや抽象的な概念より生身の人間に親しみを感じますから。いまじんにお客様が殺到している秘密です。

 ブランドとは、顧客と店舗スタッフとのこころの絆です。人を重視しましょう。

(2005年12月1日掲載)