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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

27)顧客を恋人のように扱う
【恋に落ちて】

マーケティング講座

みなさん、こんにちは! 阪本啓一です。
営業って、恋の駆け引きと同じです。


カタログ請求したら

 車を買い替えようと、ウェブサイトをあちこちサーフィンし、調べました。結構この段階でワクワクするものですね。家族と、ああでもない、こうでもないと画面を見ながら話すのは楽しいものです。拙宅のように全員が仕事をしていると、家族みんな揃ってディーラーに行くのは都合を合わせたり、当日になってだれかが都合が悪くなったり、となかなか大変ですが、サイトのURLを共有するだけで話は済みます。都合のいいときに各自見れば良いので。

 さて、ある程度メーカーや車種を絞りこんだあと、5社宛にウェブサイトを経由してカタログ請求しました。1社以外は「カタログ一式」を送ってきてくれました。もちろん私がカタログ一式を要求したからです。しかし、実は営業的観点から申し上げれば、顧客がカタログ一式を求めても、カタログ一式送ってはいけないのです。いじわるをしろ、というのではありません(笑)。一式送ってしまうと、顧客との接触がそれ1回だけになってしまうからです。私は旭化成で建材の営業を約20年やってきましたが、その頃から部下や販売店に口を酸っぱくして言ってきたことがあります。それは、「カタログ・資料は小出しにせよ」です。「1度に全部送ってしまうようなもったいないことはしてはいけない」。

 当然ながら、顧客より私たち企業側の方が圧倒的に情報量を持っているわけです。「持っているすべてを顧客に伝えたい」気持ちは正しい。しかし、顧客は自分がどんな情報が欲しいのか、何を知っていて、何を知らないのか、知らないのです。では、どうすればいいのか。顧客と対話するのです。


ボルボの顧客対話

 さて、5社のうち4社はカタログ一式を送ってきましたが、1社はそうしませんでした。ボルボは、最寄りのディーラー営業マンが我が家を訪問し、名刺とカード(ボルボのデザインオリジナルカード)を添えたパンフレットを置いていきました。名刺とカードには手書きで、お礼が書かれていました(我が家は留守がちなので、ポストで発見)。パンフレットは車のカタログではなく、「ボルボのある生活」を描いたライフスタイルマガジンです。それらを読みながら、「なかなかやるなあ」と、「次は何の手を打ってくるか」を楽しみにしている自分がいました。

 2、3日後、留守電が入っていました。訪問した者だが、1度試乗にお越し願えまいか、というお誘いです。1週間後、今度は車のカタログが入った封筒が置いてありました。翌日、ピンポンが鳴るので出てみると、スーツをきれいに着こなしたイケメンが立っています。くだんのボルボ営業マンでした。「**(車種の名前)を今日は乗ってきたのですが、よろしければ、お乗りになりませんか」。仕事中だったので、今度家族でショールームに行きます、とお引取り願いました。その週末、またもや留守電。「試乗会が明日、明後日の土日に開催されるのでいかがですか」。現在、しばらく営業攻勢はお休み中です。

 ボルボの営業スタイルから学ぶことを整理しますね。
.タログを1度に送付しない
⊂霾鵑鮠出しにする
車そのものを売るのではなく、ボルボのある生活をイメージしてもらう
た諭扮超肇泪鵝砲接触する
サ泙ない


コミュニケーション力を磨く

 ただ、気をつけなければならないのは、「小出しにすることで、くどくなってはいけない」、さじ加減です。こうなると、もはやテクニックではなく、感性の世界です。感性とはいえ、ビジネスにおいては科学性がなければなりません。では、その科学性とは何か。コミュニケーション力です。コミュニケーションで大切なことは、発信より受信です。何を言うかより、何を受け取るか。顧客との対話を通じて顧客の関心がどこにあるのかを探りあて、顧客が求めている情報を提供するようにする。そうすれば顧客はくどいとは一切考えません。


恋人のように

 まるで恋の駆け引きと同じですね。強引過ぎてもいけないし、急いでもダメ。皆さんのビジネスで、営業あるいは顧客接触される場合の参考になれば幸いです。

(2006年1月1日掲載)