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アメリカでのビジネス・仕事

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ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

31)こころも鍛えて繁盛しよう
【お金について】

マーケティング講座

皆さん、こんにちは! 阪本啓一です。
お金について、考えてみましょう。


問題なのはお金ではなく、人間

 ライブドアや村上ファンド事件から、私たちビジネスパースンは何を学ぶべきでしょうか。私は、「お金について考える良い機会だ」と思っています。

 日本ではお金は汚いもの、お金を稼ぐことはおおっぴらに話せない話題であって、「どこかうしろめたい」姿勢と一緒に語らなければならないもの、という風土があります。しかし、ビジネスをやる以上、商売人である以上、お金をたくさん儲けることは必須であり、経営者たるもの、お金について自分はこういう哲学を持っているんだよ、ということを、従業員や株主、取引先などのステークホルダーに明言する義務があると思います。また、いかなる戦略であろうと経済的基盤のない施策ほど脆いものはなく、良い結果を望むことはできないでしょう。趣味やボランティアの世界ならいざ知らず、ビジネスの現場においてはすべての活動の裏にはお金が貼り付いています。

 ただ大切なことは、お金本人は悪い人でもないし、いい人でもありません。お金はお金で、ニュートラルです。問題なのは、お金を稼いだり、貯めたり、使ったりする人間側にあります。


千両みかん

 古典落語に『千両みかん』という噺があります。

 土用の夏真っ盛り、さる商家の若旦那が病に臥せっている。理由を聞くとみかんが食べたいという。番頭、みかんを求めて歩くが冷蔵施設のない時代のことゆえ、季節はずれのみかんなど、どの店にもない。ようやく見つけたがみかん1つ千両という。主人は、それで若旦那の病が治るなら安いもの、と、ポン、と千両出す。千両で買ってきたみかんを番頭が若旦那に差し出した。千両という金額にショック状態の番頭、若旦那が皮をむいたみかんの袋が10袋あるのを見、1袋100両だ、などと考えている。若旦那、おいしそうに食べたのち、3袋残し、1つは父に、1つは母に、そして最後の1つは番頭にあげるから渡してほしい、と。番頭、3袋のみかんを見て「これ全部で300両!」と、頭に血が上り、みかん3袋かかえてどこかへ逐電してしまった。


手段と目的の履き違え

 お金との付き合い方で、この噺のような「手段と目的の履き違え」はないでしょうか。ライブドア事件で真っ先に思い出したのは、実は「千両みかん」でした。株は株であり、お金に換算できたとしても、それは数字データでしかありません。私はよくシュノーケリングをするのですが、海の中で株券は何の役にも立ちません。換金してもお金は防寒にも使えません。海水に濡れて、終わり。でも、お金がなければのんびり海につかっていることなどできません。お金のおかげで仕事を休み、遊びに行くこともできるのです。要は手段と目的をしっかり見据えることです。


使える予算と戦略の成否は別

 戦略には経済的基盤が必要、と言いましたが、しかし、十分条件ではありません。戦略の成否はあくまでも戦略そのものの品質にかかるものです。基盤となる予算が多いから成功、少ないから失敗、ということはありません。むしろ私の体験では、少ない方が、足りない分を知恵で補足しようとみんなががんばり、成功する率が高まります。

金額に見合ったこころの成長が必要

 同じ車でも大型車、小型車、トラック、それぞれ運転技術が違うように、お金も、金額に見合った「付き合い方」があると思います。付き合い方は人間のこころの成長度合いで決まります。1億円使える人は1億円のこころを備えている必要があります。100万円のこころの人がたまさか1億円手にすると、バランスが崩れて、たちまち悲劇を巻き起こします。つまり、お金持ちになるためには、同時にこころも鍛えて成長しなければならない、ということですね。私も修行します(笑)。


お金が貯まる簡単な方法

 最後に、お金が貯まる簡単な方法を。「大きな金額は現金で、小さな金額はカードで」支払うようにし、小遣い帳をつけてみましょう。1年後には、びっくりするほどお金が貯まっているはずです!

(2006年3月1日号掲載)