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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

38)すべてはものの見方
【困ったことは起こらない】

マーケティング講座

皆さん、こんにちは! 阪本啓一です。
困っていること、ありませんか?

 「困ったことは起こらない」。日本一のお金持ち、銀座まるかん創業者の斎藤一人さんの言葉です。一見すると不思議な理解しがたいメッセージに見えますが、実は私、コンサルティングをはじめとして、さまざまな場面で活用させていただいています。


受験校すべてに落ちた

 友人の息子S君が、この春、受験したすべての大学に落ちました。我が家に来て、親子とも「困った」を連発しています。私は、「何に困っているの?」と質問しました。返ってきた答えを整理しますと、次の2点に要約できました。

・希望した大学に合格しなかった
・ せめて大学くらい出ていないと世の中渡っていけない

 以下、私の回答です。第1の理由には「大学が『来なくていい』と言っているのだから、この学校に向いてないと入学する前にわかって良かった」、第2の理由には「それって、世間の常識が困っているだけで、君たち自身が困る理由じゃないよね?」。

 そうなのです。うまくいかない時というのは、うまくいかなくていい時なのです。神様が、「別の道を歩いたほうがハッピーになれるよ」と教えてくれているのです。また、困ることは、たいてい、「世の中の常識で困るとされていること」なのです。

 S君、浪人して来年再チャレンジするのですが、予備校の学費を稼ぐためにアルバイトを始めました。都内のしっかりした老舗のお寿司屋さん。先輩もやさしく、ご主人もしっかりしつけてくださるそうです。

 「老舗のお寿司屋さんで働くチャンスなんて、滅多にないことだよ。飲食店でお客さんを相手に働いた経験は、S君の今後の人生の大きな財産になる。むしろ、そのお寿司屋さんで働く経験ができるための時間を神様が下さったのかもしれないよ。来年も大学受験をするのかどうかは、先輩やご主人の話をいろいろ聞いてから決めても遅くないよ」。


職場に仕事のできない人がいて困っています

 Yさんは、ウェディング・コーディネーターをしているのですが、職場の上司が問題と言います。会議でカチカチとボールペンのアタマを押したりひいたりして音を鳴らす、話しかける時にズボンのベルトをゆるめながらはみ出たシャツを入れる、お客さんを怒らせてしまう言動が多く、クレームが絶えない…。結局、彼は「お客さんには出せない」ということで、彼の仕事をそのまま彼女が引き継いでやっているとのことです。「仕事ができないだけではなく、存在そのものが不愉快」と、吐き棄てるように言い放ちました。

 私の回答。「彼に感謝することですね。彼のおかげで上司の仕事をやらせてもらえ、しかも、『Yさんは仕事ができる』と周囲に評価され、自分が輝くことができるわけじゃないですか。ボールペンカチカチも、会議中に眠気覚ましになると思えばいいし、ベルトをゆるめるのもセクハラとか騒ぐのではなく、『これはこの人のレジャー、楽しみなんだ』と、大目に見てあげればいいじゃないですか。一日中というわけでもなし」。

 この話を聞いたYさん、最初は呆気にとられてしまっていましたが、「よく考えてみたら、正社員でもない私が重要な仕事を任せてもらっているのも、上司のおかげと言えます。目からウロコでした。ありがとうございます」と、スッキリしてお帰りになりました。


商品の価格を上げたらお客さんが半分になった

 「商品の価格を10パーセント上げたら、お客さんが他社製品に鞍替えして、昨年に比べて半分になってしまいました。このままではS県にある営業所も閉鎖しなければならないかもしれません。困りました」。

 私の回答。「お客さんは価格にしか魅力を感じてくれていなかったことがはっきりわかって、良かったじゃないですか。製品そのものや営業マンには魅力がない、購買動機にはならない、ということを教えてくださっているのです。営業所も、『本当に必要だったのだろうか』『都内からの営業カバーで何とかなるのではないか』という根本的な見直しのいいチャンスをくれたのです。この事態に感謝しましょう」。


現状打破のチャンス

 このように、一見困ったことは、平穏な時には気づけない問題点を炙り出してくれる感謝すべきメッセージなのです。ものの見方をほんの少し変えるだけで、現状をより良く変革するためのチャンスに活かすことができます。

 お試しを!

(2006年6月16日号掲載)